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「florence」は素敵なデジタル絵本

florenceというゲームがあります。

主人公フローレンス・ヨーがクリシュという男性と出会い恋に落ちてからの恋愛関係でストーリーが進行していくのですが、セリフはなく文字もあまり出てこないのでイラストだけで物語が伝わる仕組みになっています。

淡い初恋のリアリティやそこに加わる音楽、各パートの挿絵などの表現力が高いので、どんな方でも楽しめる作品だと思います。


またこのゲームには、俗に言うゲームっぽさはありません。

プレイヤーは、画面をスライドして物語を進め、途中に出てくるミニゲームを操作することくらいしかしないのです。そしてそのミニゲームも、難しい操作や頭を使うようなものはほぼありません。

ただ、このミニゲーム的な要素はその時々のフローレンスの行動や感覚にリンクしていて、まるで仕掛け絵本のように物語への感情の没入度を高めてくれるものになっています。

例えばクリシュとの会話。

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スマホ版のゲーム画面。
時間は左から右に行くほど進んでいる。

最初のデートでは緊張してるし相手を知らないしで、何を喋ればいいのかをかなり迷っています。しかし、デートを重ねることでお互いを知っていって相手に伝えたいことが簡単に思いつくようになります。

そういった描写を、吹き出しパズルをどんどん簡単にすることで表現しています。(このパズルは実際にユーザーが解く)
最後にはほぼ何も考えなくてもどんどん喋れるようになってますね。


こんな感じでゲームは進行するのですが、この例以外のシーンもゲームという媒体を使った表現が上手くて非常に感動します。

スマホ (iOS, android) / PC / Switch で遊ぶことができますので、是非一度やってみてください。1時間程度で終わるゲームですが、そういうデジタル絵本を買う気持ちで見てみることをオススメします。

(おわり)




余談ですが…

こんなのゲームとは言わない。勝ち負けもなく、クリアするべき目標もなく、ただ物語を見るだけのものはゲームではない。

この手のゲームには必ずこのような意見が出てきます。

ただ私は、ゲームというメディアの幅広さをもっと感じてほしいなと思います。

ゲームはもともと遊び道具でしたし、現代においても電子おもちゃであることには変わりません。とは言え、技術の進歩に比例して表現力があがったことで、他のメディアにはできない物語の伝え方ができるようになりました。

プレイヤーからのアクションを受けて双方向に作用する(= インタラクティブな)表現手法が、まさにそれです。

実写と見紛うレベルの映像で映画のようなゲームを作れるようになりましたが、映画と違うのはそこにユーザーからのアクションがあるか否かです。

そのような表現ができるゲームというメディアがせっかくあるのに、おもちゃ・競技以外の使い方を簡単に排除するのはもったいないんじゃないかと思っています。

このことを語弊なく語るにはもっともっと文量がいるので、今日はこの辺にしておきます。



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