約束するから

今年も、もうなのかやっとなのかわからない速度で終わる。
トータルして、碌でもない一年だった。大体いつもそうだけど。
でも、紛れもなく、生き抜いた一年だった。

しんどいなかでの生活って、とてもとてもやりきれなくなる。
しんどいから酒で脳みそ麻痺させたりしてみるけど、次の日に体重と共に大量の希死念慮が侵犯してきて。どうしろと、と叫びたくなる。頓服も効かねえし。酒飲んでるからそりゃそうか。俺が悪い。大体いつも、俺が。

生活そのものはさぁ。変わんないんだよ。変えないように努めてるし、余計な刺激が生まれたら余計に死にたくなるからさ。
それでも、転職したりとかまあまあ色々あって。
変えようとしなくても、望まなくたって何かしらの変化は訪れる。それが良いものでも悪いものでも、疲れちゃうよね。本当は86歳で肺炎拗らせて死ぬまでベッドの中だけで過ごせたら一番良いんだけど。
いや、もっといいのは毎日が美しくて幸せなものであることなんだけど。
そうそううまいことことは運んでくれなくて、砂の晩飯を噛んで、悪い夢を見て、最悪な朝を迎えて、JRに揺られる。

今でもさあ。思うんだよ。俺が自殺未遂をした2018年の9月19日に、ちゃんと死ぬことができてたらなって。
今でも思うんだよ。あの日ちゃんとドアに鍵とチェーンをかけていたら、無意識の中で生きようとする俺が邪魔だてして、玄関口でぶっ倒れることなく死ねたのになって。
四年間。あの日から四年間経つけど、生きててよかったなんて思えた日はないんだよ。
アルコールの力でイミテーションの楽しい幸せを頭に散らかして、次の日死にたくなることはあれど。

今だってきっと、自分じゃ意識できてない部分できっとぎりぎりで張り詰めていて。いつどこでそのスイッチが、とどめの一滴が落とされるかもわからない状態で。
何歳まで生きれるんだろうなあ俺。その時までには幸せって心の底から思えんのかな。
10億円何かの間違いで振り込まれねえかなあ。そしたら今の死にたい気持ちも、10%くらいは楽になるのに。

生きててよかった あの日死なないでよかった
そうやって、酒で痺れていない脳みそを以てして胸を張って真っ直ぐに言える。そんな日が来る時のために、そんな時のために今は生きてる。
死ぬことも大変だし。失敗しても成功しても、信じ難いほど、それこそ罰だと言われているような大きさの迷惑を周りに振りかけ回すしさ。

ああでも、それでも死ぬってことは甘くてキラキラ光ったピンク色にみえてしまうんだ。
しんどいね。苦しいね。なんで俺たちばっかり。いつもそうだ。いつも思う。
いつも思うよなあ。死にたくなんてないのに。友人と会うってときはワクワクと心踊りたくて、なんでもなく起きた朝にいちいち鉛のような重さなんてなくて、いちいち暗いニュースに心痛めたり明るいニュースに嬉しくなったり、飯はちゃんと飯の味がして、自分を傷つけること以外の方法で感情が発散されてくれて、頭がとても軽くてちゃんと思考が走り回ってくれて、眠ろうとして目を閉じてもうるさい何かがずっと喚いたりしなくて。
美しいものを見て、ちゃんと美しいと思えて。
想像するだけで、幸せだろうなあと思う。なんだか、遠い国の話みたいだ。海を知らないアルミンもこんな気持ちだったのかな。分からないものに対しての憧憬は、日を追うにつれ、時を経るにつれどんどん遠くて、巨大で、実態の伴わないものになっていく。
行かないでくれよ。なぁ。

前にあげた、死なないと約束してくれ、ってnote。少なくないDMをもらった。ちゃんと死ぬ前にDMしますとか、えふじさんが生きるなら私も生きます、とか。
その言葉が、俺のお守りになってるんだ。嬉しい、なんて浅い感情じゃ言い表せられない。ぐちゃぐちゃになったマグマの中で悶え苦しんでそれでも、
それでも、生きなきゃ。そう思えたんだ。救われてるんだよ俺がお前らに。

ありがとうじゃなくて、そんな他人行儀な物言いじゃなくて、だから、俺も約束することにした。

なあ、めちゃくちゃに苦しくて辛くて痛くて痛くて仕方なくてさ。
何も世界は悪くなくて、きっと誰も悪くなくて、それでも24時間何かに責められ続けてる毎日でそれでも生活しなきゃいけなくてさ。
唯一の幸福である酒さえかりそめで、次の日はその前借りを取り立てる世界で一番タチの悪い債権回収屋になって襲ってきて。
死にたい。死にたいわそりゃあな。それでも、それでも
幸せになりたいから。
それを願うことすら罪のような気さえして、でも幸せになりたいんだよ俺は。今までの全てのクソを全部一発でぶち壊して、チャラにして、精算してそれでも有り余るような、
生きててよかった。
そう、心の底から言えるような。

生きるってのは目的じゃないだろ。生きたい、なんて思うのはその先に理由があるからで。
生きたい、なんて今の俺にはまるで思えなくてそれでも
それでも、生きるよ。
それでも生きるから。

地獄の底みたいに暗い夜を超えて、息も絶え絶えに起きるたび目に入る景色が灰色でも、
俺たちはいつかさぁ とんでもなく美しい、きらきら輝いてとめどないピンク色の朝を迎えられるはずだろうが。
そうだろ。絶対に。ふざけるな、灰色のまま死んでたまるか。死なねーぞ俺は。まだ何もやれてない。まだ何も貰っちゃいないんだよ俺は。

だから、約束するから。死なないって。死んだように生きたって、絶対死なないって約束させてくれ。
今年もよく一年生き延びた。頑張ったよな、俺たちは。一年間、死にそうになりながら死にたくなりながらそれでもなんとかまた一年間。本当に、よく頑張ったよな、えらかったよな。
もう、お前らだけの命でも、俺だけの命でもないから。生きような。クソな生活だけど、クソな人生だけど。生きような。絶対に。見返してやろーな。

きらきらしたピンク色の朝の日に、一緒に泣きながら抱き合って。俺たちを苦しめてきたもの全てに唾を吐いて、見返してやろうな。

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