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きみの名はカッサータ

自宅の近所にはコンビニがない。

あるにはあるのだが、セブンイレブンもファミリーマートも歩いて15分。ローソンは20分という微妙な距離感。
そして、わたしは免許もなければ自転車も乗れない。

日照りの夏におろおろ歩くよりは、バスで10分の駅まで行ったほうが安全と判断した。空調が効いていないと、気になるあの子は溶けてしまうから。

気になるあの子とはこれだ。

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流行りものの名前が思い出せない話で、次にこれが流行るんじゃないか、と恣意的、かつ雑に書きっぱなしていたアレだ。

今のところ、コンビニ各社ではローソンでしか扱っておらず、人気なのか、取扱いが少ないのか、駅周りを3軒回ってようやく見つけた。

ガリガリ君やスイカバーがひしめく、平置き冷凍ストッカーではなく、
冷凍フルーツや総菜が鎮座する、重い扉を押し開けた先に。

《カッサータ》とは、イタリア・シチリア島発祥のドルチェ。

一般的に、リコッタチーズのクリームにドライフルーツやナッツを混ぜ込み、型に入れて冷凍したアイスケーキである。果汁やリキュールを塗布したスポンジに重ねることもあるという。

何年か前にお洒落なイタリアンレストランに行った際、デザートに出てきて初めて知った。一番左の、派手な豆大福みたいなのがそれだ。これはスポンジがないタイプだった。

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右端のフォンダンショコラが衝撃的においしくて、残念ながらカッサータはその音楽用語みたいな名前しか記憶に残っていない。

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ごはん一膳が約200~250kcalだから、1個84kcalはケーキにしては相当低カロリーという印象。

原材料表記が「乳等を主要原料とする食品」なので、低脂肪のリコッタチーズを使用しているかどうかまでは分からない。

「乳等を主要原料とする食品」とはずいぶんあいまいな表現だな、という印象を抱くが、要は、乳または乳製品に油脂などを配合した加工品を意味している。「乳製品」は、選ばれし原料しか名乗れない厳しい世界なのだ。

あとほんとうにどうでもいいのだが、裏面表示を作成する部署にいた際、「乳等を主要原料とする職人」と打ち間違えた人がいて、「赤ちゃんやん」と総ツッコミを入れられていたのをまた思い出してしまった。

本当にどうでもいいので開封。

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1袋2個入りで、店頭標準価格は税込399円。

ホールケーキをカットしたような扇形の立体で、直径は約9㎝、高さは2~3㎝、中心角は目視45度くらいと小ぶりながら、ご丁寧にグラシン紙が敷かれ、側面は透明フィルムで守られている。

容器は斜めの部分で1個ずつに切り離せる。手早く食べたいときには皿いらずなうえ、取り出しやすいように空間が設けられている。それでいて、輸送途上で可食部が動きにくい設計。

冷凍とはいえ、全国津々浦々のローソンに出荷されるだろうに、トッピングのナッツやドライフルーツがほぼ落ちていないのはすごいと思った。

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きれいな顔してるだろ。ウソみたいだろ。
コンビニで売ってるんだぜ、これで。着色料も使ってないんだぜ。

クリームの白地に、ドライクランベリーの赤やピスタチオの緑があまりにも映えるので、にわかに上杉達也がタッチしてくる。

解凍しなくても食べられるというので、そのまま頂いた。

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見た目ほど甘くない。


1~2時間解凍したらまた違うのかもしれないが、クリームは拍子抜けするくらいさっぱりあっさりとしていて、ドライフルーツの甘酸っぱさやナッツの香ばしさが際立つ。

なめらかながらひんやり冷たいクリームも、速攻で常温に戻ったスポンジが受け止めてくれる。夏場、小腹が空いたけどアイスやかき氷だと物足りないな…あれもはや液体だしね…というときにいい。

なにより、冷凍ケーキなのにすぐ食べられるのがすごい。

欲を言えばもう少しクリームの厚みがあるとうれしいが、売価に反映されるから、わがままは言わない。

映える見た目、低カロリー、ドライフルーツ&ナッツ、という昨今のトレンドを押さえたスイーツではあるものの、要冷凍ゆえに持ち帰りに気を遣うのが難点ではある。あと、季節を選ぶ。

製造側にとっても、少々手間がかかりそうなのと、やはりアイスケーキという点で、簡単に手が出せない気がしている。

でも、なんだか遠いところから来たおしゃれな転校生のようで、気になる。
しばらく、少し離れたところから見守っていよう。

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