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再エネ事業を効率化するクラウドプラットフォーム「Tensor Cloud」を開発/第91回Growth Pitchレポート

地球温暖化対策の議論は長年進められており、2015年のパリ協定では世界の気温上昇を1.5度に抑える目標が掲げられました。2050年に向けてCO2排出をネットゼロにする「カーボンニュートラル」の達成が全世界的に求められています。

近年あらゆる分野でCO2排出削減に向けた技術開発が行われていますが、それぞれに課題は山積しています。今後、エネルギー市場を取り巻く環境はどのように変化していくのでしょうか。

2024年7月11日、福岡市の官民共働型スタートアップ支援施設「Fukuoka Growth Next」は、「Growth Pitch 〜エネルギー特集〜」を現地・オンラインのハイブリッドで開催。

エネルギー領域でビジネス展開する4社がサービスや協業ニーズについてピッチしました。本記事では、Tensor Energy(テンサーエナジー)株式会社(以下、Tensor Energy)の模様を紹介します。

Tensor Energy株式会社
https://www.tensorenergy.jp/

発電所の増加に比例し現場負担も増すばかり

Tensor Energyは、再生可能エネルギーの発電事業に向けたクラウドプラットフォーム「Tensor Cloud」を開発・提供しています。福岡に本社を構え、2023年には「J-Startup KYUSHU」に選定、2024年3月にはプレシリーズAラウンドで4.5億円の資金調達を実施するなど、今、注目の企業です。
 
再生可能エネルギー発電事業は、30年間にわたる事業計画立案や土地の調査・購入、資金調達、そして運用開始後は長期にわたる資金と電力の管理など、手間のかかる業務が多く存在します。
 
現状では、多くの作業が人手に頼っているため、担当者1人で管理できる発電所の数に限界があります。一方で、発電所の数は急速に増加しており、1社あたり年間100件以上のペースで増えている状況です。
 
そこでTensor Energyは、発電事業に必要なさまざまなデータを自動的に集積し一元管理できる「Tensor Cloud」を開発しました。AIを活用した資金や電力の管理業務の効率化も可能です。さらに運用に携わる多様なステークホルダーが、共同で作業できるワークスペース機能も搭載。発電事業における固定費の大幅な削減を実現します。

蓄電池とクラウドで実現する「次世代の電力管理」

Tensor Energyの強みとしては、再生可能エネルギー分野での深い業務理解や優れたUX設計能力、迅速な技術開発力、グローバルな組織などが挙げられます。

現在「Tensor Cloud」は、大手リース会社と電気事業者のパートナーシップで107件の発電所運用に活用され、リリースから1年で158か所の発電所に採用されています。最近では、九州エリアでの電力価格の低下問題に対応するため、蓄電池を活用したプロジェクトも開始しています。

6月1日から熊本県荒尾市で大規模な蓄電池併設メガソーラーの運用を開始し、「Tensor Cloud」を活用して太陽光発電量や市場価格の予測、入札、発電計画の提出などの自動化をサポートしています。
 
今後は財務管理機能の強化、需要側の予測機能の実装、海外展開などを計画しており、再生可能エネルギー分野でのさらなる貢献を目指します。
 
CEOの堀氏は、「九州でFIT太陽光発電所を運用している事業者との連携や蓄電池の運用を行うアグリゲーターとの協業を求めています。特に出力抑制などで収益が落ちている事業者に向けて、FIPへの転用や蓄電池導入の支援を提案しているので、ぜひお声かけください」と呼びかけました。


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「Growth Pitch」では、福岡市の官民共働型スタートアップ支援施設「Fukuoka Growth Next」が、毎月異なるテーマのスタートアップを招集し、投資家や地域企業に向けてピッチを披露する機会を設けています。

次回は8月8日に第92回Growth Pitch「大学発スタートアップ特集」を開催します。無料で現地・オンライン共に参加可能です。みなさまのご参加をお待ちしております。

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