マガジンのカバー画像

小説アンソロジー『FFEEN vol.1』

7
さまざまな個性を持った7編の小説からなるアンソロジーです。参加作家は、佐川恭一・河野咲子・旗原理沙子・林やは・二宮豊・竹中優子・和泉萌香。小説の可能性を模索するため立ち上げられた…
640円でマガジン内の小説7編がすべて読めるようになります。 ※本アンソロジーは、今後リリースさ…
¥640
運営しているクリエイター

記事一覧

旗原理沙子「あどけない」

 

林やは「紡がれるほとり」

あらゆる脈がある、たどって、先へいく、いずれ、なにものでもないところがあるはずだ、救済、…

竹中優子「みどりちゃん」

 みどりちゃんと出会ったのは店先だった。店にはいろんな子がいた。派手なプリントで目立って…

河野咲子「雨カズラの生長」

 天井に雨雲たちが垂れ込めている。  垂れ込める雨雲のもとでわたしは浅く眠っている、眠っ…

二宮豊「駆除屋」

 扉を開ける前に、いちど間を置いた。ノブに手をかけると、向こう側に満ちた空気を感じた。扉…

和泉萌香「雨のなか眠っているおとこ」

   あなたはだれ? と聞いた気がする。ここではないどこか。夢のなかだったっけ。直接、そう…

佐川恭一「シスヘテロ男性の三類型とその傾向分析」

プロローグ  私の考えでは、シスヘテロ男性(以下簡単のため、本稿における「男性」はシスヘテロ男性を指すものとする)のとりうる形態は極言すれば「童貞」「素人童貞」「下半身先行型排泄機械」の三通りしかない。したがってある人間が男性を批判する様式も、究極的には三通りに集約できる。本稿の目的は、現代における代表的な文学作品や最新の研究成果に着目することによって、この仮説を論証することである。 童貞  まず一つ目の類型は「童貞」である。ここで私は、擬似私小説的手法で世界的な童貞文