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弱さの個展

今日吉祥寺での旅の個展が無事終了した。

そして今、私は書くことでしか自分を慰められないから書いている。

自分は本当に欲深いと思う。 

本当に。

個展には沢山の人が来てくれた。
インスタグラムをみて来てくれた大学の友達、サークルの同級生、
高校の友達。
そして私の母もサプライズで自分の同級生と一緒に来てくれた。

本当に嬉しかった。

来てくれた方が書き残してくれたゲストノートの言葉たちはどれも優しくて
読んでいるだけで私の心を温めてくれる。

しかし、寝る前の私の頭と心には違った情景が刻み込まれてはなれない。
何度も何度も再生される。

会場は月曜日が定休日の絵本屋さんだった。
月曜日が定休日であることを知らず、絵本屋さんにくることが目的で訪れた方、
普段絵本屋さんを利用している方、単純にお店に絵本が見たいから入ってくる方々ももちろんいらっしゃった。

その方々からすると、私の展示は邪魔でしかなかった。

本当に邪魔だった。

私も、私の展示も空気でしかなかった。
むしろ空気以下だ。

お店に入ってから私のパネルの隙間から絵本を探している様子だったので
何度もパネルを退けた。

旅のポストカードたちよりも「私のワンピース」のポストカードの方が
ずっと魅力的だった。

旅のお土産も確かに沢山置いていて、一つ一つのストーリーも
一緒に書いてはいたけれど、
そのお土産たちの隙間に置かれた
絵本「ももたろう」の便箋のほうがよっぽど可愛らしかったようだった。

ネパールの紙でつくられたノートよりも
そのうしろにおかれているお店の常設展示の
古本や絵本のほうがずっと価値のあるものだった。

「今日は特別仕様なんですね、
 またしっかり絵本屋さんの時を楽しみに来ます。」

とでていった方もいた。

悪いのは私だ。

私の個人的なやりたいのせいで、せっかく絵本屋さんに来てくださった方々の
見たい絵本や雑貨は邪魔な展示に隠れてしまった。

素敵なお店は、欲深い私の欲の色で塗り替えられてしまった。

傲慢なのは私だ。

自分のことなんて、誰が知りたいんだ。
私一人の思い出になんて、誰が興味あるんだ。

子どもたちのためにかかれた素敵な絵本。
その前に私はただただ自分の経験を語っているだけなんだ。

自分だけならいい。

でも、パネルをどかすとき写真のなかに写った
人々の笑顔を見て胸が痛んだ。

ちゃんと魅力を伝え切ることができず、
ひとつひとつのお土産を見ながら
職人さんの顔を思い浮かべて何度も何度も謝った。

何度も何度も。

自分の伝えたいことだけ書いて、その想いが人に届けられるなんて。

そんなに世の中は甘くない。

自分の楽しいで始めた。
お土産一つ一つと向き合い、ストーリーを書く作業が本当に楽しかった。
それを本としてまとめるのも楽しかった。
みんなで準備するのも本当に楽しかった。
当日来てくださった方々と話すのも時間を忘れるほど楽しかった。

なにより私の選んできたお土産は職人さんと、そこで出会った人々の優しさの
塊みたいなもので、それを見て欲しかった。
伝えたかった。


それなのに、絵本やさんの中で自分の存在が空気でしかなくなった瞬間
辛くなる。

私の中にその人はいるのに、その人のなかに私がいないと知った瞬間
胸が何かでぐさっと刺されたような気がした。
自分が透明人間になったような気がした。

自分に注目して欲しい。
自分のものを見て欲しい。

そういう心なんだろうか。

そんな私は本当に自意識過剰な嫌なやつ。
というか個展を始めている時点で嫌なやつだ。
自己満足でしかない。

自己満足に他人を巻きこんでるだけ。

だから、空気以下なんだ。
透明人間なんだ。

私という存在は、常にそこにあり
量産される絵本以下の存在だ。

もうそろそろ、これくらいでいいんじゃないか、私。
これが始まると永久に抜け出せなくなってしまうんだ。

知ってる。

自分が一番自分をいじめるのが上手いんだ。
誰よりも強くて痛い自分を傷つける言葉を
生み出せるのは自分だ。
殺すことだって簡単にできる。

一人で旅にでて、つよいね。
勇敢だねって何回も言われた。

全然そんなことない。
こうやって泣いて泣いて泣いて。

自分で自分を殺そうとして
人に止められ、優しさに包まれて、助けてもらって生きている。

あの旅は私の弱さの結晶だ。
だから全然強くない。
強くなくて、打たれ弱いのに
私は社会、そして世界という荒波に自分を晒している。

こうしている今もこの文章を投稿することにより
私は社会に身を投じている。

でも信じたい。
自分が空気じゃないってことを。
自分はしっかり存在していいんだってことを。
あなたと私として透明人間じゃなくて、人間として扱ってもらえることを。

だからきっと私はこうして文章を書き、
こうしてまた殺されにいく。

救われにいく。



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