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夜雨の名画座

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鑑賞した映画の記録。旧作多め。
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#note映画部

夜雨の名画座一覧

ご紹介をした映画の一覧を作ってみた。 公開年代(たぶん)順。映画史的なところから何かが見えてくると面白いかな。 2024/06/16 現在 21本 1952/昭和27年 ◯ 次郎長三国志/次郎長売出す … 🎬マキノ雅弘 1955/昭和30年 ◯ 泥棒成金 … 🎬アルフレッド・ヒッチコック 1956/昭和31年 ◯ 赤線地帯 … 🎬溝口健二 ◯ 洲崎パラダイス/赤信号 ... 🎬川島雄三 ◯ 流れる … 🎬成瀬巳喜男 ◯ 日本橋 … 🎬市川崑 1957/昭和32

映画『泥棒成金』(1955)

こんばんわ、唐崎夜雨です。 日曜の夕べは映画です。 というわけで今夜ご紹介するのは『泥棒成金』(原題:To Catch a Thief)。 アルフレッド・ヒッチコック監督の1955年の作品。カラー映画。 ヒッチコックは「サスペンスの神さま」と称されるほどサスペンス映画を多く撮っていますが、『泥棒成金』はサスペンス色はやや控えめで、ヒッチ流のロマンティック・コメディといった趣を感じさせる楽しい作品です。 また『泥棒成金』は、グレース・ケリーと南フランスの美しい風景をとらえた

映画『地中海殺人事件』(1982)紺碧の海をコール・ポーターで

こんばんわ、唐崎夜雨です。 これまで夜雨の名画座では、アガサ・クリスティのミステリーを映画化した『オリエント急行殺人事件』(1974)、『ナイル殺人事件』(1978)をみてきましたが、今回はそれに続く作品『地中海殺人事件』(1982)です。謎を解きあかすのはもちろん名探偵エルキュール・ポワロ。 『ナイル殺人事件』と『地中海殺人事件』の間に、アガサ・クリスティーが生んだもうひとりの名探偵ミス・マープルが登場する『鏡は横にひび割れて』が同じプロデューサーによって映画化(邦題『ク

映画『洲崎パラダイス 赤信号』(1956)

日曜の夕べは夜雨の名画座。こんばんわ、このところお休みの日に天気がすぐれない唐崎夜雨です。夜雨の名が悪かったかしら。ということで今日は雨の降る映画をご紹介。 1956(昭和31)年のモノクロ映画『洲崎パラダイス 赤信号』を見る。監督は川島雄三。 上映時間は81分。これくらいの尺は手軽に見られて理想的。 離れられないずるずるべったりな関係の男と女の物語は、長いと重っ苦しくなる。 それと、これくらいの時間だと冗長的なシーンがない。 橋から始まり橋で終わる物語 映画は隅田川

映画『ダンケルク』(2017)

こんばんわ、唐崎夜雨です。 今年のアカデミー賞でクリストファー・ノーランが『オッペンハイマー』で監督賞を受賞。今夜は祝!というわけではなく、クリストファー・ノーラン監督作品の『ダンケルク』(原題:Dunkirk)を見る。 『ダンケルク』は、最近見ていた『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』、『空軍大戦略』、『鷲は舞いおりた』と同じく、英国チャーチル首相時代が舞台の作品です。 とりわけ、同じ2017年の映画『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救っ

映画『ナイル殺人事件』(1978)

こんばんわ、唐崎夜雨です。 毎週日曜日は映画の随想を投稿することに決めて、今日が最初の日です。 先日アガサ・クリスティ原作の映画『オリエント急行殺人事件』(1974)を投稿したので、今日は同じくクリスティ原作の『ナイル殺人事件』(1978)です。 ミステリーですので、未読および未見の方のためにネタバレはちょっと控えます。 小説および映画の原題は『ナイルに死す(Death on the Nile)』です。シリーズの統一感を出すために邦題を「死す」から「殺人事件」にしたので

『オリエント急行殺人事件』(1974)名探偵は悩まない

こんにちわ、唐崎夜雨です。 今日の映画は、ミステリーの女王ことアガサ・クリスティの代表作のひとつ『オリエント急行殺人事件』(原題:Murder on the Orient Express)です。 2017年にケネス・ブラナーが監督した作品もありますが、今回お話しするのは1974年シドニー・ルメット監督作品です。正直なところを申し上げると、シドニー・ルメット版のほうが好き、かなり。 ひとつにはキャスティングの豪華さ。 ケネス・ブラナー版も豪華な顔ぶれですが、シドニー・ルメッ

映画『日本橋』(1956)露地の細道、駒下駄で

こんちゃ、唐崎夜雨です。 今夜の映画は泉鏡花原作の『日本橋〔にほんばし〕』(1956)。とうに過ぎてしまいましたが、春、ひな祭りのころになると見たくなる映画。 監督は『犬神家の一族』などで知られる市川崑。脚本は市川崑監督夫人でもある和田夏十。カラー映画。 映画『日本橋』は、淡島千景、山本富士子、若尾文子と三女優が芸者となりて妍を競う逸品。古今東西の女優でいちばん好きな女優は、淡島千景〔あわしま ちかげ〕。 淡島千景は宝塚歌劇の出身。1950年松竹から『てんやわんや』で映画

映画『空軍大戦略』(1969)Battle of Britain

こんにちわ、唐崎夜雨です。 今日の映画は1969年の『空軍大戦略』。原題は『Battle of Britain(バトル・オブ・ブリテン)』。いまなら原題のカタカナ表記を邦題にするかな。 本作は1940年のイギリス空軍とドイツ空軍の戦闘を描いたものです。監督は『007ゴールドフィンガー』のガイ・ハミルトン。 マイケル・ケイン、ローレンス・オリヴィエ、クリストファー・プラマー、ロバート・ショウなど名優が出演していますが、誰が主役ということはない群像劇。いろいろなエピソードが続き

映画『青べか物語』(1962)

こんにちわ、唐崎夜雨です。 今日は日本映画の旧作をご紹介。 昭和37年(1962)公開の川島雄三監督『青べか物語』。脚本は新藤兼人。 山本周五郎の同名小説が原作。浦粕の地に滞在した作家の先生が、土地の人々を描いた小説。随筆のような味わいがある。 タイトルの「青べか」とはDVDジャケットにもある小舟。色が青いべか船で、青べかと呼ばれる。 浦粕の人々はべか船で漁に出る。作家の先生は青いべか船を地元の爺さんに売りつけられる。 あらすじ作家の先生(森繁久彌)は都会を離れ、東京近

『鷲は舞いおりた』(1976)チャーチル拉致作戦

こんばんわ、唐崎夜雨です。 今日の映画は『鷲は舞いおりた』。原題、The Eagle Has Landed。 1976年ジョン・スタージェス監督作品。 原作はジャック・ヒギンズの同名小説。細かいことですが、小説は『鷲は舞い降りた』で、映画は『鷲は舞いおりた』と表記が微妙に異なります。 先日『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』(2017年ジョー・ライト監督)を鑑賞したので、今度もチャーチルがらみです。とはいえ『鷲は舞いおりた』では、ほとんどチャーチル首相の

『ウィンストン・チャーチル / ヒトラーから世界を救った男』(2017)って、タイトルが長いわ

こんばんわ、唐崎夜雨です。 今夜の夜雨の名画座は『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』です。邦題、長いわ。2017年ジョー・ライト監督作品。 原題は『Darkest Hour』。直訳すると「最も暗い時間」。 夜の明ける前がいちばん暗いらしい。と、言うことは、やがて明るくなりはじめるという意味でもある。 本作は英国が国家存亡の危機を迎えた1940年5月の数週間が描かれています。チャーチル個人の伝記映画というわけではない。 本作品はアカデミー賞で6部門にノミ

『ドラキュラ』(1992)石岡瑛子の衣裳デザインを堪能する映画

こんばんわ、唐崎夜雨です。 先日、今年のアカデミー賞のノミネート作品が発表されました。今年は日本映画ならびに日本人のノミネートがあり、なかなか活躍が期待できそうな、予感。 3月11日(日本時間)の授賞式が楽しみです。 さて、今宵ご紹介する映画は1992年、フランシス・フォード・コッポラ監督の『ドラキュラ』。 原題は『Bram Stoker's Dracula』。 原題に“ブラム・ストーカーの”と原作者の名前を冠したのは、これまで映画スター・ドラキュラ伯爵は原作からかなり離

映画『ゼロの焦点』(1961)~能登金沢が舞台のミステリー~

こんばんわ、唐崎夜雨です。 わりとよく映画を見ます。新作も見ますが、どちらかというと古い作品を好んでみます。 そこでnoteでも、ときどき映画の話をしていこうと思います。 題して「夜雨の名画坐」。 能登や金沢を舞台にしたミステリー記念すべき最初の映画は松本清張原作のミステリー『ゼロの焦点』(1961)。 監督、野村芳太郎。 脚本、橋本忍・山田洋次。 今年、元日の地震により甚大な被害を受けた能登や金沢が舞台の映画です。 作品の時代設定は1960年頃かな。原作は能登金剛を自殺の