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「波紋」は、いい意味で裏切られた映画でした!

「かもめ食堂」「めがね」「バーバー吉野」など、
ユーモアがあって美味しそうな料理が印象的なほっこりした作品の多い
イメージの監督荻上直子さん。

元々、荻上監督が好きなので前情報をあえて入れず観に行ったところ
「波紋」は、いい意味で裏切られました。

「波紋」は一言でまとめると中年女性の生きづらさ。
 痛いほどリアルに伝わってきました。
 更年期障害での心身不調に加えて、福島の原発問題から失踪した夫と身勝手な息子と義父の介護や仕事のストレスとこれでもかとメンタルが削られる出来事が降りかかってきます。

放射能、介護、新興宗教、障害者差別などさまざまな問題が少しずつ波紋となっていきますが一番はジェンダーの問題として描かれていました。

主人公が「良き妻・良き嫁」像に縛られ続けており、それをおかしいと思いもせず我慢し続け、信仰にすがることで何とかやり過ごそうとする過程がリアルで、既婚の女性はひとつひとつのエピソードに共感する方も少なくないのでは?

この作品の着想は、監督がとある新興宗教施設の前を通りかかったときの施設から出てきた小綺麗な格好の女性たちを目にした光景と日本の家父長制がはびこるジェンダーギャップ。
コメント内の
「私は、この国で女であるということが、息苦しくてたまらない。」というのが印象的でした。

驚いたのは映画館には半数が一人で観に来ている中高年の男性だったこと。
性別や自分の置かれた環境で感じるポイントも違うので思わず質問したくなるような映画でした。

個人的には奥さんが専業主婦の方は全員観た方がいいのでは、と感じました。


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