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歯車3

持ち帰った星を頭上に吊るした
ベッド脇に1つ
連絡路に1つ
トイレに1つ
風に揺られみんな寝てる
これで夜間の作業が捗る
時々目を覚ましてサーカス団の事を尋ねてくる
「まだ」と答えると
顔をしかめてまた寝る

星の山から大きな砂埃が舞い上がっているのが見えた
双眼鏡を覗く
星を大量に積み込んだダンプカーが列をなして西に移動している
回収にきた

エンジン音で星達が一斉に目を覚ました
「サーカス団は?」
「来た?」
「来た?」

「後1000年は来られないって!」
星達はため息を吐いてまた寝た
ここに来られただけで随分幸せなのかもね
君らの仲間はどこかに連れて行かれているよ

怖くなれば引き返せばいい
私が帰れなければ彼らはここで朽ちればいい
でも吊るしたロープが先に力尽きるのかもしれない
私は私の場所にいたことがない
初めて見る不思議な生物たち
星とのふれ合い
永遠に続くステンレスのお墓

スロットルを回した

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