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#045 私だけの3本のカクノ

 私はセーラーの万年筆「ふでDEまんねん」で絵を描いている。ペン先の角度が55度と40度の2種類あるが、私は40度の方を使っている。しかし、A5サイズ程度の大きさのものを描くときは、以下に紹介する3本のカクノを使っている。カクノはパイロットの万年筆だ。
 1本は「ふでDEまんねん」風にペン先を曲げてもらったもの。ただし、その角度は30度。小さな作品なので細い線で描くことが多い。40度では線が太くなり過ぎて絵が潰れてしまうので、ペン先の曲げの角度を30度にしてもらった。
 もう1本はEFのペン先を少し細くしたもの。これをEEFと私は呼んでいる。更にもう1本はEFを極端に細くしたもの。これはUEF(ウルトラEF)と万年筆愛好家の間で呼ばれているもので、ヘアラインの線を引くことができる。影の部分をハッチングで表現する際、小さな作品の場合はハッチングの斜め線が強すぎると描いているものの形が崩れることがある。なるべく細い線でハッチングする必要があるのだ。
 「ふでDEまんねん」風にペン先を30度曲げてもらったカクノを裏返せば細い線を引くことができるのだが、カクノの首軸は三角形になっており、裏返すとグリップが不安定になる。少しの作業であれば不安定のまま描くが、ここは正確にハッチングを掛けたいという場面では、EEFやUEFのカクノに持ち替える。
 首軸の丸いカクノがあれば問題が解決されるのだが、カクノで絵を描く人はほとんどいないだろうから期待はできない。

 私だけの3本のカクノ。この3本の万年筆のお陰で、小さな絵を描くことを楽しむことができている。
 万年筆の存在と職人の技術に感謝している。

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