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ヴィーガンズハム

あらすじ
肉屋を営むヴァンサンとソフィーは倦怠期を迎え夫婦の危機に直面しており、店の経営は傾いており、友人で同じく大型チェーン店の肉屋を営むマルクとステファニーに見下され、マウントを取られ放題だった
ヴァンサンとソフィーの店は度々過激派ヴィーガンの襲撃を受け、店をめちゃくちゃにされており、ある日過激派の1人を見かけたヴァンサンは、勢い余って過激派ヴィーガンを車で轢き殺してしまう
死体の処理に困った2人は、殺したヴィーガンをイラン豚、と称して肉屋で売る事にしたが、それが大好評になり、今までにないほど店が繁盛してしまう 勢いに乗った2人は、ヴィーガンに扮してヴィーガン達を狩る、という二重生活を始める事になるが、娘が連れてきて2人に紹介した彼氏も筋金入りのヴィーガンだった…

(物語の重要な箇所に触れています)

この映画に登場するような過激派ヴィーガンではなくとも、自分の思想や意見や感情のみを主張し、こちらの事などまるで無視で自分達の主張だけを受けいれる事だけを望むような人間達に疲れている人達にとっては、この映画はダークなんだけどすっきりとした爽快感を得られると思います

過ぎたるは及ばざる如し、の言葉の通り、この映画に出てくるヴィーガン達の主張は辟易するようなものばかりです 肉を食する人間は自然や命を軽視してる、と攻撃するけど、自分達が人を傷つけてるのは無自覚であり、その矛盾が滑稽なほど浮かび上がってきます

社会的倫理観など吹っ飛ばし、振り切りまくってヴィレッジピープルのマッチョマン、の曲に合わせてヴィーガン達を狩っていくヴァンサンとソフィーの姿に大笑いしちゃいますが、これもまた自身の行動への客観性を、そして自分自身をも、見失っていく怖さもしっかり描かれていると思いました 

ある意味食物連鎖の頂点にいる強者感からか、サイコパス味が加速するにつれ、どんどん垢抜けて輝いちゃうのが不気味だけど納得でもありますし、余裕かましてヴィーガンを狩るようになった2人に観ているこちらも犯罪がバレないかハラハラしつつ、この映画のどこに感情移入するかで、普段自分自身が置かれている立ち位置にも気付く事が出来るこの映画

グロいのはちょっと…という方にはおすすめ出来ませんが、非日常感覚で楽しめるけど、ちゃんと日常に落とし所のあるこの作品は観る価値が充分にあると思います!

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