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愛と憎しみの伝説

あらすじ
ハリウッド黄金期の大女優ジョーンクロフォードは成功や富や名声など全て手に入れた自分の人生に欠けているものは子供の存在だと考え、養子を迎えクリスティーナと名付ける
マスコミを通した世間の目に映るのは理想的な美しい親子の姿のジョーンとクリスティーナだったが、完璧主義で全てをコントロールしなければ気が済まないジョーンはクリスティーナに対して苛立ちを隠せなくなる
成功へのプレッシャー、老いていく事への恐怖などからジョーンはお酒に依存するようになりクリスティーナとクリスティーナの次に迎えた養子のクリストファーに対してジョーンは常軌を逸した躾をするようになっていく


(物語の重要な箇所に触れています)

ハリウッド黄金時代の大スター、ジョーンクロフォードの死後に娘のクリスティーナクロフォードによって書かれた母ジョーンについての本を映画化したのがこちらの作品です

この時代の映画スターの自伝や伝記を読むと強烈なエピソードが非常に多くて驚きますが、この映画に登場するジョーンのエピソードもなかなか強烈でした
ジョーンクロフォードという女性はスターの座に上り詰めるまでの苦労は並大抵ではなかったようで、非常に意思の強かった女性に間違いないようです 映画スターを物扱いするような圧倒的男性優位の映画界のシステムの中で数々の修羅場を乗り越えてきたであろうジョーンの強さは、映画の後半ペプシコーラの役員と結婚した後に夫と死別したジョーンが役員会で男達に対して一歩も引こうとしない凄みのある場面で特に感じる事が出来ました

そしてジョーンクロフォードと娘クリスティーナの関係性について
クリスティーナの本の中にジョーンがクリスティーナと息子であるクリストファーに対して繰り返し虐待を行ってきた事について書かれていた事が大きな話題になりましたが、この映画に登場するクリスティーナという人物像の掘り下げ方が今ひとつなので(特に成人後のクリスティーナ)彼女の苦悩が伝わりづらい難点があります そして最初メイクによって力技でジョーン本人に近づけようとしている風に見えたジョーン役のフェイダナウェイも中盤からジョーン本人が乗り移っているとしか思えない演技を見せてくれるのですが、やはり強烈な大スター、ジョーンクロフォードが全面に出過ぎていて1人の女性としての苦悩が観ているこちらに伝わりにくいのも残念な点に思えるのですが、それは実際のジョーンクロフォードという女性が最後までスターとしてのイメージを守り抜こうとした側面が強かったからなのでしょう

世間がイメージするジョーンクロフォード像を崩さないように周囲を巻き込みながら自身を徹底的にコントロールした挙げ句に本当に自身が望んでいる事すら見えなくなってしまったようにも見えるこの映画のジョーンクロフォードという女性
そしてそんな母に怯えながらも必死に認められ愛されようとしたクリスティーナ

この映画の有名すぎるシーン、なんで針金ハンガーが!!!!と白塗りの顔で絶叫するジョーン役のフェイダナウェイがあまりにも凄すぎて思わず笑ってしまうのですが(このシーンでこの映画に多くの熱狂的なファンがいるのも事実)、ハリウッドという特殊過ぎる世界の犠牲者とも言える母と、そんな母から愛されたいと切実に願う娘との決して交わる事の無いお互いの想いはこの映画のラストに要約されていると思いました(史実通りのようです)

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