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ノルウェーのベッドルームロック 「Girl in Red」 【ANTENA #9】

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※投稿時点

今年のBBC Sounds 2021にもノミネートした22歳のノルウェー出身シンガーソングライターマリー・ウルベンによるソロプロジェクト。

17-18年ごろから注目され始めたのだが、自作曲「i wanna be your girlfriend」は、その年の『The New York Times』が選んだ楽曲ベスト10に選出されるなど、新人アーティストとしては異例のランクインを果たした。

そんな初期のサウンドを聴いていると、北欧のポップさとドリーミーを兼ね備えたベッドルームポップに仕上がっているのだが、
しかしメジャーデビュー作『if i could make it go quiet』では、グランジ/ロック感のある疾走感やノイジーさを感じる曲が中心になっている。

歌い方もフィオナ・アップルのような少ししゃがれた感が感じられるようになり、白から黒に、ふわふわからソリッドに。
本人はラベル付けにあまり意味が無いと考えているようだが、べッドルームのドリーミーさ、グランジの内省的なロック感、そして北欧ポップがうまく合わさった感じかも。一言でこのジャンルと位置づけてしまうのは難しい。

また最新アルバムの一曲目である「Serotonin」はビリー・アイリッシュのお兄ちゃんが共同プロデュースで参加していたりするのだが、
それにしてもこの曲、かなり自傷的なことを歌っていながらサウンドはしっかり壮大なメジャー感のある(いい意味でギャップのある)作品になっている。
これまでは内省的な表現になっていたが、もはや部屋を飛び出して自分のパーソナルがよりみんなに届いて小さな勇気に変わるように、声高く叫んでいるようにも思える。

インタビューではあまり他者から影響を受けることは少ないと語っていたが、ビリー・アイリッシュやビーバドゥービーは同世代ということもあり、どこかでお互いに良い影響を与えあっているのだろう。

 また彼女を語る上で、クイアやセクシャリティといったことは語らずにはいられないのかもしれない。初期の楽曲ではレズビアンを公表するような作品もリリースしており、現在では「クイアのアイコン」と言った扱われ方をしているようだ。

マリー・ウルベンは、そのファッションを見ても片田舎の女の子という感じがする。そんな彼女だからこそセレブリティや、アーティスティックな象徴にはできない、より等身大の自分たちに語りかける「リアルな響き」として届けることが出来るんじゃないかと、そんな気がする。



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