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2023年上半期洋楽アルバムの中で、最も発見的だった10枚を紹介

今年はようやくコロナも収まって、海外アーティストの単独来日だけじゃなくて、サマソニやフジといったまだまだラインナップには少なめだけど海外アーティストが(そして特にバンド)しっかり開催されるのが嬉しい。

でもちょっとライブ離れしている自分がいたりして、購入するのになぜか一呼吸置いちゃうなんてのありませんか?
そんなことをしていたらBlack Country,New Roadは売り切れてしまい、とてつもない後悔が襲ってきたので、そうならないようにAlex Gのチケットはちゃんと購入しておきました
「でも公演は、12月かよっ!」

さておき、今年は3月からTikTokを開始したこともあって、毎週金曜日の洋楽アルバム発売情報を食い入るようにチェックしていたりします。
そんな日常が淡々と進んでいくのですが、良かった作品ではなく「発見」をテーマに全10作品をPick Upしてお届けします。

いままで知らなかったアーティストや処女作をリリースした新人を中心に紹介していきたいと思ったのは、単純にそんな「良い作品」との出会いがあったなぁと思うことが、何度も訪れたから。

FennecのTikTokアカウントをフォローしてもらうと、このように良いアルバムとの出会えると思います。
みなさんももし好きな・お勧めしたい洋楽アルバムがあったらぜひコメントで教えてください。
この中から新たな出会いがあったら、ぜひアルバムを聴いてみてください。

Jawny 「It’s Never Fair,Always True」

ベックの後継者

当ブログ記念すべき最初の投稿で紹介したJawnyのメジャーデビューアルバム。彼のカラフルでファンキーなベッドルームポップの世界観が、さらに広がりを魅せるファンクやヘビーなオルタナロックの要素が加わり、僕らがどうしても頭に過ぎらずにはいられない原点Beckとのコラボレーション曲「take it back」など、彼の多彩な才能が光る曲が揃っています。
JAWNYが夢を追いかけるためにL.A.に移ったことを反映し、自由で楽しげなパーソナリティが溢れた作品になったのですが、ただやっぱりまず最初に聴くのは、過去リリースの「Honyepie」や「Trigger Of Love」が先かなぁ。

Feebie Little Horse「Girl with Fish」

ほんわかノイジー

ピッツバーグを拠点とする4人組バンド。インディー的なポップさに、ノイズやシューゲイザーといった爆音を奏でる。
21年のデビュー作『Hayday』に続く、この2ndアルバムはSaddle Creekからリリース。
セルフレコーディング・セルフプロデュースによる作品で、ポップさもありながら、大胆なノイズを取り入れたインディーロックになっている。
自分たちが直感的に好きなもの、仲間たちと笑い合えるもの。そういった信頼とコラボを大切につくられた全11曲。ゆるふわなジャケットも特徴的。

Water From Your Eyes「Everyones's Crushed」

クレイジーすぎだろ…

レイチェル ブラウンと、ネイト エイモスによるブルックリンのデュオ。21年にリリースされた前作「Structure」以来となるアルバムはMatadolからリリース。
聴いてわかる通り、ノイズ、エレクトロニカだけでなく時にヘヴィなのに、「ん?ポップ?」という瞬間もあるヘンテコだが、それもどこかクセになる音。
キュートでいて凶暴、生々しくもなぜか洗練されたように感じるNYらしい実験的なアートポップサウンドは、頭の中をぐちゃぐちゃにしてくれるけどなぜかまた聴きたくなってしまうのよね。

Saya Gray「QWERY」(EP)

アソートのふりかけ

カナダのトロント出身で、日本とカナダのハーフのマルチ・インストルメンタル奏者/シンガーのサヤ・グレイ。Dirty Hitと契約し、22年にデビュー・アルバムをリリースしている。
EPは音楽、ライブ、そしてビジュアルからなる多面的なプロジェクトで、「ok FURIKAKE」や絵文字曲「;)」など7曲が収録されており、アートで実験的でもありながら、ラウドな要素まである多様なサウンドがマッシュアップしたかのような遊び心のある挑戦的なサウンドを楽しめる。
そんな音が故に、若干まとまりがなく彼女のジャンル性がわかりづらい気もするが、色々な表情が顔を出し、次はどんなものが出てくるのか?聴いていて楽しくなってしまう作品だと思う。

BC Camplight「The Last Rotation Of Earth」

ただの禿げたおっさんじゃなかった

アメリカからイギリスに移り住み、マンチェスターでの経験を唄にした傑作3部作から3年振りとなる新作は、壮大な映画的な作品に仕上がった。
婚約者との別離を経て、いままで作っていたものをほとんど破棄し2ヶ月で集中的に完成させたらしく。
そもそも中毒症状で、マンチェスターへ移住したことでデビューにつながったものの。そこからの国外追放、父親との別離などの自己破壊的な禿げたおっさんだが、この作品はなんとも美しい。
表現することで自分と向き合いセラピー化するアーティストらしい制作方法ながら、贖罪ではないと語る。
未来はわからないが、苦悩も自分にして新しいなにかに向かって進むことができる。そんなことに気づかせてくれる作品。

Panchiko「Failed at Math(s)」

パチンコかと思ったら、パンチコでした..。

97〜01年の4年程度の活動期間で、2枚のCD-Rリリースだった無名バンドの音源が、16年にネットユーザーがアップしたことで、
1st作『D>E>A>T>H>M>E>T>A>L 』が一部マニアの間で注目を集め、20年にはまさかの正式リリースとなった。
その注目を元に、2021年には再結成も行い今回の作品リリースに至るという夢物語がほんとか嘘かはさておき。
ささやくような歌声のシューゲイズに、煌くエレクトロニカを現代のベッドルームで作ったかのようなメロディは、90年代オルタナファンはほんと必聴!

100 gecs「10,000gecs」

アルバムごとに桁数が増えてくよ

エレクトロニック・ミュージック、ヒップホップ、パンクロックなど、様々なジャンルの音楽を融合させた、斬新かつアバンギャルドな作品として注目度大!
10曲中多くは2分程度の短い曲で、爆速で現れ爆速で去っていく。
それぞれの曲は、ほとんどが高速なビートやボーカルの自動チューンなど、過激なサウンドで構成されていて、まるで異世界から飛んできたかのような奇妙なサウンドは、そのキャッチーさの渦の中に巻き込んであなたの音楽体験を完全に塗り替えてしまうだろう。

Kara Jackson「Why Does the Earth Give Us People to Love?」

ミニマムだが、心地よい

コロナ期間中に子供の頃を過ごした寝室でオリジナルのデモを作り上げ、そのデモをもとにNnamdï ,Kaina,Sen Morimotoといった同郷のゲストのサポートの中、再レコーディングした作り上げた全13曲を収録。
一聴すると男性?と思ってしまうような広い声域を持つアルトのヴォーカルが印象的で、全米で賞を受賞するほどのリリックが、感情的なフォークのメロディに流れて、語りかけるようにより強く響き渡る。
全くの伏兵で、すっと馴染むように耳から入ってくるサウンドが気に入って上半期はほんとによく聴いてた。

Bar Italia「Tracey Denim」

検索しても、イタリアのバーしか出てこねぇ…

今年一番の「発見」と言えるかも。
ロンドンを拠点に活動するニーナ・クリスタンテ、ジェズミ・タリック・フェフミ、サム・フェントンによる3人組バンド。
これまで2枚のEPのような分数のアルバムをリリースしているが、今回は名門Matador Recordsから15曲入りのアルバム作品としてリリース。
メンバー3人による翳りのあるボーカルや、スロウに語られるノイジーなギターロックは"ポストパンクのバラード"と、面白い表現で評される。

Wednesday「Rat Saw God」

90年代を生きた人間には、どうしても刺さってしまう

MitskiのNPR『Tiny Desk』をみて、ギターを始めたカーリー・ハーツマンがWednesday名義で音楽活動をスタート。
その後、正式にバンド化しさらにアルバムを制作していく。
3rdアルバム『Twin Plagues』は、各メディアでも高い評価を経たが、そのリリースの数カ月後には本作の録音を開始。
カントリーのリリック、オルタナティブのローファイさ、時にシューゲイザーをも感じさせるノイジーなサウンドが特徴で、ソングライターのカーリーが描く歌は、Pavementを彷彿とさせる温かみのあるメロディに溢れている。
23年大注目のインディーバンドのアルバムを聞き逃し無いように!


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