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「リモートセッション」をめぐる思考演習

「リモートレコーディング」「リモートセッション」なるものが流行っている。本来狭義でいう「リモートレコーディング」とは、ディレクション・録音素材の共有がリアルタイムで行なわれるものであろう。これに関しては、"Audiomovers""Soundwhale"等各社の開発が進みかなり惜しい段階まで来ていて、あと一歩で実用出来るかどうかという雑感だが、実際問題海外とのやり取りとか『未知のウイルスの世界的流行』でもない限り、面倒臭くてやらないのが実状であろう。(以前、海外との「リアルタイム」のやり取りをしたときも、一般のDATA転送サービスとSkype を組み合わせ、かなりの時間差のやり取りをした記憶がある)


「リモートセッション」と「DATA納品」

さて現在巷で行なわれている「リモートレコーディング」は、各人が自宅等で一人で録音したものを重ねて行く手法が大半だと思われるが、これは我々の言葉で言う「DATA納品」で、実用レベルで一般的になったのは10年程前だろうか。こんな、いわばローテクな手法が今なぜ新鮮に写るのかを改めて考えてみる。

一番大きいのは当然、動画込みの作品であると言う事。そしてその多くは個別の固定カメラで撮影されアプリなどで簡易的に編集される為、必然的にマルチアングルになるという事。また、「stay home」感が強調されるのも、時流に合致しているのか。

というわけで、自分のバンドSPICY KICKIN'のメンバーに掛け合い「やってみた」様子を振り返る。自分的には今後の展開を見据えた上での実験のつもり。

MEMO①: 今後、動画編集は必須スキルになる。

以下は、今後動画編集スキルは必須になると感じている動画初心者の奮闘記込みで。


Vol.1 "S.T.R."

見る側は好きなアングルをじっくり見る事が出来るので、違う見方が生まれ何度も見る事が出来る。各人の録音環境や自宅の風景が垣間見れるのも、付加価値の一つか。撮影環境・画質・画角などが各々異なるので、より異空間が強調されたちょっとした違和感が大事なポイントなのかもしれない。

MEMO②:時系列は一つでも空間は分ける事が出来る

動画編集は全く0からのスタートだった為、これはRoland の4XCAMERA というiPhoneアプリとiMovieを使用。オーディオは別ファイルでDAW上でミックスして映像に戻した。ところが、恐らくこのアプリはそういった使い方を想定していないのか、オレの技術不足か、各カメラのフレームレートの違いや、DAWからエクスポートした映像が混じっていたりで、ズレが生じている。


 Vol.2 "Back in the Day"

第一弾の反省を元に、映像関係を軽く勉強してみる。通常レコーディングに動画撮影の一手間が加わるだけなのだが、実際やってみると色んな問題に気づくものだ。3ポイントライティングなどの撮影の基礎知識、動画編集のコマンド一つ一つを、いちいち検索し進めて行く。YouTube上にはこういった事全てにチュートリアル動画が存在し、またあらゆる機材についてレビュー動画がアップされており大変参考になった。

MEMO③: WEBは動画化する

4分割画面だけでは、映像作品としてさすがにアレだろうと思い、FinalCutProX のマルチカム編集をトライしてみる。思いの外、簡単に出来るもんだ(入り口は)。また段階的な発展をしないと面白くないので、Vocal録りを要素として加えてみる。


Vol.3 "Venus"

人の拡がりを加えてみる。
馴染みのミュージシャン・エンジニアにお願いして参加してもらう事にした。各自自由にやってもらう事に意味があると感じていたので、あまりこちらからの注文はせず。結果、素晴らしいサウンドに。リモートなのに、弓の方向がバッチリ揃っているあたりもさすが。

MEMO④: 意外といい曲だった

多少編集にも慣れてきたが、効率の悪いやり方が多い。恐らくもっと簡単に出来る方法があるはず。ファイル管理の方法は、いまだ分からず。


Vol.3 "Venus" Extra Edition**

当初から、音楽と音楽以外のモノを結びつける何かを色々試したいという個人的思惑があった。そこでまず友人のタカノハシアキラという男を主役に据えた動画を撮る事にした。彼は、ドラマー・芸人・俳優・演出家・料理人と、才能が散らかった男で、個人的にとても現代的だなと常々感じている。とにかく人間観察力が秀逸で、彼の持ちネタ「細かすぎるドラマーモノマネ」(驚異の29万回再生)の番外編という位置付けで、とあるレジェンドドラマーにフォーカスする事に。

プロのヘアメイクを入れ、三軒茶屋Grapefruit Moon の全面協力の元、高品位撮影。顔・表情・フォーム(特に右肩)・フレーズ、本家を知っていればいるほど笑える作品になったのではないかと。編集後、レジェンドドラマー様に直接電話して許諾を頂く。笑って頂けたようで何より。

MEMO⑤: レジェンドはスケールも器もデカい。


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