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臨床で腰痛のママを担当することになったらあなたはどうする?
皆さんは妊娠中・産後の女性のリハビリを担当したことはありますか?
または身内や友人が出産し、自分も何か力になってあげたい!と感じたことはありませんか?
私が勤務している整形外科クリニックには、
多くの妊産婦さんが来院されます。
そのためリハビリを担当する機会も多々あります。
今日はそんな経験をもとに
「ママの体の変化から考える腰痛」
についてお話しします。
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![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/65355120/picture_pc_11d749f7a530ee2edd7c3e26aa68891d.png?width=800)
(参考)現代の妊婦のマイナートラブルの種類、発症率及び発症頻度に関する実態調査
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjam/23/1/23_1_48/_pdf
これを見ると、
8割以上の方が妊婦さんが腰痛を抱えています。
妊産婦さんの腰痛が起こる主な原因は、妊娠出産での体の変化。
この体の変化を知っておくことは臨床上とても大切になります。
では、解説していきます!
妊娠中に体にどんな変化が起きている?
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/65355138/picture_pc_82281fce92d19495239dca92d4ae2105.png?width=800)
妊娠中ってめちゃくちゃ体が変化します。
ほぼ全身変わるんじゃないかってくらい。
ざっと挙げるとこんな感じです。
・子宮:妊娠末期で妊娠前の500倍の容量に
・乳房:妊娠中に妊娠前の3-4倍の重さに。
授乳中はさらに肥大。
・骨盤:リラキシンホルモンが全身の関節周囲の結合組織を弛緩させる。
恥骨結合や仙腸関節が弛緩し、分娩時の骨盤の開きを助ける。
子宮の増大に伴い骨盤底が2.5cm下がる。
・お腹:妊娠末期で腹囲は約100cmに。
妊娠前より腹直筋は約15cm伸長される。
腹直筋の間にある白線の離開(腹直筋離開)が起きやすい。
・体重:妊娠末期には8−10キロの増加。
・体型:妊娠中に脂質の蓄積が起こる。
血中コレステロール値、皮下脂肪の増加。
皮下脂肪は、乳房や上腕後面、大腿後面、殿部などに蓄積しやすい傾向。
妊娠中から産後にかけての姿勢の変化によって筋力が衰える。
などなど循環器の部分も含めるとここに書ききれないほどあります。
ここから腰痛に関わる項目だけをまとめて解釈していきます!
妊産婦さんが腰痛になりやすいのはなぜ?
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/65355204/picture_pc_7f3ccd29f5e2cc604e65be2fa7a57deb.png?width=800)
今までお話しした内容から、
腰痛になる原因をPTっぽく考えていきます!
・乳房の肥大と腹囲の増大によって後方重心、Sway back postureになりやすい。
・体重増加、子宮容量の増加により骨盤底筋群の機能低下を起こしやすい。
・腹囲の増加に伴い、腹筋群は引き伸ばされて筋出力が低下する。
・子宮の増大に伴い胸郭・横隔膜のコンプライアンスが低下する。
これに加えて、出産時には
・出産時に会陰切開・裂傷(Ⅱ度以上)で骨盤底筋群へのダメージが加わる。
・鉗子分娩、吸引分娩ではさらに骨盤底へのダメージが強い。
・帝王切開では腹直筋を切開する。
以上のことを一言でまとめると
妊娠出産を経験した体は、体幹を保つのに必要なインナーユニットが上手く機能し難い状態になる。
腰痛が起こる原因の多くはこれです。
ママの腰痛を評価する
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/65355253/picture_pc_d053a065e76329170a1925253ec09b4d.png?width=800)
これらを頭に入れた状態でママの体を見ていきます。
評価の内容は
①インナーユニットの機能評価
②いわゆる腰痛の評価
③妊娠出産の経過をヒアリング
④結果を統合して腰痛の原因考える
ざっくりいうとこんな感じです。
① インナーユニットの機能評価
いろいろな方法があるとは思いますが、わたしが臨床でよく使うのはこれ。
Active SLRテスト:下肢挙上の際の体幹動揺や内省を評価します。
・ASISから骨盤圧迫→腹横筋
・PSISから骨盤圧迫→多裂筋
・恥骨結合ラインから骨盤圧迫→骨盤底筋群
・胸郭圧迫→横隔膜・胸郭
圧迫することで各筋の働きを補助し、どこの機能低下が原因で不安定性が起きているかを評価します。
② いわゆる腰痛の評価
診断名から必要と考える検査測定を行います。
それに加えて、産後の女性には仙腸関節障害の可能性を考えて評価を行います。
妊娠出産時に仙腸関節周囲の結合組織が弛緩し、仙腸関節の動きが起こるからです。
わたしが普段行っている検査はこれ。
・distraction test
・compression test
・thigh thrust test
・sacral thrust test
この4つのうち2つが陽性であれば仙腸関節障害がある可能性が高いと判断します。
③ 妊娠出産の経過をヒアリング
このヒアリングも大事です。
「3人目の出産だったけど、赤ちゃんが骨盤にハマって陣痛が長引いたから緊急帝王切開になったの〜。」って方はインナーユニットへのダメージがさらに大きそうだなと推測できるので!
ヒアリングする内容はこんな感じ!
・妊娠中に切迫早産で安静臥床期間がなかったか?
・妊娠中に腰痛はあったか?(妊娠中の有病率と産後の有病率が関連する)
・何回目の出産か(3回以上の出産で腹圧性尿失禁の危険因子が増加)
・分娩時間(分娩第2期の遷延が肛門括約筋損傷のリスク因子)
・鉗子分娩、吸引分娩の有無(肛門括約筋損傷のリスク因子)
・会陰切開、裂傷の有無(鉗子、吸引分娩の方は全員が会陰切開)
・緊急帝王切開か予定帝王切開か?
・赤ちゃんの大きさ(3000gが平均的)
最後に
④ 結果を統合して腰痛の原因を考える
をして、アプローチに移っていきます。
運動療法に関しては、産後のママの場合「手首の腱鞘炎」を患っている場合があるので、四つ這いなどで手のひらに荷重する時は配慮しましょう!
育児動作が疼痛の原因となっていることも多いので実際の育児動作を観察することも大切なポイントです。
まとめ
・妊娠、出産を経験するとインナーユニットが機能しにくくなる
・妊娠、出産の経過によってはさらにインナーユニットへのダメージが加わる
・ヒアリングと客観的評価が大事
参考文献
理学療法Vol,34 No,12 2017
病気がみえる 産科
PTジャーナル 第47巻 第10回
ウィメンズヘルスリハビリテーション
井原成男:妊婦の腰痛,産科と婦人科 1992,59
Teasdale,1988
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■産後の女性を担当することになったらコチラ!
ライター:徳嶋美希
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理学療法士。整形外科クリニックで産前産後のママのリハビリをしています!体は硬いし運動は苦手な私だからこそ「本当に必要な運動を必要なだけ」お届けしていきます。「すべての女性が産後のからだケアを受けられる世の中に」をスローガンに掲げ正しい情報でママの体を守るために活動しています。YouTube10万回再生超。妊娠出産で変化した体を守り正しく整える方法をお伝えします!
わたしについてさらに詳しく知りたい方は
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1人でも多く、痛みを抱えるママを救えますように。
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