☆また、キキを探して、路地を歩きました   ☆☆

この春から、キキを探し、歩き回っています。
先に報告しましたように、キキに会いたいのです。
あれから、四半世紀たっているので、きっと、立派なおとなの女性になっているのでしょう。母親似かもしれません。

先日、みなとみらい8丁目の元町地区を歩いていたら、いつの間にか知らない路地に入りこんでいました。
間口の狭い雑貨屋さんがありました。
店先の小さなワゴンの中に、子供のキキが描かれたをポストカードを見つけました。
なぜか古色もついてて、懐かしく、手にとって眺めたりしていました。
人の気配がなかった店の奥で、ガサゴソ音がして、何かせかされるように感じ、その場を離れてしまいました。

裏通りに出て、いつもの景色のなか、人をよけたり、くるまの通過に
立ち止まったりしながら、歩いて行きました。
新しい店の開店の準備に忙しく立ち回っている工事人
白い前掛けをしめた料理人が、小さなカフェに入って行く姿
道路きわまで並べたテーブルをふくレストランの女子スタッフなど
その裏通り独特の生活感が漂ってました。

あるところへ来ると、ふと電柱に目をひかれました。
その電柱は下から上まで、まるごと一本、濃い緑色なのです。
何度も通っているのですが、はじめて気づき、チョッとした驚きでした。
その濃い緑色の電柱は、形状は普通のコンクリート製のものと同じようです。しかし、よく見ると、チョット質感に艶がありました。
そこから先は、遠近法でかいたような裏通りの先を見通す景色の中
要所要所に緑色の電柱が立っているのです。
特別感があり、なにかの目印のようにも思えました。

狭い通りで、一方通行ですが、ピカピカの外車も、時々通って来ます。
若い2人乗りバイクが、大きめの音量と声量で通って来るときもあります。
良く知られた観光地でもあるので、普通のことなのでしょう。
そんな中、観光客よろしく、キョロキョロしながら歩きます。

すると、通りの先に、1本、電柱が曲がっているのを見つけました。
濃い緑色の電柱が、3m位の高さで一度斜めに曲り、すぐ、直って
空へ向けて立っているのです。
車や人をよけるためなのか、とも思いました。
その曲がった電柱を目指して行くと、そばにあの店がありました。
前回、訪ねたハーブと香料のお店です。
なぜか、そのことの偶然に、奇妙な感じがしました。

ヨーロッパの洒落た町の路地にある、ビストロのような格子の窓が
道路に面していて、入り口のドアがその電柱と同じ濃い緑色のなのです。
何度か見ているのに、はじめて見かけたような新鮮さでした。

ドアは、空いてましたので
「こんにちは」と、小さく呟くように言いながら入りました。
スタッフの女子は、前回来たときと同じ女子だと、すぐにわかりました。
会釈すると、彼女も思い出してくれたのでしょう
ニコッとし、「いらっしゃいませ」と迎えてくれました。

「先日買ったハーブ、とても気に入って使わせてもらってますよ」と話しか      けました。
「ありがとうございます」
「今日も、店長さんは、忙しいようですね、、、」
「ええ」
勝手に、店長が、おとなになったキキの第一候補者と思っているのです。
店長は、来週から始まる、ハマのまちの開港イベントにかかわっている
らしく、時々しか顔を出さないとのことでした。

店内をみわたすと、隅のほうに、黒衣装の魔女の小さな人形がありました。
キキが箒にまたがって、飛んでいる姿そっくりでした。
店長のお友だちの作家さんが作ったものだそうです。
やはり、キキに関係のある店だと直感しました。

「香料でもお茶でもいいんですが、これからの季節のお天気病に効くものは    ありますか ? 頭が中がボーッとするんですよ、、、」
「ここにはないんですけど、店長、何でもよく知ってるんで、聞いときまし    ょうか?
  先日、おばあさんの持病の相談にものって、ティーを調合してあげてたみ      たいですから、、、
  でも、わたし、いつも店にいるわけじゃないですが、、、」
「そうですよね。学生さんでしたよね。うれしいなー。わたしもいつ来れる    かわからないけど、できたら、また、会えたら、ということで、、、」
そんなふうに、確かなことではないけど、店長さんへ聞いてくれると言う
返事をもらいました

次回の来訪では、店長のことが少し確かめられるかもしれないと、チョット胸が高鳴りました。開港イベントが終わったら、すぐ来ようと思いました。
それにしても、緑の電柱の列と、途中で折れ曲がって伸びる電柱、思い出すたび、不思議な気がします。


8丁目、元町地区の裏通り






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