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フィリピンの小分け文化に適応!ひと口たい焼き「Tiger Manju PH」の日本食ビジネス戦略

こんにちは、フェリペ中島(@Felipe_Nakajima)です。

今日は、最近モールで目にして興味を引かれた、ひと口サイズのたい焼き屋さん「Tiger Manju PH」をご紹介します。

現在、爆発的な人気とまではいきませんが、日本の食文化をフィリピン人に受け入れやすいサイズに調整し、巧みに販売していると感じたため、取り上げることにしました。

この記事では、Tiger Manju PHの事例を通じて、フィリピンで日本の食文化を売り込むためのヒントを、個人的な見解を交えてまとめていきます。

フィリピンでのビジネスに関心をお持ちの方にとって、参考になれば幸いです。


ひと口サイズのたい焼きを売る屋台「Tigher Manju PH」

まずは、Tiger Manju PHのサービスについて特徴と概要をお伝えします。

参照:Tiger Manju PH

Tiger Manju PHは、フィリピンのセブやマニラのモール内にある屋台式のたい焼き屋さんです。私はセブ島のITパークにあるアヤラモールで見つけましたが、マニラにも店舗があるようです。

特徴

参照:Tiger Manju PH

私が店舗を見て感じた特徴は以下の通りです。サイズ(価格)感、体験要素、地元フレーバーが参考になると思います。

  1. サイズと価格

    • ひと口サイズの小さなたい焼き

    • 1つ11ペソ(約30円)と手頃な価格

    • 日本の通常サイズの約1/7の価格(日本のたい焼き:200円?)

  2. 販売方法

    • モールの屋台で焼きながら販売

    • 制作過程が見られるのも魅力の一つ

  3. 味の種類

    • 5種類の基本フレーバー

    • シーズンや企業とのコラボで様々な味を展開

フレーバー

参照:Tiger Manju PH

特徴的なのは地元フレーバーのチーズ・ウベ。ウベは、紫色の芋。フィリピンではアイスや菓子パン、お菓子など何にでも紫色のウベ味があります。

  • チーズ・ウベ(フィリピン定番の紫芋味)

  • バニラカスタード

  • ベルギーチョコレート

  • ミルキーキャラメル

  • チョコナッツ

※日本の定番味「あんこ」は提供されていません。

価格比較

Tiger Manju PHのひと口たい焼きがどのくらい手頃な価格か知るためにフィリピンの他のスナックやドリンクの参考価格を記載します。

Tiger Manju PH:1つ11ペソ(約30円)

  • フィリピンの他の商品:

    • 路端のアイスコーヒーやタピオカ:40ペソ(約100円)

    • コンビニアイス:25ペソ~(60円~)

    • 菓子パン:5ペソ~(15円~)

企業概要

Tiger Manju PHは、日本の伝統的なたい焼きをフィリピン市場に適応させた好例ではないでしょうか。サイズと価格を現地に合わせ、フレーバーも現地の好みを考慮しています。また、製造過程を見せる販売方法は、商品への興味を引き立てるとともに、SNS時代に適した広告効果も期待できる抜け目のないサービスを提供しているように思います。

※公式ホームページや詳細な企業情報は確認できませんでした。以下はFacebookで公開されている情報です。
※韓国発ということなので、韓国人の方が始めたビジネスかもしれません。

小分け売りはフィリピンの王道ビジネス手法

街を見渡すとフィリピンでは、小分け売りが長年にわたって一般的なビジネス手法として定着しているようです。この方式は、多くの商品カテゴリーで見られ、消費者に広く受け入れられています。

昔からある小分け売り商品の例

路端で販売される調味料や油の小袋

フィリピンに限らず、ベトナムやタイなど東南アジアの国々では商品の小分けは一般的なようです。

  • 洗剤(1回分)

  • シャンプー(1回分)

  • ドリンク(190ml)

  • 調味料(1回分)

  • 油(1回分)

  • スナック(数g)

最近見られる小分け売り商品の例

スーパーに出店するたこ焼き屋
1つ12ペソ(30円前後)のたこ焼き、ひと口たい焼きと同じ価格帯
  • たこ焼き(もともとひと口サイズ)

  • 大判焼き(ひと口サイズ)

  • シュウマイ(1個売り)

  • グミ(ひとつ売り)

  • 香水(数十ml売り)

  • ワッフル(ひと口サイズ)

まだまだ街を歩けば事例はあるように思いますので発見次第追記していきます。

小分け売りが人気の理由

大袋(上)から1杯分(下)まで小分け売りされる粉ミルク

小分けが受け入れられる要因としてよくあげられるのが経済的要因と保存の利便性ではないでしょうか。

  1. 経済的要因

    • 低所得層でも手の届く価格設定が可能

    • 場合によっては大袋より単価が安いケースも

  2. 保存の利便性

    • 高温多湿の気候下でも鮮度を保ちやすい

    • 小さな住居でも保管しやすい

最近ではコストコ的な大容量売りのお店も増えてきたり、冷蔵庫やエアコンの普及に伴い、徐々に小分けで買う理由が薄れてきてはいますが、やはり習慣はなかなか変わらないのかもしれません。

※そもそも多くの国民はコストコ的な大容量売りお店には行きませんので、小分け売りの習慣は当分、いや、なくならないのかもしれません。

習慣という意味では、フィリピンの小学校では、日本とは違い「スナックタイム」というものがあります。

フィリピンのおやつ習慣「スナックタイム」

フィリピンの小学校では、「スナックタイム」というおやつの時間が10時頃に設けられています。子どもの頃から小分けのおやつを食べる習慣が形成されているようです。

典型的な1日の食事・おやつタイムライン:

  • 7時:朝食

  • 10時:おやつ(学校)※スナックタイム

  • 12時:お昼

  • 14時:おやつ(家)

この頻繁な食事・おやつの習慣が、小分け売り商品の需要を支える一因となっているのかもしれません。

ひと口たい焼きから見るフィリピン小分け販売のまとめ

フィリピンにおける小分け売りの成功は、経済的要因、気候条件、生活様式、そして食文化が複合的に作用した結果ではないでしょうか。Tiger Manju PHのようなビジネスは、こうしたローカルな市場特性を巧みに活用しているといえるでしょう。

小分け売りは単なるビジネス手法にとどまらず、フィリピンの社会経済的状況や文化的背景を反映した現象として捉えることができます。日本企業がフィリピン市場に参入する際は、こうした地域特性を十分に理解し、適切な戦略を立てることがポイントになるのではないでしょうか。

「日本の食文化」×「ひと口サイズ」×「味が甘い・濃い」

こんな要素をかけ合わせてビジネスを考えると面白いかもしれません。

最後に現地の雰囲気をお伝えするため、今回、街を歩き回って撮影した写真をいくつか掲載します。これらの写真を通じて、フィリピンの日常や食文化の一端を感じ取っていただければと思います。

190mlで販売されるコカ・コーラ
1つ5ペソ(約12円)の菓子パン
スーパーで小分け売りされるフルーツ
1ペソ(2.5円)で袋売りされている水
スーパーのレジ横にあるホットドッグ屋30ペソ~(75円~)
ペプシとポテトチップスの抱き合わせ販売
ねりものの串刺し販売
モール内のベーグル屋
モール内の肉まん屋1個40ペソ~(100円~)
モール内のローカルおやつ店
モール内のローカルおやつ店
フライドポテト屋1カップ47ペソ~(117円~)

今後も私の目についたフィリピンのローカルビジネスや個人的に興味が強いコンドミニアムを中心とした不動産市場、それに伴う都市開発などについても現地情報を発信していく予定です。

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それでは、また!

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