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「女だから」を、卒業しよう。

男性が圧倒的に活躍している世界で働いていた。

父が経営している会社だったことや、社内で一番若かったこと。
女性という引け目もあって社員の方々には気を遣って働いたつもりだが、今考えたら、気を遣わせていたことも多かったと思う。

経営者の家族ということもあり、給与は最低賃金。
だからといってラクできるワケもなく、立場上わたしが現場を取り仕切らなくちゃいけないことも多かった。

とはいえ、自分よりもキャリアが長く、年配の男性に指示を出す時は気が引けた。
なるべく角が立たないようにと考えた末、ヘラヘラしながら「お願い」することにしていたが、海外ドラマやアメリカ留学の影響を受けていた当時のわたしが目指していたのは「出来る女」。

仕事が出来る女=「男性に負けない強い女」だと思い込み、1人奮闘することも多かったけれど、日本育ち、昭和世代の純日本人のわたくし。
日本人女性として、男を立たせる必要があるとも思っていた。

そのせいか、仕事もプライベートも中途半端。

わたしにとってその極みが婚活だった。

170センチの身長に9センチのヒールを履き、男性よりも強くあろうとするわたしに声をかけてくる輩などいない。

しかし、気付けばわたしも結婚適齢期。

このままでいいのだろうか、という漠然な不安を解消するため、私は結婚相談所に登録した。

結婚相談員に最初にアドバイスされたのは「男性ウケするフェミニンな服装や態度」について。

ふわふわ
キラキラ
ゆらゆら

そんなキャラに合わない格好、わたしに出来るわけないだろが!!

と、突っぱねたい衝動に駆られたが、婚活という戦場に行くには、それなりの装備が必要なことを悟ったわたしは「女子アナ風ワンピ」を装着。

職場では若く見られないよう、女として見られないよう、バカにされないように演じながらも、髪をフワッ、ユルッと巻き、キラキラ光るピアスを着け、スカートを揺らしながら仕事と婚活に勤しむ日々が始まった。

すると、なんてことでしょう?

わたしを見る男性の目線が変わっていった。

「こんなことで?」という疑問と「こんなことでいいのかよ!」という怒り。

でも、モテたい。


そんな矛盾と下心を抱えながらデートを繰り返したが、会社では出来る女、婚活では女子アナと演じ分ける生活は、そう長く続けられるはずがない。

女子アナ風に化けることは出来ても、デートを重ねるほどに露出されていく自分の素質。

一番苦しんだのは飲食店などに行った際の会計時だった。

幼い時から聞いていた「誰がお前らの飯食わせてやってんだ!」という父の言葉と共に組み込まれた、

お金を払う=支配する者
お金を支払ってもらう=支配される者

という思い込みから、奢ってもらうことが怖くて出来ない。

特に男性に対してその思い込みは顕著で、奢って貰えば服従しなければならないという深層心理が働いてしまう。

逆にいうと、奢ってもらいたい、服従されたいだけの男性と出会えなかったとも言えるのだけれど、たかが数千円奢ってもらっただけで自分自身を熱烈大安売りをしてきた過去もある。

結婚を前提にそんなことはしたくないが、レジの前でモタモタ割り勘するのは絶対に嫌だった。

日頃から支払うことに慣れていたこともあり、男性がトイレに行っている隙に勘定を済ませることにした。

見た目は?だが、気付けば店も決め、会話も回し、支払いも済ませる女子アナ風の何者かになっていた わたしは女性をエスコートしたい男性からはモテなかったが、女性にエスコートされたい男性から好かれていた。

よく考えたら、自然の摂理。
しかし、そんな男性から好意を寄せられる度に傷ついてもいた。

だって、本当は男性にエスコートされたかったから。


キラキラ、ふわふわ、ゆらゆら……


わたし以外の女の子たちは、みんな可愛く見えた。

私も彼女たちみたいに「うふふふふ♡」と笑いながら、自然に甘えたり、委ねたり、曝け出せたらどれだけ楽なのだろうかと思うのに、それがどうしても出来ない。

問題は自分自身の中にあるのに、目に付くのは表面的なことばかり。

女性は見た目と年齢。
男性は見た目と年収。

婚活をするということは、当時の私にとって回転寿司のレールに乗せられた寿司ネタになることに近かった。

職業、収入、外見といった一定の品質を保ちつつ(シャリ)、モテるための衣装を身に着て(ネタ)、ある程度の体裁を整えたら(海苔)、次から次へと結婚相談所のデータベースにアップされる(レーンに乗せられる)。

どれにしようかな、と迷っているうちに誰かに食べられたり、食べたりして、間髪入れずにまた同じ新鮮な寿司がレーンの上に投入。

鮮度が命の回転寿司では、何周か廻ったら見向きもされなくなる。
そこも、婚活のシステムと似ている気がした。

誰だって、品質や見た目が怪しい食べ物は口に入れたくないことはわかっている。

でも、世界にたった1人の誰かと出会うために、みんなと同じような格好で同じ振る舞いをして、同じような会話をし続ける意味はどこにあるのだろう。

いくら好意を持たれても、偽っている以上、自分のどこに好感を抱いているのわからず自信が持てない。

それなのに、本当の自分を知ったら嫌われてしまうという恐れのせいで偽ることが止められない。

彼が好きなのは、女子アナ風の女。
それは、わたしではない。

モテるために偽っているのに、モテたら傷つく。

そんな負のループに陥っていた時、仕事で見ず知らずの男性から「女(わたし)じゃなくて上司出せよ」と横柄な態度で言われた。

私の言動を見て、下っ端と見なしたのだろう。

そう言われても、その場の責任者はわたし。
しかし、横柄な男性を前に「上司はいません」とも「私が責任者です」とも答えられず。

年配の男性社員にその場を変ってもらった私は、トイレの個室で泣くことしか出来なかった。

仕事では男を求められ、プライベートでは女を求められている気がして、どちらにも「ちゃんと」所属できない自分には、なんの価値があるのだろう。

そんな時、今でもお世話になっている年配の女性経営者に相談したことがある。

− わたしが女だから、こんな目に遭った。
− わたしが女だから、容姿や年齢で判断される。
− わたしが女だから、下に見られる。
− わたしが女だから、評価されない。
− わたしが女だから、稼げない。

同じ業界で働く女性として同情して欲しかったのだと思う。
慰めて欲しかったのだと思う。

「女だから」と弱音を吐きまくった。

しかし、わたしの話を最後まで聞いた女性経営者は力強く言い切った。

「そんなことはない」

思わずハッとして彼女の顔を見たわたしは、自分が恥ずかしくなった。


その後、結婚し、案の定すぐに離婚したわたしは自分自身から逃げて、逃げて、逃げてきた自分が遂に嫌になり、本気で生きることを心に決めた。

年収や外見だけで結婚相手を選ぼうとしたのも、
必要な知識や経験を補足するための勉強もせず、性別のせいにして逃げて、逃げて、逃げてきたのは全部、わたし。

ゆるふわロングヘアーからショートカットへ。
女子アナ風ワンピとハイヒールを脱ぎ捨て、お気に入りのTシャツ、ジーパン、スニーカーで歩き出した時の清々しさは一生忘れないと思う。

女でも、男でもなく、私はわたしでいたい。
でも、それを許せていないのは自分自身だ。

どうしたら、どうやったら、私はわたしとして生きれるの?

家族だけでなく、今まで繋がっていた友人関係も削除。
携帯電話とネット環境、テレビも削除し、ひたすらノートとペンを握り続け自分に問い続けた。

その後、私は必要な知識を身につけ、その女性経営者の元で「女だから」でも、「女だからこそ」でもなく、「じぶん」として活躍している姿を目の前で見せてもらった。

「女性」という性も、「年齢」「容姿」「学歴」「資格」も、私を構成する大切な一部。

でも、それが全てではない。

物事に真摯に向き合い、淡々と飄々と生きているだけで自分からも、そして他人からも、いつの間にか信頼されるようになることを教えてもらった。

だから、わたしも言いたい。伝えたい。

あなたを不自由にしているのは、性別じゃない。
年齢でもない。収入でも、学歴でも、容姿でもない。

あなた自身だ。

したいことをすることに、挑戦することに理由なんか要らない。
諦めることに理由も、言い訳も必要ない。

やりたいか、やりたくないか。

そのために必要な努力は、自分の心に従って素直に行動するだけだと思う。

わたしを自由にするのは、わたし。

だからもう「○○だから」を言い訳にするのは卒業。
これからは「したい」を理由に。

そんな仲間をこれからも日本中に、世界中に増やしていきたい。


Happy Women's Day



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