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ビル・カニンガム&ニューヨーク(2010/アメリカ・フランス/監督:リチャード・プレス)

1929年生まれのビル・カニンガムは、ハーバード大学を中退してニューヨークに移り住み、広告業界に足を踏み入れる。その後、帽子のブランドを立ち上げるものの一時兵役に就き、除隊後は再びニューヨークでファッション関連の記事を執筆するようになる。やがてカメラ片手に自転車で街に出て、精力的にストリート・ファッションの撮影を始める。(シネマ・トゥディより)


自分に誠実に生きるとはどういうことかなあと思った時に思い出した映画です。

以下、鑑賞時の感想。


80代にしてなお現役の写真家のドキュメンタリー。ファッションを題材としながら、ファッションとしての映画じゃないつくりで、バイタリティ溢れる彼の人生観を垣間見るような映画だった。

シャッターを切りたくなったら楽しいおしゃべりもお構いなしでシャッターを切る・切る・切る。ショーやパーティーにも顔を出すけど、ビルのホームはストリート、その姿はファッション関係者のそれというより戦場カメラマンに近いかんじ。

彼のように自分を律していつまでも誠実に生きて、なおかつ楽しげであることはとても難しいだろう。自分で課したルールくらい守りたいのさ、という潔さ。またビル自身はけしてファッショナブルじゃないけれど、その人らしい装いと瞬間を追い続けている彼の哲学とブレがなくて、生き方の指針は淀川長治を彷彿とさせるものがあって、ストイックな美しさがあった。

被写体を気づかい敬う気持ちをいつでも忘れない、画面にちりばめられた写真の数々はどれもチャーミングで、有名・無名問わず彼が見た一コマになっている。

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