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【葬送のフリーレン】#3.フェルンの誕生日


「フェルン。正直今日は言い過ぎだと思うよ。シュタルクの話全然聞いてあげないしさ」

宿には不穏な空気が漂っていた。
フリーレンが隣に座るとベッドは2人分の重みを沈ませる。

「…んんぅ」

フリーレンに指摘されたとてムスッとした顔は変わらない。
座れば自然と揃えられる指先は膝でぐっと握られ、礼儀正しさを欠いている。

フェルンには珍しく意固地な状態だ。

「だって。シュタルク様、私の誕生日忘れてて。...プレゼント買ってないって」

それを聞いてため息をつく目の前の男。

「あいつぁひとの誕生日覚えてる様なマメな男じゃ無いだろう。恐らく自分の誕生日も忘れてる位さ」

先日新たに迎えた旅の仲間、僧侶・ザインもシュタルクをフォロー。
怒りのままフェルンに脚を蹴られても言葉選びや対応はさすが大人だった。

蹴られた脚をさすり椅子に座るとタバコを口に当てる。

「ま。仮に忘れてないとしても、若い男には良くあるんだよ、女の子の欲しいもんが分からない事なんざ。シュタルクが何か言いたがってんなら話を聞いてみねえと、本心なんて目に見えないもんだろ?」

ザインから白い息が漏れる。

煙草にギャンブルに無精髭。
誠実なイメージを持たれる僧侶にしては不似合いな人格だが言う事はまとも。

フリーレンもそこは一目置いている。

「シュタルクんとこ、行ってやった方がいいと思うぜ?」

ザインは最後にそれだけ言うと部屋を出ていった。

部屋に残された2人。
フェルンの目はそっと俯かれる。

膨れ顔はいつの間にか悲しそう。
斜め下を眺めて何かを思っている様な表情だ。

フリーレンはその横顔を見つめた。

「わたし...」

ザインの言い分も分かる。

私は言い過ぎてしまったかもしれない。

シュタルクの事になると何故か自分がいつもの自分じゃなくなって。ムキになったり、感情が安定しなかったり、きつく当たってしまったり。。

言い争いの末、シュタルクは走って出ていってしまった。

追いかけた方がいいのは分かってる。
でも、、、

体は正直になれなかった。

(…だって私も…悲しいもん。)

フェルンの気は沈んでいくばかり。

「素直じゃないね」

フェルンを残しフリーレンはベッドから立ち上がる。

振り返りしゃがむとフェルンのやり切れない表情を下から覗いた。

「もやもやしてるんだ?」

無理やり目を合わせられる。

図星のフェルン。
目はわかり易くすっと逸れてゆく。

冷静さを取り戻しつつあるのか、フェルンの指先同士はこの時にはもう揃えられていた。

「人の心って言うのは面倒だね。目に見えてしまえば楽なのに。」

ため息と共によっこいしょと立ち上がる。

「... 」

浮かない顔のフェルン。
膝の上ではまた握り拳がつくられる。

フリーレンは、はぁ。と小さく溜息をつくとまたフェルンの横に座った。

今度はフェルンとの間に距離を取って。

「そんな顔してたんじゃいつまで経っても通じ合えないよ」

フェルンの表情は暗く沈んだまま。

そこから何かを決したフリーレン。
ベッドに着地させていた手は何かを求めてゆっくりと浮遊する。

「あのさ、モヤモヤしてるんなら」

上体を寄せてフェルンの膝から片手をすくう。

「おいで」

フリーレンはその片手を握り、フェルンのその身を自分へ引き寄せた。

フェルンは肘が伸び、腕は張り、次第に体が傾いていく。

「...ぇ」

俯いていたフェルンは驚き、視線は急上昇。

その先にはフリーレンの落ち着いた姿がある。

手は優しく握られる。
けれど同時に、強い力でフリーレンに引っ張られた。

「ち、ちょっと。...フ、フリーレン様?」

「浮かない顔してるなら目を覚まさせてあげる」

「何を...」

慌てるフェルン。
冷静なフリーレン。

今やフェルンの体は空いている片手で支えなければ倒れ込んでしまうほどフリーレン側に傾いていた。

「フェルンの悪いお尻。ここに乗せなさい」

「…え」

フリーレンには珍しく命令口調。
フェルンの目はフリーレンへ見開かれた。

「ん。...きゃっ!」

フェルンの体はこれ以上耐えきれずガクッと傾いた。

すくわれた手はフリーレンの前を順調に通過している。

フェルンの目線はいつの間にかフリーレンの膝の向こう側にあった。

「...あぁっ」

そのままだらしなく倒れ込んでしまったフェルン。
腹で着地するもフリーレンは引きはまだまだ止まらない。

「え。お尻って?あの、フリーレン様っ?!」

引かれていた手がようやく止まった。

フリーレンは微調整に入った模様。
フェルンの腰を浮かすと狙える程よい落下地点へと定着させている。

「頭がすっきりするまでは下ろさないよ」

「…っ!」

フェルンは慌てて振り返った。

フリーレンの膝にこんもりと盛られてしまったフェルンの胴体。

下腹部はフリーレンの膝に密着。
肘と膝小僧はシーツに着地する。

脚の付け根は自然となだれ、大きな胸はフリーレンの膝横にぶつかって下側を平たく変形させていた。

引っ張られた流れで手は顔の前に置かれる。

「フ!...フリーレン様?こんな格好嫌ですっ!はっ恥ずかしいですっ!!」

フリーレンからはジトリと視線が落とされた。

怒っても声こそ荒らげないが今は頗(すこぶ)る機嫌が悪そう。
それはこの体勢にされる前から理由は大体察せられる。

(私が意地っ張りだから…)

フェルンの額からは数滴の汗。

これから何をされるのだろう…。

「…うぅ…」

この状態から導かれる未来を察し、フェルンは堪らず顔を赤くする。

多分。きっとそう。

“お尻ペンペン”だ。

お仕置きをされてしまう。

フリーレン様にお尻を。。叩かれる……

フェルンは急いで膝から跳び退こうとしたがそれはフリーレンに阻止された。

「フェルン?」

「で、でも...!」

一瞬腰が浮くもまた初めの位置に戻される。

確かに、私が悪かった所もあるかもしれない。
けど、私はもうそんな事をされる歳ではない。

しかも18歳になったばかりの日に。

「…うぅ……ん」

フェルンの腰にはフリーレンの左手が乗った。

「フェルンが悲しかった事もきっとシュタルクには伝わってる。フェルンなら分かるよね、シュタルクがとても優しい人ってことくらい。今頃広場でああしたらこうしたらって俯いてるんだろうね」

「...」

「あとで会いに行くんだよ?」

「...知りませんよ。シュタルク様なんて」

そっぽを向かれる。
フェルンはひねくれてしまった。

「…そ」

フリーレンは冷たくそう言うと手を伸ばした。

フェルンの履くスカートの裾をたくし上げる。

急に涼しくなるふくらはぎ。
フェルンがその外気を膝裏で捉えるのは早い。

「ふ、フリーレン様っ?!やだっ」

「手は前に置いておいて。捲れない」

「捲らないで下さい!」

「駄目」

パンツが見えそうな高さまで来てフェルンの手の甲が重ねられた。
フリーレンによって集めまれたくしゃっと纏(まと)まるスカートはフェルンにも強く握られ、絶対にめくらせない意志を感じる。

しかしフリーレンはそれを許さない。
手の甲をタンタンと叩き、向けられる必死な目を目で制す。

咄嗟に伸ばした右腕。
反られた背はフェルンの胸の形を復帰させた。

「…だって。」

膝裏に集まった布を掴むフェルン。
手はふるふると震えている。

力ずくで剥がしに来ない辺りがある意味怖い所。

何も言わずただただ待つフリーレン。
時間だけが過ぎてゆく。

フェルンの自発的な意思に働きかけ、まるでそれを計っているかの様だ。

「...うぅぅぅ...」

暫く経ち、背筋も疲れてきたのかフェルンは項垂(うなだ)れる。両胸はまた潰れる。

進展しない状況とフリーレンの圧に負けたフェルンから力が抜ける。

手は嫌々、解かれる。

顔の前に揃えられる両手。
そっと伏せられる頭。
肌着を見られてしまう恥ずかしさがその身を震わせる。

フリーレンは防御が消え去るや否や、途中まで捲られたフェルンのスカートをまた拾った。

「フェルン。捲るよ」

「...ぅ。は、はぃ」

不貞腐れた様な少し怒りじみた声。
自分で出す肌と違って他人に出される羞恥心は密着する膝からフリーレンにも伝わっている。

「...」

フリーレンは眼下に横たわるフェルンのスカートをスっと上げた。

「...ゃ」

フェルンの下着が表れる。

その特徴的な髪色と反して純情な色。
そこから先へ伸びゆくすらりとした脚も、まだ何も知らない綺麗な肌だ。

詰まるような、押し殺すようなフェルンの短い吐息。
その漏れ出た方を向くと、頬と耳は煮えたぎる寸前の様な紅色だった。

フェルンが今どんな顔をしているか、想像に易い。

フリーレンはフェルンを隠していた長い布を腰の上で荒く纏めると視線をまた下へ落とした。

「これも要らないね」

腰元に触れられる。
ビクッと体がとび跳ねる。

恥に染まったフェルンがまた振り向くとフリーレンはその指を下着に潜り込ませた所だった。

「あっ嫌ぁっ!ぱんつはだめっ!!」

フェルンの手はまた必死に伸ばされる。

ズッと割れ目の始まりまで下げてしまうフリーレン。

恥じらう声と共に2つの片手が重なり合った。

「フリーレン様...。その。それだけは...っ」

18歳にもなってつくられるお仕置きの雰囲気。
それには耐えられても生の肌を晒す事だけは断じて受け入れられない。

自分が悪いとは思うが流石に打ち勝つ恥ずかしさ。

フェルンは涙目に下着だけはと拒んだ。

「フェルン?」

「 ..….ぃゃです」

「フェルン?」

「...だって」

「フェールーン」

「 ...っ」

下着を巡る攻防。
呼ばれる声は次第に強まっていく。

対してフェルンの声は叱られる度に弱まる。
けれど、必死だ。

「だってあれはシュタルク様が...」

互いの手の甲でお尻の始まりが見え隠れする。

途端に子供の様な言い訳をし出すフェルン。
今度フリーレンが時間を与える気は無い様だ。

「悪い子だね」

フリーレンは初めて力を込める。

絶対に下ろさせないと重ねられたフェルンの右手。
その手首は瞬時に掴まれる。

うつ伏せた状態で上に力は入りにくい。
フェルンは下着から半ば強引に手を外されると、曲げやすい方へ肘をぽっきりと折られ、最後はその手を背に抑え込まれてしまった。

「ああっ」

もう“悪い子“だなんて歳じゃない。
フリーレンに子供扱いされようもんならフェルンはいつもムッとする。

でも今は危機に瀕していてそれどころでは無い。

犯人逮捕の如く取り押さえられる右手。
着地する左肘は上体を反らされ、右の胸だけが若干浮いて形を取り戻している。

右手は完全に背中で封じられた。
抵抗する手段を無にされたフェルンは下着を下ろさない様必死に懇願する他無かった。

「下着を下ろさない仕置きは無いよ」

「やだっ!フリーレン様ぁ!!やああっ!」

なんの障害も無くフェルンの下着はするすると下ろされていく。

拒むフェルン。嫌がるフェルン。叫ぶフェルン。
その声は部屋中に響いている。

手は封じられては体を捻ることしか出来ない。
そうこうしている内に下着はフェルンのお尻を完全に出し、脚の付け根を経て膝裏まで向かった。

「ぁんっ!やだぁ!!…」

頭を横に振りフリーレンの名を呼ぶ。

その声はもう涙声だ。

下着の上からなら千歩譲って甘んじて受ける。
けらど年頃で多感なフェルンにとって膝の上でお尻を丸出しにされる事ほど効く罰は無かった。

「...フリーレンさまっ!やめて。嫌っ!!」

「そうだね。シュタルクもきっと話を聞いてもらえず嫌な気持ちになったと思うよ」

「そんなつもりじゃ。。ごめんなさぃ!フリーレン様っ」

「謝る相手が違う」

常に冷静沈着。
隊を取り持つしっかり者なフェルンの落ち着きはもうここには無い。

そこに居たのは、ただただお尻のお仕置きに怯える18歳の豊満な少女だ。

「さぁ。大人しくするんだ」

フリーレンは落とす目を厳しくする。

純白な下半身とは裏腹に赤く膨らんだ目元。
今にも泣き出してしまいそうな顔付き。

既にたっぷり与えられた羞恥心に加え、逃げ出す事など不可能だと思わせるフリーレンからの恐怖。

フェルンはもう、泣きそうだった。

「は...はずかしぃ...のに」

魔法使いの師であるフリーレンの膝にうつ伏せ、スカートも下着も取り払われた弟子・フェルン。

お尻をぶたれる準備は整ってしまった。

フリーレンはこれから桃色に染まるであろう色白の部分を撫でつける。
ここを叩くよという無言の宣言にも思える。

もう覚悟を決めるしかない。
フェルンの目は固く閉じられ、唇はきゅっと結ばれる。

力なく下げられた頭とシーツに埋められる顔。

フェルンはもう“その時”に備えている様だ。

「いくよ」

「…ぅぅ。。」

フリーレンの右手は無慈悲にも挙げられる。

18歳になるフェルンへ。
悪い子へのお尻ペンペンが始まった。ーーー

パァンッ!!

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