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「SF入門したい」人にすすめるべき作品について考える

定期的にネットで話題になる「SF入門には何がベストなのか?」問題。これについて少し考えてみることにした。
現代にSFはありふれており、特別むずかしいものでもなんでもない。SF入門としてドラえもんやハルヒやけものフレンズをすすめる人が多いのもそういう理由だ。

しかし、ここで逆に「おすすめのSF作品を教えてほしい」という人のポジションに立って考えてみる。
SF読みたいという人は「手っ取り早く通を気どりたい」のである(偏見)。

そもそも、手のひらサイズのコンピュータを誰もが持っている現実世界がすでにSFだ。現代人が改めて「SF入門」などする必要はない。VR、ARが現実のものとなり、子供のころからアニメや漫画でSFに触れている現代人に「入門」など不要なのだ。
つまり彼らが求めているものは「なんか読んでたらうんちくとか語れてかっこいい」作品なのである。これは筆者の体験談だが「読んでいたらかっこい小説を読みたい」という人は、普段小説を読まない人の中に一定数いるのである。そういう人たちにライトにSFを楽しんでもらい、あわよくばこちらの世界に引きずり込みたい。そういう邪な気持ちでこの記事を書いている。

ということで、この記事では「読んでいたら間違いなく通ぶれるSF小説」を紹介していく。ちなみにすべて筆者の趣味で選んでいるので異論は認める。

昔の作品、と聞くと「なんだか難しそう」「時代が違うから感情移入できないかもしれない」と思う人もいるかもしれない。しかしそれは全く心配する必要はない。なぜなら、名作と呼ばれている作品は時代を越えても名作だからだ。実のところを言うと、多少時代を感じるものもある。宇宙船の中でタバコを吸っていたり、ソ連が存続している世界線だったり。しかし、そいういう時代背景も含めて楽しむのが読書というものである。


おすすめのSF小説とその理由(作者の重複なし)

星を継ぐもの
宇宙を舞台にしたミステリー作品。以前、全くSFを読まない先輩に勧めたところ「おもしろい」と評価をいただいたので間違いないはずだ。マネジメントに優れた上司の采配により、天才だが気難しい同僚と連携して謎を解明していく。ビジネス書として会社員の方々にはぜひおすすめしたい一冊である。


アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
言わずとしれた名作。「ブレードランナーを見たから読まなくていい」というのは大いなる勘違いである。アンドロイドが出てくる様々な作品の派生元となっているので、そういう映画を見たときに「あーこれ電気羊の影響受けてるな…」と思うことができれば、SFを知っていると宣言してもいいだろう。


幼年期の終わり
すこし宗教観が強いが、自称無神教者の多い日本では本国よりも受けがいいらしい。宗教やオカルトと宇宙人を絡めたシナリオが、一風変わっていて面白い。同じ作者の作品だと「2001年宇宙の旅」のほうが有名かもしれないが、個人的にはこっちのほうが好き。


ソラリス
どちらかというと純文学よりの作品。序盤のホラー展開、中盤のロマンス、そして読後はSF。という一冊でいろいろおいしい作品。スタニスワフ・レムの作品が好きといえば間違いなく通ぶれる。ただし、読んだ後はヒューマノイド型の宇宙人が出てくる作品を受付けなる可能性が高いという副作用がある。


魂の駆動体
自動運転が実現している現代人にこそ読んでほしい一冊。車好きな知人にはもれなく勧めている作品である。ドライブ好きな人には間違いなく刺さる。


 銀河ヒッチハイクガイド
いろんなところでネタにされている「宇宙、生命、その他もろもろに対する答え」がわかる作品。典型的なスペースオペラで、難しく考える必要が全くないとても気楽な作品。随所に挿入されるブリティッシュジョークが面白いので、イギリス好きな人にもおすすめ。映画もいいぞ。


銀河の死なない子どもたちへ
漫画だがおすすめなので入れておくことにした。シンプルで読みやすいストーリー。愛嬌のある絵柄、古き良きSF要素と、すすめる理由は多い。このリストの中では一番新しい作品で、過去の名作SFの影響を色々と受けている。この作品を読んでから、元ネタを調べていくのも面白いかもしれない。


ディアスポラ
グレッグ・イーガン入門書。「ディアスポラが好き」という人がいたら、その人は間違いなくめんどくさいSFオタクである。2001年が小さく見えるほどの壮大なスケールの作品で、読み終わった後に自分の小ささを実感し無力感に苛まれるであろう良書。同作者の「順列都市」と一緒に読めば更に楽しめる。

書き出してみて

いくつか候補を書き出してみたが、やはり「星を継ぐもの」がもっとも万人受けするだろう(当社比)。相手の好みがわからない…といった場合にすすめるにはいい作品だと思う。

海外の作品が多いが、上記に挙げたものは特別読みづらいといったことはないので、海外小説はちょっと…と思う方もぜひ挑戦してみてほしい。

SF小説を読むコツとして、「専門用語が多くてわからないところは飛ばす」というのがある。小説を書いている側からすればそれは後の展開に必要なことだったり作者のこだわりがあるのは分かるのだが、読者としては一語一句全て理解しようとして読む必要はない。要は、だいたいシナリオが理解できて、作品の世界に没頭できれば良いのだ。「単語が理解できない…」という悩みはひとまず飛ばしてしまおう。

さて、長々と書いたがここまで読んでくれた暇な方の中に「これからSF小説を読んでみようかな」と思う人がいたり、今後知人から「おすすめのSF教えて?」と聞かれる可能性のある方は、参考にしていただけると幸いである。

また「本記事に書かれていない入門におすすめの作品」があればぜひともコメントをいただけると喜びます。

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