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S. J. Rozan (1950- ) S.J.ローザン『チャイナタウン(創元推理文庫)』直良和美訳 東京創元社 1997.11 『ピアノ・ソナタ(創元推理文庫)』1998.12 『新生の街(創元推理文庫)』2000.4 『どこよりも冷たいところ(創元推理文庫)』2002.6

S. J. Rozan (1950- )
S.J.ローザン『チャイナタウン(創元推理文庫)』
直良和美訳 カバー 朝倉めぐみ
東京創元社 1997年11月刊
2009年4月4日読了
https://www.amazon.co.jp/dp/448815302X

「冬のチャイナタウンの美術館から貴重な磁器が消えた。盗品発見を依頼された探偵リディアはパートタイムのパートナーたるビルと共に、中国人ギャングと美術品業界の調査に着手。だが事件の周辺からは二重三重の謎が……。28歳の溌剌たる中国人女性が年齢も育ちもかけ離れた白人探偵と展開する心躍る活躍。清新な才能の誕生。シリーズ第1弾。 」

S. J. Rozan
http://sjrozan.net/
https://ja.wikipedia.org/wiki/S・J・ローザン
https://en.wikipedia.org/wiki/S._J._Rozan
S.J. Rozan (Author of China Trade)
http://www.goodreads.com/author/show/414457.S_J_Rozan

S. J. Rozan (1950- )
China Trade (1994)
1994年に発表された、
ニュ−ヨークの私立探偵
リディア・チン Lydia Chin &ビル・スミス Bill Smith シリーズ第1作。

5フィート1インチ・110ポンドの小柄な中国人女性リディアと
6フィート2インチ・190ポンドの白人男性ビルのコンビがいい雰囲気です。

アップルパイに入っているレーズンの描写やリディアのお母さんが作ってくれる夕食ほか美味しそうな食べ物がでてくるのも魅力です。

「「プレゼントは、どこ?」
「白人のジャンクな治療薬さ。砂糖を摂れば、、気分がよくなる」
イタリアのプチフールだった。
3種類の小さなカノーリ、
銀貨大のチーズケーキ、
赤や緑のチェリーがのった親指くらいのクッキー。

昼ご飯を食べたのは、はるか昔のことだった。……
ラム味のクリームにけし粒ほどのチョコレートのかけらが交じったカノーリ……
「今日、何をしたのか話して」
「アッパー・イーストサイドへ行った。美術商数人にあたってみた。それから昼飯を食べた」
「おもしろかったのは、どっち?」
「昼飯」
「なぜ?」
「レキシントンと82丁目の角のピザ屋で食べたからだ。そういや、きっとあそこは気にいるぜ。オリーブの入った、でっかいカルツォーネを出す」…」p.183

甘いお菓子にはあまり興味がありませんけど、
カルツォーネというパスタを食べてみたいなぁ。
ググってみると色々な食材で作るようです。

簡単に手作りできる♪ リメイク料理にもオススメのカルツォーネレシピ
https://4yuuu.com/articles/view/666880


S.J.ローザン『ピアノ・ソナタ(創元推理文庫)』
直良和美訳 カバー 朝倉めぐみ
東京創元社 1998年12月刊
2009年4月22日読了
https://www.amazon.co.jp/dp/4488153038

「深夜ブロンクスの老人ホームで警備員が殴り殺された。手口から地元の不良グループの仕業と判断されたが、納得がいかない被害者のおじは探偵ビルに調査を依頼。かつて探偵の手ほどきをしてくれた老兵の頼みに、ビルは危険な潜入捜査を展開するが…? 無鉄砲で繊細な中年探偵が、相棒リディアの存在を胸に、卑しき街を行く。シェイマス賞最優秀長編賞に輝いた、爽やかな第二弾。 」

S. J. Rozan (1950- )
Concourse (1995)

1995年に発表されたニュ−ヨークの私立探偵リディア・チン&ビル・スミス・シリーズ第2作。語り手はビルです。

被害者の一人がポケットベルを持っている描写があって、
携帯電話が普及する前の時代の作品なんだなぁと、
1995年頃のことを思い出し、数分間感慨にふけってしまいました。

私がうつ病で退職するまで活動していた
大学図書館問題研究会福岡支部の結成が1995年だったのです。

ビルはバーボンが好きで、本書ではメーカーズマークを飲んでいます。
私もメーカーズマークは大好きですが、もう二十年以上も飲んでいないなぁ。

「軽食堂 (デリ) に着いた。昼の混雑の最後の客が勘定書を手にしたり、コーヒーをそそくさと飲んだりしていた。
ウェイターがメニューを持ってきた。わたしは必要なかったが、リディアはどんな料理が載っているのかを常に知りたがる。彼女が端から端まで目を通すあいだに、レバー・サンドイッチとコーヒーを頼んだ。彼女の注文は紅茶とコーン・マフィンのトーストだった。

この種の軽食堂には各テーブルに、ステンレス容器に入ったピクルスが置いてある。ひとつ取ってかじると、ニンニクと塩味がした…」p.380


S.J.ローザン 『新生の街(創元推理文庫)』
直良和美訳 カバー 朝倉めぐみ
東京創元社 2000年4月刊
2009年5月15日読了
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488153045
https://www.amazon.co.jp/dp/4488153046

「新進デザイナーの春物コレクションのスケッチが盗まれた。次いで五万ドルの現金の要求。“身の代金” 受け渡しの仕事を持ち込まれた探偵リディアは、相棒ビルを援軍に指定の場所に赴いたが、不意の銃撃をへて金は消える。汚名返上のため、ファッション界に真相を探ろうとするリディアとビルだったが…? 名コンビが早春の街を駆けめぐる、新鮮な現代の探偵物語。待望第三弾。 」

「S・J・ローザン
アメリカの作家。1950年生まれ。様々な職業を経て、90年頃から書き始めたミステリで、ふたりの私立探偵、中国系女性のリディア・チンと白人男性のビル・スミスを生み出し、94年に発表した『チャイナタウン』を第一作とする長編や多くの中短編で活躍させている。『ピアノ・ソナタ』『天を映す早瀬』でシェイマス賞、『どこよりも冷たいところ』でアンソニー賞、『冬そして夜』でMWA(アメリカ探偵作家クラブ)最優秀長編賞を、「ペテン師ディランシー」でMWA最優秀短編賞を受賞するなど、現代を代表する私立探偵小説の書き手として高く評価されている。」

http://www.tsogen.co.jp/wadai/0401_01.html
現代私立探偵小説の旗手 S・J・ローザンの長編を読む

S. J. Rozan (1950- )
Mandarin Plaid (1996)

1996年に発表されたニュ−ヨークの私立探偵リディア・チン&ビル・スミス・シリーズ第3作。
前作までと同様に美味しそうな食事が色々登場します。
韓国料理のレストランでビビンバを食べるシーンあり。
リディアはコーヒーよりも紅茶が好き。
リディアとビルの関係はこの先ど〜なるのか。

2009年5月には
第8作『冬そして夜』 Winter and Night (2002)
まで出版されていたので、本書以降の展開を期待しながら、
しばらく楽しめそうだなぁ、
などと思いながら読んでいたことを、思い出しました。

「わたしはビルに電話した。
「おなかが空いてる?」
「きみを食べたいくらいに?」
「わたしは昼食のことをきいたのよ」
「冗談だろ。もう、2時半だ」
「わたしはまだ食べてないもの。おなかがぺこぺこ」
「ぼくはターキー・クラブサンドイッチを食べた。オーヴンから出したてのローストターキー。あの匂いったらたまらないね。カリカリに焼いたベーコンに、汁気たっぷりの厚切りトマト。マヨネーズをたっぷり。ライ麦パンの上に載っけてさ」 

ビルに教えた店に入って、窓際のテーブルに座った。
 … 
山羊のチーズとオーブンで焼いたピーマンをはさんだバゲットサンドイッチ ―--- 
いつだってターキー・クラブサンドイッチなんかより、ずっとおいしい
----― 
と、マンゴーティーを注文した…」p.59

「「昼飯にしようか?」
「賛成」
「この近所で、行きたい店があるかい?」
「ユニオン・スクエアで食べない?」 
ユニオン・スクエアでは、週に4日、市主催の生鮮市場が開かれる。
農家やパン屋、酪農家がさまざまな地域からやってきて、
野菜、果物、パン、香草入りの山羊のチーズなどを売る。
面白いし、食べ物はおいしい。しかも、戸外だ。
……
冬を越したばかりの痩せこけたリスが何匹もうずくまり、パリパリしたサワードウ・ブレッドや、ひときわ匂いの強いニューヨーク州特産のチェダー・チーズのかけらが落ちてくるのを待っていた。

いつも持ち歩いているポケットナイフでビルがパンを切り、マスタードを塗って、チーズを載せた。わたしはインゲンのピクルスの瓶を開け、一本取り出してかじった。」p.378


S.J.ローザン『どこよりも冷たいところ(創元推理文庫)』
直良和美訳 カバー 朝倉めぐみ
東京創元社 2002年6月刊
2009年6月15日読了
https://www.amazon.co.jp/dp/4488153054


「マンハッタンの建設現場で工具が頻繁に消え、さらにはクレーンの操作係が失踪する。疑わしい班長の素行調査を請け負った私立探偵ビル・スミスは、レンガ工として覆面捜査を開始したが、すぐに工員が瀕死の重傷を負う。ピアノを愛する中年の白人探偵と相棒のリディアが、こみいった事件の最深部に見たものとは? アンソニー賞最優秀長編賞に輝く、期待の現代私立探偵小説第四弾。」

「S・J・ローザン
アメリカの作家。1950年生まれ。様々な職業を経て、90年頃から書き始めたミステリで、ふたりの私立探偵、中国系女性のリディア・チンと白人男性のビル・スミスを生み出し、94年に発表した『チャイナタウン』を第一作とする長編や多くの中短編で活躍させている。『ピアノ・ソナタ』『天を映す早瀬』でシェイマス賞、『どこよりも冷たいところ』でアンソニー賞、『冬そして夜』でMWA(アメリカ探偵作家クラブ)最優秀長編賞を、「ペテン師ディランシー」でMWA最優秀短編賞を受賞するなど、現代を代表する私立探偵小説の書き手として高く評価されている。」


S. J. Rozan (1950- )
No Colder Place (1997)

1997年に発表されたニュ−ヨークの私立探偵
リディア・チン&ビル・スミス・シリーズ第4作。

2002年5月に読んだ第3作の『新生の街』ではリディアが語り手だったので、本書は第2作『ピアノ・ソナタ』と同様にビルが語り手です。
ヴェトナム料理店の描写が美味しそうです。

「リディアとはチャイナタウンにある、ともに気に入りのヴェトナム料理店、フォー・ヴェト・ホァンで会う約束になっていた。私の住処はチャイナタウンからさほど離れていない。15分たらずで着いた。

店内は禁煙だが、涙の出るほど辛い真っ赤なソースに浸けて食べるエビ入り揚げせんべいや、軽くて酸味のある、よく冷えたヴェトナム製ビールを出してくれる。魚醤(ニョクマム)やコリアンダーのつんとする匂い。
……
ウェイターが注文を取りにきた。話し合わず、ろくにメニューも見ないで、ふたりで分けて食べるためにわたしが注文したのは、
エビをサトウキビに載せてグリルしたものと、
レモングラスとコリアンダーのスープ、
リディアのほうからは
チキンの玉ねぎと唐辛子炒め。
どれもお互いに好きだと承知している料理だ。
……
ウェイターがスープを運んできた。コリアンダーの葉とレモングラスの茎が浮いた黄色い透明なスープにスプーンを沈めると、牛肉の細片と麺が渦を巻き、ぴりっとする香りが湯気とともに厚手の白い椀からたちのぼった。」p.100

読書メーター S.J.ローザンの本棚(長篇12冊・短篇集2冊 刊行年順)
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11091271

ミステリの本棚(登録冊数355冊 著者名五十音順)
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11091193

https://note.com/fe1955/n/n60bf9583961a
Robert B. Parker (1932.9.17-2010.1.18) 
ロバート・B・パーカー
『ゴッドウルフの行方』菊池光訳 早川書房 1984.10
『誘拐』飯島永昭訳 立風書房 1980.10
『誘拐』菊池光訳 早川書房 1989.2
『失投』飯島永昭訳 立風書房 1977.3
『失投』菊池光訳 早川書房 1985.10

https://note.com/fe1955/n/n6ed20bab5a3b
Robert B. Parker (1932.9.17-2010.1.18) 
ロバート・B・パーカー
『約束の地』菊池光訳 早川書房 1978.8
『ユダの山羊』菊池光訳 早川書房 1979.9
『レイチェル・ウォレスを捜せ』菊池光訳 早川書房 1981.12
『初秋』菊池光訳 早川書房 1982.9

https://note.com/fe1955/n/na6b78450f7c1 
Dick Francis (1920.10.31-2010.2.14)
ディック・フランシス
第二作『度胸 (ハヤカワ・ミステリ文庫)』菊池光訳 早川書房 1976.7
第四作『大穴 (ハヤカワ・ミステリ文庫)』菊池光訳 早川書房 1976.4
第五作『飛越 (ハヤカワ・ミステリ文庫)』菊池光訳 早川書房 1976.9
山本一生「D・フランシスの究極のミステリー」
『書斎の競馬学 』
平凡社新書 2008.12

https://note.com/fe1955/n/n704a9c240bcb
Dick Francis (1920.10.31-2010.2.14)
ディック・フランシス
『横断 (ハヤカワ・ノヴェルズ)』
菊池光訳 早川書房 1989.11
Conan Doyle (1859.5.22-1930.7.7)
コナン・ドイル
『回想のシャーロック・ホームズ 新訳版(創元推理文庫)』
深町眞理子訳 東京創元社 2010.7
小池滋先生(1931.7.15- )
小野二郎(1929.8.18-1982.4.26)

https://note.com/fe1955/n/nd41726da27bb
丸谷才一(1925.8.27-2012.10.13)
『快楽としてのミステリー(ちくま文庫)』 筑摩書房 2012.11

https://note.com/fe1955/n/nf236daad7399
福永武彦・中村真一郎・丸谷才一
『決定版 深夜の散歩 ミステリの愉しみ』講談社 1978.6

https://note.com/fe1955/n/n26e000989c48
福永武彦・中村真一郎・丸谷才一
『深夜の散歩 ミステリの愉しみ(創元推理文庫)』東京創元社 2019.10

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