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Robert B. Parker (1932.9.17-2010.1.18) ロバート・B・パーカー『ゴッドウルフの行方』菊池光訳 早川書房 1984.10  『誘拐』飯島永昭訳 立風書房 1980.10  『誘拐』菊池光訳 早川書房 1989.2  『失投』飯島永昭訳 立風書房 1977.3  『失投』菊池光訳 早川書房 1985.10



Robert B. Parker (1932.9.17-2010.1.18)
ロバート・B・パーカー『ゴッドウルフの行方(ハヤカワ・ノヴェルズ)』
菊池光訳 早川書房 1984年10月刊 254ページ
https://www.amazon.co.jp/dp/4152075775

「大学の図書館で厳重に保管されていた中世の稀覯書〈ゴッドウルフ彩飾写本〉が何者かに盗まれた。総長の依頼で調査を開始したスペンサーは、容疑がかかっている学内の過激派組織SCACEの書記をつとめる女子学生テリイと接触する。その深夜、彼女からの電話で駆けつけたスペンサーが見たものは、射殺死体の傍に呆然と立ちつくすテリイの姿だった!
テリイを殺人容疑から救おうと奔走するスペンサー。が、事件の裏には意外な陰謀が…。話題のヒーローのデビュー作。」

ボストンの私立探偵スペンサー・シリーズ第1作。
The Godwulf Manuscript (1973)
1985年2月25日(月)読了
東京都目黒区立中目黒駅前図書館蔵書

1985年2月1日(金)に、
第5作『ユダの山羊』から読み始めたスペンサー6冊目。

「台所へ行ってコーヒーを沸かし、自家製ドイツソーセージを六本フライパンに入れた。大きく太いソーセージで、自分の店の裏で作っている男から買うために、わざわざノースショアまで行かなければならない。

ソーセージは冷えたフライパンに入れて低温から焼き始めなければいけない。ジュージューと音がし始めると、大きな緑色のリンゴの芯を抜いて皮をむいた。厚めにスライスしたのをメリケン粉にまぶして、ソーセージから出た油でいためた。

コーヒーができたのでヘヴィクリームと砂糖を二つ入れて飲んだ。ソーセージとリンゴのにおいに喉の奥が疼き始めた。

スパチュラでリンゴをひっくり返した。挟み具(トングス)でソーセージを取り出し、ペイパータオルにのせて油を吸い取らせた。輪切りのリンゴに火が通ると、ソーセージと並べて紙に油を吸い取らせた後、粗い粉を使ったライ麦のパンを厚く切ったのを二枚に陶器のつぼにはいった野イチゴジャムををつけて、食べた。ジャムは、ニューベリイ通りのマサチュセッツ街寄りの端で売っている。」
ハヤカワ・ミステリ文庫 1986.9 p.219

「メリケン粉」という言葉が、1984年発売の日本語訳で普通に使われていて、二年後の文庫化でも、そのままなんですねぇ。
1955年生まれの私にとっては、子供の頃から耳にしていた言葉ですけど、今の若い人達は「メリケン粉」を知っているのでしょうか?

高校生の頃(1970-72)に通い始めた喫茶店でコーヒーを憶え、その後、コーヒー豆を買って来てドリップで淹れて飲むとたいていの喫茶店よりずっと美味しく飲めることを知ってから、もう四十年以上ブラックで飲み続けてますけど、フィリップ・マーロウが砂糖とミルクを入れて飲んでいるのを読んで、えっ、ハードボイルド探偵は甘いコーヒーを飲むんだと知って驚いたのも、高校生~大学生の頃だったかなぁ?
スペンサーを初めて読んだ時も、あれ、フィリップ・マーロウと同じだな、と思いました。

ロバート・B・パーカー『ゴッドウルフの行方(ハヤカワ・ミステリ文庫)』菊池光訳 早川書房  1986年9月刊 260ページ
田川律「解説」p.255-259
https://www.amazon.co.jp/dp/415075652X

購入年月日・古書店不明 200円
2010年12月9日読了
第一作には、スーザンやホークはまだ登場しませんが、主人公スペンサーの個性はたっぷりと描写されています。

ロバート・B・パーカー『ゴッドウルフの行方(ハヤカワ・ポケット・ミステリ1254)』渡辺栄一郎訳 1976.1
https://www.amazon.co.jp/dp/4150012547
は、手にしたことがありません。


ロバート・B・パーカー『誘拐』
飯島永昭訳 立風書房 1980年10月刊 247ページ
https://www.amazon.co.jp/dp/B000J84LJ4

ボストンの私立探偵スペンサー・シリーズ第2作
God Save the Child (1974)
1985年3月22日読了

聖心女子大学図書館に勤めていた横浜市民だった頃(1980-87)、
毎週、通勤途中駅で下車して利用していた東京都目黒区中目黒駅前図書館蔵書。
1985年2月1日(金)に、
第5作『ユダの山羊』から読み始めたスペンサー9冊目。
二か月で、当時の最新作だった第10作『拡がる環』まで読んでました。

1月26日(土)に、
小林信彦『夢の砦』新潮社 1983.10
を読み終え、
https://www.amazon.co.jp/dp/4103318082


4月22日(月)に、
丸谷才一『みみづくの夢』中央公論社 1985.3
https://www.amazon.co.jp/dp/4120013804

を読み始めるまで、他の作家は全く読んでいませんでしたから、
スペンサーに熱中していたんですねぇ。
当時、第2作『誘拐』と第3作『失投』は、早川書房の菊池光訳ではありませんでした。

「[三本目のアムステル・ビールを飲みながらスーザンに電話した後で、ポーク・テンダーロイン・アン・クルートを作り始め]オーヴンを温めるためにスイッチを入れると、ポークをもどすために冷蔵庫から出して、パイ皮を作りはじめた。

さくさくしたパイ皮を作ってその上にテンダロインを平らに置いた。タイム、黒コショウをふりかけ、ディルの微粉をかけた。念入りに肉にパイ皮をまいて、焼き皿にのせ、照りを出すためにタマゴの白身を上面に塗って中火のオーヴンに入れた。

青いリンゴ三個、ニンジンとレッドオニオン少々の皮をむき、スライスした。バターを一かたまり加えると、リンゴ酒を一インチほど入れてきっちり蓋をした深なべの中でぐつぐつ煮てカンバランドソースを作った。」
p.89


ロバート・B・パーカー『誘拐(ハヤカワ・ミステリ文庫)』
菊池光訳 早川書房 1989年2月刊 276ページ
香山二三郎「宿命の女、スーザン』p.271-276
購入年月日・古書店・価格不明
https://www.amazon.co.jp/dp/4150756570

「ボストン北方の町スミスフィールドで建設業を営むロジャー・バートレットの息子が家出して一週間たった。単なる家出か、それとも…?
両親の依頼で15歳の少年ケヴィンを捜すことになったスペンサーは、彼が飼っていたモルモットだけを持って家を出たことに疑問を抱く。几張面な彼がモルモットの餌やケースを忘れるはずがない、きっと遠くへは行っていないはずだ…そう考えて少年の調査を進めているうち、こま漫画形式の身代金要求状が送られてきた!
スペンサーの恋人スーザン・シルヴァマンが初めて登場するシリーズ第二作。新訳決定版。」


「10時20分前に目をさました。…大きなグラス一杯にオレンジをしぼって飲んだ。コーヒーを飲みながら朝食の支度をした。冷凍庫からエッグロール[春巻?]を二つ取り出してオヴンに入れ、ウィリアムズバーグハムを二切れスライスし、スイスチーズを三角に厚く切り取り、紙くらいに薄くスライスした赤タマネギをのせ、四つに切ったトマトと一緒に皿に盛りつけた。エッグロールに火が通ると二つに切って皿にのせた。」p.186

「腕時計を見た。10時15分。2時間15分遅れている。途中でドンペリニョンを一本買い、10時35分にスーザン・シルヴァマンの家に着いた。…コーヒーテイブルにチーズボールとライスクラッカーが置いてあった。チーズボールは中にパイナップルとシシトウガラシが入っていて、外側に刻んだクルミがまぶしてある。」p.216-219

「自分が家の中を歩き回りながらあなたのことを心配し、あなたをひどい野郎と呼んでいた二時間半のことは充分判ってるわ
料理はだめになったのか?
カスーレ[フランス南西部の豆料理]を作ったの。年数がたつにつれてよくなるかもしれない」p.220

「私たちは午前2時15分に、ろうそくをともしたダイニングルームでカスーレを食べボージョレを飲み、4時にやっとベッドに入った。」p.228


ロバート・B・パーカー『失投』
飯島永昭訳 立風書房 1977年3月刊 272ページ
https://www.amazon.co.jp/dp/B00I0NG7V0

ボストンの私立探偵スペンサー・シリーズ第3作
Mortal Stakes (1975)
1985年3月24日(日)読了
東京都目黒区中目黒駅前図書館蔵書

1985年2月1日(金)に、
第5作『ユダの山羊』から読み始めたスペンサー10冊目。

当時、第2作『誘拐』1980.10 と第3作は、早川書房の菊池光訳ではありませんでした。

その後刊行されたハヤカワ・ミステリ文庫を古書店で購入して何度も拾い読みしましたから、最初に読んだ飯島永昭訳の文章を、今ではまったく憶えていません。

「起きて、プッシュアップを百回、シットアップを百回やり、シャワーを浴びてベッドを直した。

ニューハンプシャー州ポーツマスにホイップトクリームビスケットを作るレストランがあって、ブレンダ・ローリングと夕食をしにその店へ行った時、作り方を教わって来た。

コーヒーを沸かしている間に作り、オヴンで焼いているうちにオレンジジュースを1パイントしぼって飲んだ。新鮮なイチゴとビスケットを食べ、コーヒーを三杯飲んだ。」菊池光訳 p.52

「冷蔵庫からアムステルを一壜取り出し窓際に座って飲んだ。腹がへったので台所へ行った。食べる物が何もなかった。もう一本ビールを飲んでまた台所を調べた。

冷蔵庫のビールの後にホールホイートのパン半塊り(ローフ)、戸棚に口を開けてないピーナッツバターが一壜あった。

ピーナツバターサンドウィッチを二つ作って皿にのせ、ビールをもう一本開けると、窓際に座ってサンドウィッチを食べ、ビールを飲んだ。まずい料理だ。」p.135

当時のノートによると、
1985年3月22日(金)に三十歳の私は、
腕立て伏せ30回、懸垂16回、スクワット50回、縄跳び1600回をしていて、
体重が51.0kgでした(現在(67歳)は毎日懸垂4回、体重56kg前後)。
夕食後に、蔵王スターワイン白1984年新酒(タケダワイナリー)と、
https://www.amazon.co.jp/dp/B00E1BX1ZA
手造りさつまおはら(本坊酒造)を飲んでました。
https://www.hombo.co.jp/item/imo/satsumaohara/

https://www.hombo.co.jp/item/imo/satsumaohara/

1980~87年に住んでいた横浜市港北区日吉本町には、商店街にとても熱心なお酒屋さんがあって、手ごろな値段の日本酒、焼酎、ワイン、ビールの色々な銘柄を教えてもらって次々に飲んでました。

1955年1月生まれの私は、1985年3-4月に、当時のスペンサー既刊十冊を、図書館から借りられる本で、手当たり次第に、読んでしまい、あ~あ、発表順に読めば、もっと楽しめたのにと、後悔しました。

スペンサーに憧れて、真似をするように、ランニングを始めました。30歳でした。ビールは、それ以前から大好きでしたけど、飲んだことのないビールが色々登場して楽しかったなぁ。

1978年春に、明治大学文学部大学卒業・聖心女子大学図書館就職・結婚して、四・五年で10kg増えてしまっていた体重が、ランニングで元に戻りました。
ジムに通うようなウェイトトレーニングはできませんでしたけど、毎日、懸垂・腕立て伏せ・腹筋・スクワット・縄跳び、をしてました。
スペンサーに憧れた、そんな青年・中年男性が、当時、日本全国にたくさんいたのでしょう。私だけではないはずです!

ロバート・B・パーカー『失投(ハヤカワ・ミステリ文庫)』
菊池光訳 早川書房 1985年10月刊 277ページ
北上次郎「解説」p.271-277
購入年月日・古書店不明 200円
https://www.amazon.co.jp/dp/4150756511

「〔スペンサー・シリーズ〕大リーグのエースに八百長試合の疑いが……球団からの極秘の依頼で調査に乗り出したスペンサーは、事件の裏に潜む醜悪な脅迫を探り出す。無力な人々に群がるハイエナに、スペンサーの怒りが炸裂した! 現代の騎士、私立探偵スペンサー登場。人気沸騰のシリーズ会心作、待望の新訳。」

「台所でビールを一缶開けた。このところ、アムステルがなかなか手に入らないので、国内産を飲んでいる。

考えが決まらない時は何かを料理して食べろ――スペンサーの法則の一つを適用した。またビールの缶を開けると、冷蔵庫の中を調べた。
スペアリブ。そうだ。リクィッドスモークをたっぷりかけてオヴンに入れた。弱火。

以前にミネアポリスのチャーリーなんとかというレストランで、チャーリーの自家製をかけたバーベキュードスペアリブを食べた事がある。その時以来、同じようなソースを作ろうとしている。

今回はケチャップの代わりにチリソースから始めてみる事にした。赤砂糖の量を少し減らした。ニンニクを二かけ入れる。ビールをもう一缶開けよう。レモンを二個しぼって汁をソースに加えた。

スペアリブのにおいが台所に充満してきた。赤ワインを半カップ入れた。タバスコを一振り。またビールを開けた。

野菜を入れる引出しにズッキーニがあったので薄切りにし、小麦粉をまぶして、練粉を作った。

この前の日曜日、スーザン・シルヴァマンの家で、二人でパンを作った。彼女が粉を混ぜ、私がこねて、焼き上げてフォイルで包んだ塊り(ローフ)が十二個出来た。私は六個持ち帰って冷凍庫に入れた。
四個残っている。一個取り出して、フォイルに包んだままオヴンに入れた。スペアリブが出来上がって、パンが熱くなった。

ズッキーニを練粉に入れて少量のオリーブ油で揚げた。一人で食事をするのは、何もこれが初めてではない。今日は楽しくないのは、何故だろう?」p.209-212

スペンサーを十冊以上続けて読んだ1985年2~4月、
私はUWF観戦に後楽園ホールへ毎月通ってました。

読書メーター ロバート・B・パーカーの本棚(登録冊数21冊)
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11091412

ミステリの本棚(登録冊数355冊 著者名五十音順)
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