包丁のデザイン

画像1 包丁のデザインをしたことはない。作業としてはないわけでなくほとんどはハンドルの形状を変えるだけの仕事。これは自分がデザインしたわけではないが貝印のミシェルブラスシリーズは好きなので紹介します。普通の包丁もあるけど、No7はブレードの形状はフランスのラギオール地方で伝統的に作られるナイフの形状。ハンドルはシリーズ共通の日本の和包丁にみられる造形。素材といい構造といいこだわりのナイフ。
画像2 ラギオールナイフはブレードとハンドルの接合上部に蜜蜂がついている。ラギオールの製品は蜜蜂か蝿かわからないプレスされたバッチがついていて正直良いとは思わない。ミシェルブラスはブレードの固定金具をあえて見せる造形で蜜蜂を表現している。
画像3 和包丁はその形状から「クリ」と呼ばれるハンドルの右側にエッジを持たせる造形をしている。人差し指をかけるような持ち方をする。刺身包丁などでよくみられる造形でありグリップエンドに商品ラインナップの番号があるのでシリーズ全て別部品という凝り方。
画像4 ブレードの造形はラギオールナイフ。フランスでは鍛造で硬いブレードだと思われるが、刃物用鋼板であろう。発色による黒いブレード。ある程度刃つけして発色し仕上げの刃つけ。作業する人は気を使う仕様。
画像5 桐の鞘にマグネットが仕込まれていて抜けにくくしている。ただ感触的にはイマイチで少し怖い。
画像6 自分で研ぎ直しする際にブレードの角度を保てる樹脂製のパーツがついている。自分で研ぐのも難しそうなブレード形状だがこうしたメンテ部品を付属させている姿勢はすごい。決して安くない包丁であるが、内容を考えると高いとは思わない。実際にこの包丁シリーズの図面を引いた人はいると思うけれど、その人をデザイナーとは思わない。私もそうした仕事をして来たので言えるけど、頼まれて形にする作業を担当することがデザインではない。逆に言えば、デザイナー不在でも素敵な製品は作られる。

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