100km行軍
一昨年と昨年の年末に挑戦したことがある
その挑戦とは、24時間以内に100kmを歩くということだ
これを身内では”100km行軍”と呼んでいる
かつて、松下政経塾や海上自衛隊でも実施されていたという、れっきとしたトレーニング?らしいがその発端は定かではない
一つ言えるのは、自分の精神と肉体がほどよく限界を迎え、人生に使える学びや気づきを少し与えてくれるということである
今回はその学びの内容と、実際に挑戦するには何が肝になるかという今後100km行軍に挑戦する人たちに向けての指南書的なものを書ければと思う(そんな人がいるかわからんが)
まとめ
ルール
制限時間:24時間
長さ:100km
飲食、休憩:制限時間内は自由
コース:関西コースと東京コースがある(詳細は後述)
結果
1回目(2020年)
メンバー:9名(ゴール6名)
枚方→京セラドーム→甲子園球場→神宮丸太町(京都)というコースをとった
この時は準備不足により大きな苦戦を強いられ、ゴールしたのが24時間ちょうどになった
しかも本来目指していたゴールに到達する前に、100km行ってそうだからという情けない理由で手前のゴールに変更している
2回目(2021年)
メンバー:5名(ゴール4名)
東京駅→葛西臨海公園→環七一周→品川駅→六本木→吉祥寺というコース
前年の学びを踏襲したこと、チームの人数的な難易度の低下により、22時間30分でゴールした
途中若干のコース変更はあったがおおむね事前のプラン通りに進んだ
ポイント
挑戦の前後に何を考えていたかを中心に書いていく
まず、ほぼぶっつけ本番で臨んだ2020年は一切の事前準備をしていないため、事前の考えでここに記すことは特にない
もちろんその弊害はいたるところに表れ、行軍終盤のしんどさ、翌日から3日間ほど続いた歩行困難な状況は大きな傷として身体に刻まれた
脱落者が脱落したのも事前準備不足が大きな要因となっている
2021年はここから身をもって得た教訓を事前準備に生かしていた
具体的に重要なポイントは以下の3つである
①初速が重要であるということ
2020年は会うのが久しぶりのメンバーが多々いたため、ほとんど同窓会のようなぬるい空気感で最初の数時間が経過してしまった
さらに途中の大阪城までの道のりはほとんど観光気分で歩いていたため、のんきに天守閣を背景に写真を撮るなどしていた
結果その影響もあり、終盤の京都の南~鴨川沿いまでペースを維持する必要が生まれ、全員が無言でただただ歩き続ける地獄のような時間となった
その時間が一年間で、いや人生で最もしんどい時間帯だったと記憶している
ちなみに、そのような状況に追い込まれたときに自分が怒りを発するということも明らかになり少しの驚きも覚えた
これを繰り返さないためにも、今回は最初からペースを常に一定にし続けることを目指した
具体的には長距離歩きを事前に数回行うことで、歩行のペース配分をできるように体の感覚と整えた
②痛み止めが必須であること
2020年の甲子園(約40km地点)の時点で全員の足がピークの第一陣を迎えていた
その原因は各々違えど、多くは普段使わない歩行でメインに使用する筋の炎症だったため痛み止めを服用することで一定の効果が得られた
ただし、その時は量が不足してしまったため、最終的には痛み止めが切れてしまう時間帯が生じた
それが上記の地獄の京都南部を歩いていた時間帯である
2021年は事前に薬の確保を丁寧に行ったことにより余裕を持った歩行展開に持ち込むことができた
また、根本的な解決として歩行という動作になれることも有効であったため①の対策として行った長距離歩行の練習も功を奏したのではないかと考えている
③リーダーの役割がカギを握ること
2020年は数名の健脚メンバーが常に他のメンバーを鼓舞し続けてくれたことが大きかった
単なる声掛けにとどまらず、途中途中で隊が前後に広がっていくため、その時には最後尾まで一旦逆行して休憩地点だけ伝え、最前線に戻るという離れ業も披露していた
彼についていけば何とかなると心から思えるような、リーダーというあり方を存分に体現していたが、その主な役割は、細かいコース選定とペースの設定だった
2021年はそのリーダーが予定が合わず参加できなかったため、代わりにその役割を誰かが担う必要があった
ここを自分が担っていこうとぼんやり考えていたため、事前準備の時点でコース選定とペース設定を行っていた
リーダーという役割について新しい学びも得たためそこは後述する
学び
目の前への集中とゴールへの執着
これは長期的な目標設定に際して非常に重要な考え方であると思う
長期的な視点だけをいたずらに持ち続けると手元がおろそかになるし、短期にだけ集中しても最終的に積み上げた結果が本来目指していた長期的ゴールになるとは限らない
つまり、短期と長期の焦点のバランスをとることが重要なのだが、このバランスを個人個人で調節することが難しい
リーダーの役割はメンバーの焦点へのバランスを調節することも含まれるということは新しい学びだった
ここの調節がうまくいくと本来持っているメンバーのポテンシャルが最大限発揮される
ただし、これは人によって得意なバランスがあるため、そこの見極めと前提となる仮説は必須となりそう
逆算と勝利条件の設定
この手の目標設定が明快な取り組みにおいて、目標から逆算した思考は必要不可欠な考え方であるが、ただただ無機質な数字だけで表現することは逆算ではないということを学んだ
例えば時速5kmで歩くことは確かにゴールするためには必要な要素ではあるが、その時速5kmの価値はシチュエーションごとに違うはずである
価値が違うということは、おのずとその時速5kmを生み出すためにやるべきことも変わってくる
歩き出しの時速5kmと終盤の時速5kmを生み出すためにやるべきことが違うと考えるとわかりやすいのではないだろうか
このギャップを埋めるために重要なことは勝利条件の設定ではないかと考えている
つまり、どのような状態で目標に到達するための道筋を通過していくかということを、定量定性どちらもで設定しておくことが重要だった
今回は前回2020年の経験もあったため、その時と対比して、このような状況なら良いということをある程度決めていたためそこを一つ一つクリアしていくことで、単に距離を進んでいるという事実以上の成功への確信を持つことができた(気がする)
リーダーシップとマネジメント
リーダーシップは最初に自らで基準を作ることであると考えている
個人的には最初にということが重要であるということが今回を通して学んだ
ただただ、基準をリクエストするだけでなく、自ら最初に体現する姿勢(必ずしも体現できるところまでいかずとも、果敢に狙うということができればよいのではないかと考えている)が本当に意味のある基準作りになる
今回は(勝手に)行軍全体のペースを作る役割を担っていたということもあり、必ず自分が先頭に立つようにしていた
特に信号や休憩明けのみんなが一旦横並びになるシーンは必ず元のペースよりちょっと早いくらいのペースを作ることを重視していた
一方で、このような引っ張る系の行動だけでは人がついてこないということは間違いない
引っ張るための補完的な要素としてマネジメントを行う必要もある
具体的にはメンバーの出力がマックスになる焦点を整えることやその整えるコミュニケーションを円滑に行うための関係性を築くことにあると考えている
ここに関しては、今回も前回も実際に脱落したメンバーが出ているため、手ごたえを得ることができていない
実際事前準備怠りすぎて身体的限界を迎えてしまっている場合は難しそうではあるが…究極戦争の時はここに圧倒的な鼓舞で活力を生み出しているという事例はありそうだなと思う
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