見出し画像

セルフフィードバック|木村航大

profile
#2  木村航大
出身高校:暁星高校
ポジション:CB
DF離れした技術を武器に後方からア式の攻撃を支えた技巧派CB。彼の運び出しは幾多ものチャンスを生み出した。
 
木村航大からのラストメッセージ


学生最後の今シーズン、チームでは優勝という結果が出て、個人としてもリーグ戦に出る機会に恵まれていた。

良く捉えることもできるが、あえて悪く捉えることもできるので、この両面で自身の 4 年間の活動を振り返ってみたい。

最後は前向きに終わりたいので、まずは悪く捉えることから。

一橋ア式の部員としてはかなり不十分だったように思う。 理由はいくつかある。

ア式の部員として求められること、活動を通して養うこと、いわば何を目指すのかには一定の共通認識がある。それを、「自分の立場で組織にできることを考えて実行する」と表現する人もいれば、「自分たちで全部考えてできることが価値」「フリーライダーにならないで自分から関わる」、「良い結果は良い関係性から」、「日本一価値を創出する」などと表現する人 もいる。

要は、競技サッカーでプロを目指すわけじゃないのに大学でもサッカーを本気でやる意味を考えなさいということだろうと、自分はなんとなく承知していた。そして、競技以外の領域にそれらはより多くあるだろうことも察していた。

その上で、自分は具体的なアクションを周囲に起こしていただろうか。否、部内で競技以外の領域は少し触れたっきり、もはや考えようとしていなかったのかもしれない。

正直なところ、長期的な視点に立ってクラブの未来をどうするとかについてはよくわからなかったし、最後の方は、競技面でとにかく役に立とうと割り切っていたように思う。

不十分な点は競技面でも多々あった。 周囲に投下してもらった指導、熱量に見合うだけの成長ができていただろうか。

2 年生の時はとても酷かった。戸田さんには、自分のブレークの年にしたいと言われた。それは当然、自分自身の活躍だけでなく、チームのためでもある。

しかし、自分はこの機会を活かしきれなかった。膨大なリソースを注いでもらった。なのに、 練習の取り組み方で応えることもできず、大一番の試合ではトラップミスでボールを取られ、そのままいらないファールを犯しPKを献上することしかできなかった。

あまりにも情けない。

競技面でももちろん、ア式として目指すサッカーがある。それには、原理原則に則ったうえで、特に頭、口をフルに使い、11 人が一体となることが重要だ。そのために、日々取り組み、戸田さんや近岡をはじめ、周囲からたくさん指導してもらった。

なぜこんなにもできなかったのかと言うと、そもそものレベルでなっていないことが多々あったことが大きいように思う。そもそもとは、組織にいる以上、人間関係やその活動に必要な基本みたいなものだったり、日常生活からくる心の状態だったり。

約束を守る(遅刻しない)、人の話を聞くなど。 自分は毎回強く意識しないとこれらがびっくりするくらいできない。

遅刻の罰金額が6 万円に達した時や、練習メニューを何度聞いても理解できないことが多々あった。

当時は物事に優先順位などなく、適切な状態で部活動に向き合えていなかった。今この瞬間に集中する重要性を思い知った。 他にも様々あったが、それらを引っくるめて不十分だった。 (皆さま、ご迷惑をおかけし、すみませんでした。)

とはいえ、全てが悪い訳じゃない。

上に書いたとおり、周囲から投入されたリソースに対して成長幅はあまりにも小さかったかも知れない。でも、自分なりに試行錯誤し、周囲から上手くなったなと言ってもらえるようにはなった。

これまでのサッカー人生、同じことを多々繰り返している。

中学高校では、入学したてや大事な試合の前に怪我(特に捻挫)をしていた。大学でも 1 年生で入りたてのとき、せっかくA チームに入れてもらったのに捻挫して離脱した。 そして、追い込まれないとやる気が出ない性格も相まってか、まともに試合に絡めたのは、 高校も大学もそれぞれラスト 1 年くらいだ。ポジションも色々やって結局同じ場所に落ち 着いた。

ただ、大学のラスト1年は今までと確かに少し違った。ここにきてサッカーで新しい景色を見ることができたように思う。

なぜ違う景色を見ることができたのか。いくつか書いてみる。

技術面では、指摘されたことを着実に実行できるように意識した。それも、全体像を把握し、 そこから要素分解できる状態、つまり、今までよりは深く理解した状態で。

例えば、ボールを受けてパスを出すとき。 ポジション取りを開始するタイミング、受ける位置、その時の上半身下半身の向き、目線、 受けてからパスを出すタイミング、次の選択肢を予め持っとく(決めとく)こと、手の使い方とかを工夫するとやり易さが違うし、これらは周囲やボールホルダーの状況で変わるってことをちゃんと念頭においてやるとかなり変わる。

よく言われてきたことだから、みんな理解できているんだろうけど、自分は腑に落ちて理解するのに時間がかかってしまった。

やれと言われたことをやったつもりでもやれてないことが多々ある。やり過ぎかもってくらい繰り返しておくことで身につく。一見簡単ですぐできそうなことほど丁寧にやると後で大きな違いになることがわかった。

毎練習、その意図を汲んで課題を設定して解決することの繰り返しが大事だ。 全ての課題に取り組むことは難しいので、毎回課題は一つに決めるのが良いと思った。

気持ちの面では、リスクを取れるようになったように思う。

今までの自分はどこか、うまく工夫すればリスクを背負わずにリターンを得られるのではないかと思っていた。

でもそう考えていると中々前に進まない。物事には両面あり、どちらかを取るとどちらかを捨てることになる。良いことがあればその分悪いことがあるというのはよく言われること だ。

陰と陽、プラスマイナス、トレードオフとかそんな感じ。 そこで、リスクを取った。

例えば、試合中相手がどんなに寄せてきても、ファーストタッチはゴール方向に運ぶことを決めていた。
最初にこれをやると相手への牽制にもなるし、90分の中で最初に難しいことをした分、流れがこっちにきて、後々上手くいくことが多いように感じた。

これも、できるまでに時間がかかった。相手の前に入れば取られることはない。そうわかっていてもできない。ただ、できるようになってから試合に上手く入れるようになったと思う。

そして、こうした些細な働きかけが、ピッチ上の全員でプレーするための要素として連動していく一体感みたいなものを感じることもできた。

何を言っていのるかよく分からないし、上手くいったのは結局周りの完成度が高かっただけかも知れないけど、自分も最後これくらいは考え、感じながら過ごしていたってことをアピールさせてほしい。

以上が、差し当たりの振り返りだ。入部前の想像以上に浮き沈みがあった。その分、サッカーという実体験を通して身をもって学ぶことが多かったと感じる。

ある意味、自分がそれまでの人生で吸収しきれていなかったあらゆるインプットをア式でアウトプットしながらちょっとずつ身につけた、みたいな。何としても今後に活かそう。


最後に。

楽しい仲間と一緒にいたくてサッカーを始めてから、幼小中高大と自分なりにサッカーと向き合ってきました。 その過程で、いろんな人にお世話になり、様々な経験ができました。

今までサッカーを通じて関わってくださった方々全員に感謝したいです。

そして、今年の充実したリーグ生活は、自分以外の存在によるところが大きいと思っています。なので、学生生活の最後にこんな素晴らしい経験をさせてもらい感謝の気持ちでいっぱ いです。

ありがとうございました!!

拙くまとまりのない文章でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございます。 今後ともよろしくお願い致します。

木村航大

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?