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全力無意味。全力無謀。全力本気。

あなたは一橋に受かった。やったね。大学生になったら何をしようか。授業はおもしろそうだ。新しく友達もできる。たくさん本読みたい。あなたの胸は期待に膨らむ。そんな中で一個これやりたいなって思ったのは、高校まで続けていたサッカー。だが、あなたは心配する。大学の体育会系の部活は厳しいのかもな。とりあえず調べてみるか。ア式蹴球部、、、なんだこの名前。へえ、グラウンドは新しい人工芝なんだ。綺麗だ。まあ体験だけでも行ってみよう。SNSでのやりとりで先輩が優しそうだったので、あなたはひとまず安心した。体験当日の朝は小雨が降っていたが、練習時間になると止んでいた。要らなくなって閉じた傘を手にひっさげ、不安と期待を胸に渦巻かせながら、あなたはグラウンドへ向かう。ひさびさのサッカーだ!とっても楽しい。体はあまり動かなくとも、高3で引退してからご無沙汰だったサッカーと再会できて純粋に嬉しかった。この日は体験会ということもあって、楽しくやることベースの練習だった。だが、ア式の部員の皆さんがサッカーに真剣に取り組んでいることがひしひしと伝わってきて、あなたは心地よさと興奮を覚えた。高校の部活でも、雰囲気が良い時は似た感じだったな。大学に入って、ひたむきにサッカーに打ち込む雰囲気、それが可能である環境。でも、週6日というたくさんの時間を部活でのサッカーに費やさずとも、サークルなどでサッカーを続けることができる。あなたはサッカーサークルの体験にも行き、こちらのふわっとした雰囲気も悪くないと思った。サッカーとほどほどに付き合いつつ、バイトや遊びなど大学生らしいことも楽しむ。決して悪くないと、サークル体験でグラウンドから帰るときに考えた。しかし、あなたはア式の雰囲気を思い出す。全力無意味。全力無謀。全力本気。サッカーに対してこんな風に過ごせる、人生において稀有なチャンスが目の前にぶら下がっている。いったいこんな時代を人生の中でどれほど過ごせるだろう?どうしてそこに飛び込まずにいられるだろう?一生懸命ってかっこいい。あなたはグラウンドに着く。追い風があなたの背中を撫でる。大学生としてもサッカーに体当たりできる喜びよ、あなたの胸を体いっぱいの水が圧する。

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