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カミング・アウト(閲覧注意)|櫛田潤【#卒部note】

櫛田潤
都立西高校出身

ア式が誇るムードメーカー。
持ち前のキャラクターと、抜群のワードセンスで笑いを提供してきた。

持ってる男。
公式戦の大事な場面で点を取ったり、引退試合となるトレーニングマッチではディフェンダーながら点を取ったり、なにかと「持ってる」。

「持ってる」と思わせるのは、自らの苦悩や努力を感じさせないほど常にチームの雰囲気にコミットし、仲間を支えてきたからだろう。不可欠な役割を果たし続けた。

櫛田潤の最後のメッセージ。

※優秀な後輩のおかげで、太字設定とかもできるようなので、効果的に使っていこうと思います。
 
最近、スマホ内の写真を整理していたら、僕が1年生の時の合宿で書いた、目標設定シートの写真が出てきた。3年後の最終目標から逆算し、2年後、1年後、半年後、今月、今週の目標と、それぞれのタイミングで具体的に何に取り組むかのプロセス目標を決めていくという形式のものだった。
 
「スタメンでリーグ戦全試合にスタメンで出る。リーグ戦で5点取る。」
 
うん!3年後の最終目標くらいこのくらいデカくいかないと!
 
、、、そう思いきやこれは3年生で達成するはずだった目標…。………いや、デカすぎデカすぎ。4年生でどうなるつもり?ほんでおれディフェンスやし。言うてますけど。
 
「プロセス目標:試合に慣れていないので、メンタルユニットの先輩に貸して頂いた本をしっかりと読んでメンタルトレーニングに取り組む。」
 
…他にありませんでした??メンタル以外完璧ですとも取れるこのプロセス目標。こういうので丁寧すぎる敬語も引っかかるし。そういえばこの時2個上の森山さんが誇らしげに貸してくれた「クリスティアーノ・ロナウドはなぜ5歩下がるのか」そろそろ返さないと。
 
他にも、色々今読むと恥ずかしい目標ばっかりだ。でも、多分当時の僕は本気だった。いや、絶対に本気だった。なぜならこれを書くとき、隣に3個上のGMの岡谷さんがつきっきりでいてくれたのを鮮明に覚えているからだ。そんな場面でふざけるはずがない。それだけに、本気で達成しようと思っていただけに、今恥ずかしいと思うのは、何もかも達成できなかったからってのもあると思う。
なんで達成できなかったのか?その理由・原因を少し考えてみると、そもそも僕自身の性格が関係しているように思う。
 
僕は、昔からとにかく人の目を気にしてしまう。小学生の時、家で本気のポケモンごっこをする時も、姉のピアノの練習のタイミングが絶好の機会だった(ピアノの音で誰にも僕の声を聞かれずに、「マルマイン、ころがる!!」「マールー!!ゴロゴロゴロ、、どっかーん!!」みたいなことを言えるから)。でも急に姉のピアノが止まると焦って、急遽ポケモンセンターで静かに治療している設定にして黙るほどだった。家族に対してもこんなんな塩梅(あんばい)だから、サッカーでもそうだったように思う。自分は高校の頃からサイドでプレーすることが多かったのだが、監督のいるベンチのサイドでサッカーをするのは何か嫌だった。高1の時なんか試合中、ボールと監督を交互に見ていた記憶すらある。
 
大学サッカーでも、結局そんな自分を変えられなかった。「できてない奴には厳しく言え」と言われても、サッカー中であっても仲間に厳しいことを言うのが苦手だった僕は、「厳しく言って、僕の印象が悪い方に変わってしまわないだろうか」なんて本当に恥ずかしいことを、サッカー選手として致命的なことを思っていた(※良い後輩はマネしないでね!)。「よし、今日は練習後に自主練するぞ」と思っていても、先輩にご飯に誘われると「後輩としてのあり方・見え方」みたいなのを言い訳にして上達すること機会を放棄した。ボロ負けした練習試合でも、GMにちょっと褒められただけでその試合の反省ミーティングでの態度がちょっとデカくなった。「チームを鼓舞する声はもういいから、サッカー的にチームに足りてないことを示す声を出せ」と言われた時も、チャレンジはしたつもりだったけど、何かそのことだけで手一杯になってサッカーを楽しめてない自分を見つけて苦しんだこともあった。とかとか、今こうして言語化できていない所にも、人の目を気にして変わろうとしなかった場面はいくつもあったんだと思う。
 
こんな有様では、目標なんて叶えられるはずがない。叶えられなかったというより、叶える気がなかったのでは、、?と言われると何も言い返せない。
 
でも僕は別に、これを書くことで後輩に「自分に自信を持って他人の目なんか気にせずどこまでも突っ走れ!」と言いたいわけじゃない。もしかしたら、僕ほどではないけど、僕に近い感覚でサッカーをやっている人がいるかもしれない。そんな人に、あるいは今何のためにサッカーをしているか分からず、モチベーションが湧かないという人に向けて言いたい。
 
自己中になってでも、自分が楽しんでください。
 
引退するまでの2ヶ月ほど、僕はこうした。過度な緊張感を持たず、とにかくサッカーを楽しんだ。「やらなきゃいけないこと」を意識せずに、思いのままサッカーをした(あ、チームのゲームプランを壊してとかではなく、取り組む姿勢としてです)。4年として、Bチームを引っ張る責任感もあったし、後輩にプラスになるなと思うことはできるだけたくさん言ったけど、人の目を気にして自分を偽ってではなく、本当にそうしたい時だけそうした。そうしたら、めっちゃ楽しかった。「サッカー楽しんでるなー」と心から思えた。Bチームに復帰するとき、戸田さんに言われた。「潤にしかできないことをBチームでやって、チームに貢献してくれ。」―そう言われた時、「人の目を過度に気にしてしまう」という自分のダメな性格と同時に併せ持った、「広く人のことを観察して、優しく声かけできる。」という良いとこも見つけた気がした(ちなみにコレ自分で言うのめちゃ恥ずい)。だから、無理に自分を全部変える必要はないと思う。自分のやりたいように、自分にできることを楽しいようにやれば良いと思う(注意点は、「勝つ」が目標のチームにおいて、ダメな方向に他人を引き込むのはダメです)。自分の得意なこと・やりたいこと・楽しいと感じることが、必ずしもチームを直接的に強くすることじゃなくても、チームに貢献する方法はあると思う。チームを直接的に強くしたいけど、それが自分には辛いぞーって人だけ、少しだけ参考にしてくれればと思います。それ以外の人は、逞しくいてください。
 
 なんだか、偉そうに、自分に泥酔しているみたいに書き連ねてきましたが、こんな風に言えるのも、4年間一緒に楽しく過ごしてくれた人たち、楽しく過ごせるように支えてくれた周りの人たちのおかげです。本当にありがとうございます。
 
長くなりました。大したカミングアウトもありませんで、タイトルで釣ってしまった人がいたらごめんなさい。でも、自分の弱さを人に見せるのは時に勇気のいることなのです。「塩梅くらい読めるわ」とか、「小学生で手持ちにマルマインてどんな感覚」とか、引っかかる部分も多く、読みにくい文章だったと思います。つまらない冗談の数だけ、真剣なことを言いたいことの裏返しだと思っていただければと思います。最後まで読んでくださりありがとうございました。

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