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全力投球|鈴木元貴

profile
#9  鈴木元貴
出身高校:都立国分寺高校
ポジション:FW
爆発的なスピードと両足でのシュートを備えた快足FW。圧倒的なスピードで敵DFを何度も置き去りにし、ア式の攻撃陣を牽引した。

鈴木元貴からのラストメッセージ

引退して2ヶ月弱、今は昼過ぎに起きて、卒論もせず外にも出ず、ゲームやユーチューブに明け暮れる怠惰な毎日を過ごしています。小さい頃からサッカーを続けてきた自分にとって、サッカーが生活の全てであり、生活からサッカーが切り離されると、自分には何も残っていないんだなと強く感じます。

さて、卒部ブログということで、自分はこれまでのア式生活をかいつまんで振り返っていこうと思います。あまり記憶力の良い方ではないので、なんとか頭の片隅にある記憶をほじくり返して思い出を振り返ろうと思います。


受動的


いざア式生活を振り返ってみると、自分がいかに受動的で熱量に欠ける人間なのかをひしひしと感じます。

自分は当初、サッカー部に入る予定はありませんでした。ボルダリング部にでも入ろうと思っていましたが、一橋にそんなものはなく、また、コロナ禍ということもあり、何もできない日々が続いていました。そんな状況の中で、部活動が解禁され、ナオからサッカー部に入ろうぜと誘われたので、どうせ暇だし、ということでア式に入り、結局サッカーを続けることになりました。ここからでも自分の受動的な人間性が窺えると思います。

1、2年生は戶田さんという、圧倒的で強烈な存在にただただ引っ張られて、サッカーをやっていたという印象が強いです。戶田さんの圧倒的な熱量を前にして、あたかも自分も同じような熱量でサッカーに取り組んでいるような気分でいました。自分から何か行動に移すわけでもなく、戶田さんやタクさん、他の先輩などに言われたことをこなしているだけだっ たと思います。それをやっているだけでも、2年時から公式戦には出ることができましたが、 チームの中で必要不可欠な存在であったかと言われればそうではなかったと思います。学年が下だから試合に出させてもらっていた面も大いにあるでしょう。

思えばこれまでのサッカー人生では、自分はただこなすことが多かったように感じます。もしかしたら、周りからも自分が要領よくプレーし、まだ余力がありそうだと思われていたのかもしれません。

どうも自分は全力を出すことに抵抗があるようです。自分の限界を人に知られるのが嫌だったのかもしれないですし、本気を出したら自分はもっとやれるんだぞと思いたかったのかもしれないですし、とにかく自分は周りに対して余裕ぶっていたかったのでしょう。ただ、小さい頃から人よりちょっと運動神経が良くて、ちょっとボールを扱えたが為に、そんなマインドが身についてしまいました。

ある時、同期の一貴と「ア式に入ってくる人は、大学でも部活動を続ける挑戦的で情熱溢れる人ではなく、ただ受動的にサッカーを続けているだけの人なんじゃないか」と話したことがあります。みんな小さい頃からサッカーを続けてきて、今更サッカー以外の選択肢に手を出す勇気がなく、考えもせず自動的にサッカーを続けているだけだということです。

別に本気でそう思っているわけではないですし、冗談程度で言っただけですが、なぜ自分がこんなことを言ったのか振り返ると、後輩や同期の奴らが、全力投球でサッカーに取り組み、 どんどん上達していく姿に少しだけ嫉妬していたからだと思います。

何かに本気で取り組むのにはかなりの労力を消費する一方で、その分返ってくるものも大きいように感じます。特に同期の成⻑率の大きさには目を見張るものがありました。いつの間にかこんなに上手くなっている、と感じる場面が多々ありました。彼らの名前をあげるのは何か癪なので出しませんが。

その割に、自分はあまり上手くなっていない、逆に下手になっていっているようにも感じました。実際、自分が1年の時より上手くなっていると思っている人は多くないでしょう。あ〜あ、必死こいてやってたらなあと思ったり思わなかったり。


ベストゲーム


こんな考えを持っている自分にも、全力を出し尽くした自分なりのベストゲームというものはあります。それは、3年時の駒沢第2球技場での商東戦です。基本的に自分が活躍すればいいというスタンスでやっている自分ですが、自分の活躍どうこうよりも、チームのみんなと一緒に必死こいて戦ったこの試合が自分のベストゲームだと思っています。(勿論、その試合の自分のパフォーマンスはかなり良かったのですが)

なおきをはじめ、多くの人がこの商東戦を盛り上げる為に、いろんな事業を企画してくれたり、集客に力を入れてくれたりしたおかげで、何百人という観客の中で試合をすることがで きました。いろんな苦労があったであろうなおきたちスタッフ、わざわざ足を運んでくださった OB・OG、保護者、友人、試合の準備をしてくれていた部員、当日ユニフォームを忘れて応援に回った北河など、観てくれている人たちに不甲斐ない姿は見せられないと思い、試合に臨みました。後半の早い時間に足を攣っていましたが、90分間死に物狂いでとにかく走り続けました。工藤がゴールを決めた瞬間、試合終了のホイッスルがなり、勝利を掴み取った瞬間は今でも鮮明に覚えています。

エンジ色に染まった会場で、全てを出し尽くし、チームみんなで勝利を分かち合った瞬間はかけがいのない思い出です。全力を出し、それが報われる瞬間は何にも変え難い幸福感・高揚感がありました。本気を出すということは、自分の限界を相手に見せ、自分を曝け出すこ とであり、それに抵抗を感じてしまっていた自分ですが、あの試合は沢山の人に自分の全てを曝け出していたような気がします。チームのみんなと必死になって戦ったあの試合で、ア式にいて良かった、サッカーを続けていて良かった、と思うことができました。


さいごに

何かに全力になるということは自分の弱みも限界も全て曝け出すことですが、全力でやって後悔したことは一度もないと思います。自分の場合、全力でやる機会が少ないのですが。

こなすことが多かったア式生活ですが、思い返せば、こんなにも全力でサッカーに打ち込める環境はなかったとつくづく思います。綺麗な芝生があって(大石が芝生をしょっちゅう抜いていますが)、十分な道具や設備があって、OB・OGの多額の寄付、保護者の支え、大して勉強もしなくていい大学、サッカーに打ち込み放題だったじゃないか。

勿論、サッカーを本気でやる必要はないと思います。勉強でも遊びでも、全力を捧げるものは何でも良いでしょう。ただ、情熱を注げる環境がア式にはあると思いますし、一緒になって真面目に直向きにサッカーに向き合ってくれる部員がア式にはたくさんいると思います。

自分のように何となくサッカーをやっていても楽しいでしょうが、成⻑はなかなか感じづ らいと思います。せっかくのア式生活、全力投球で過ごしてみてはどうですか。別に毎日全力投球じゃなくてもいいと思います。今日だけ死ぬ気でやろうでいいと思います。多分全力でやったということが大事なんでしょう。自分はサントリーに書類で落ちましたが、全力で「やってみなはれ」そんなマインドで残りのア式生活を過ごしてもらえたらと思います。

まとまりがなく、拙い文章になりましたが、締め切りも過ぎているので、こんなもんでご容赦ください。

やはり、ここでも自分のテキトーさが窺えます。

鈴木元貴


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