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年上のオトコ

女性は大抵、年上の男性が「好き」だ。ひとまわり上のひととつきあったり、面倒見のよい先輩に可愛がられたり。年上の男性が「苦手」なひともいると思う。話が合わない、高圧的、セクハラされた、いじめられたなど何かしら要因はあるはず。

これが「きらい」となるとニュアンスが変わってくる。

ヤマシタトモコのマンガ「Love, Hate, Love」では29歳処女のバレリーナがアラフィフの男に恋をする。彼女には兄がおり、いつも上から目線で指図されるのがたまらなくいやだと、男に語る。なんで髪切ったの、バレリーナは髪を結うからロングじゃなきゃいけなんだろ、結局仕事甘くみてるんだなおまえは、いいよな女は結婚すりゃいいんだからー。詰められた妹は手も足も出ない。「なんでああなんでしょうね」兄を見送った彼女は救いがないといったように、ため息をつく。こういうタイプ、著者自身も苦手らしい。


私は年上の男性が「きらいなほう」だ。理由は特定できない。なので日々仕事に悩む。200人ちょっとの会社でマネジメントレベルはほぼ男性。女性の部長は片手で数えるほど。海外チームにはSr. Directorに女性も多いのに、この差はなんだろうと凹む。年上の男性の心を読んでうまく立ち回らなければ、仕事は一向に進まない。おためごかしやごますりは最低限必要だ。フレッシュさはないから、求められるものは「若さじゃなくて知識」「おべっかじゃなくて実力」なのはわかってるのに、最後のひと押しで、必ず壁にぶち当たる。男性蔑視ではないけれど、そのクソみたいなプライドを蹴散らしてやりたいと思うこともあり。いままで30数年生きてきて、自分や自分の大事なひとが迷惑こうむったのがことごとく「年上の男性」だったからトラウマなんじゃないかしら。男女格差が埋められないジレンマに陥ってるのでは。上司(女性50代)みたくずっと一線でやっていく自信がないのかな。と自問自答。答えはまだない。


仕事で見える部分はそのひとのすべてではない。仕草、物腰、言葉遣い。職場とプライベートで見せる顔はきっと違う。それでも「すき」と「きらい」な箱があるとして、私が出会う7割の年上の男性はたいてい「きらい」におさまってしまう。


とは言え、尊敬しているひとも多い。歴史オタクのY。メンターのT’s。元同僚のFと同期のS。ツーカーすぎて結婚できなかったH、親友のM、映画仲間たち。昔の恋人。憧れの俳優。大好きなミュージシャン、文筆家。みんなみんな年上で、まごうことなき男性だ。


時折ふわっと腹の底に浮かぶ怒りをどこにやればいいのかわからず、とりあえずかれらにぶつけている。握りつぶせないほど分厚くて、しぶといサンドバック。それでもかれらから学ぶものはきっとある。好きの裏返しは無関心だから。愛せも憎みもできない「年上の男性」と綱渡りをするのは、案外悪くないのかもしれない。

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