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小島秀夫監督に学ぶ海外勢との取り組み方

今年の5月「キングス・オブ・サマー」円盤発売記念に参加した際、ジョーダン監督×小島秀夫監督のイベントで感じたことをつらつらと。



「この作品は『スタンド・バイ・ミー』のアンサーでビデオゲームで育った世代の子どもたちが森にいたらどうなるかを描いた映画なんだ。いかにもアメリカらしい作品なんで、世界で通じるのか不安だったけど、世間から誤解される少年の話というのは世界共通のものだったみたいで。世界的にも共感してもらえたね」 シネマトゥディ記事より抜粋


一番印象に残ったのは小島監督のジョーダン評。「よくあるハリウッド映画だと、監督の個性というのは消えてしまいがちだけど、ジョーダン監督の作品では彼の個性がすごく残っていて、まったく消費されていない」

1作目の「キングス・オブ・サマー」続いて「キングコング:髑髏島の巨神」という予算もケタ違いの大作を撮ったけれど、根幹のメッセージは同じだという。

参加者は50名もいなかったのだけれど、皆さんの質問が熱かった。ただ感想をのべるのではなく、なぜ、なぜ、なぜ?に溢れていて、ジョーダン&小島ペアの知識を浴びたい!という気持ちが伝わってくる会場だった。


海外トークショーのQ&Aで「質疑応答の密度が濃い」てのは多角的な視点から作品をとらえて、自分のものにしよう、または自分の言葉で表そうとするから。ありがちな、通り一遍のインタビューや、うわべだけの宣伝マンじゃ出てこない「おっその考えはなかった!」質問が飛び交う。言語文化の違う作品に対して踏み込もうとするんだからリサーチ力だって問われる。この辺り、国内の取材をみているとたまに物足りなさを感じてしまう。映画産業は斜陽、数字で見る映画クラスタの圧倒的少なさ、国の文化における投資の少なさをみると残念ながら納得…と言わざるを得ない。日本は安全でここ数年インバウンドの観光客も増えたけど、輸出できるソフトコンテンツの強化、その売り込み方を考えないといけないんだなと身に染みた。


英語で洋画の記事やインタビューをみるのは楽しい。個人のユーチューバーですら、発信量がダンチで違う。オタクが知識を詰め込んでそれをリリースして、世界を広げていくのが「当たり前」とされている。海外作品の関係者は日本になじみのある方は触媒があればきてくれるけど、それ以外で他国との差別化ってあるのか?こっち(日本)が挙手して世界に出るには、言語、文化、駆け引き、マーケティング諸々武器を身に着けないといけないんだな。そう考えると小島監督、単身クールジャパン以上の仕事してるよな…


「Goサインをお偉方から引き出すのは簡単です、人気俳優や美辞麗句を並べればいい。でもやりたいことをアウトプットするのが難しい」

「メタルギアってどんな話?て聞かれても、Boy meets Girl、なんてありがちな表現ができない。そういう唯一無二の作品を生み出す強みが大事。それをめざしたい」


そう語ってくれたジョーダン監督がべたぼれする男、小島秀夫。マッツ・ミケルセンもデル・トロ監督にも愛される男。小島さんみたいになりたいね。



ちなみに「キングス・オブ・サマー」は2017年ベストオブベストでした。「映画デート成功の秘訣は?」取材で気になってた作品。いやぁよかった。「キングコング 髑髏島の巨神」の監督がまさかあんな青春ムービーとるなんて思わなくてな…びっくりしたよ…Σ(゚Д゚)


キングス・オブ・サマーのトークショー、今井美穂子さんの通訳ほんとに素晴らしかったんですよ。事前打ち合わせはもちろんされているけど、オタクってあちこち話飛ぶじゃないですか。それもうまーく誘導されていたし、軸からぶれず、ジョーダン監督と小島監督の魅力を最大限引き出しつつ訳してくださった。

今井さんは「沈黙」マーティン・スコセッシ監督来日の記者会見も担当されていた。私のボスもサイマル出身だけど、英日聞き比べてあんなにしっくりくる通訳はじめてだった。学びにもなったし、ありがとうございます😊😊




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