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練習解説(vol.2:これまで&これから)

サッカーというスポーツの中で
1人の選手が試合中にボールを触っている時間は
合計でどれくらいあると思いますか?

よくTVで見かける
アルゼンチンの神様の息子さんや
スペインの魔法使いさん、
ポルトガルのムキムキ君といった
サッカー界のスーパースターでも、
90分間で2-3分程度と言われています。

それを子供達の試合時間に置き換えて考えると…
単純な話もっと短い時間になる事は
サッカーをやった事がない方でも容易にわかりますよね。

その上で子供達にも伝えている事。
それは、、

『ボールを持っていない時間も
ボールを持っている時間と同じかそれ以上に
楽しむ事が出来るようになったら
サッカーが何倍も面白く感じる様になると思わないか?』

と言う事。

子供達がヒーローに憧れるのは当たり前。
何ならコーチは今だってヒーローになりたい!
チヤホヤされたい!喝采を浴びたい!
それはそれでOK。

サッカーというスポーツの中から
“憧れ”を抱くシーンをピックアップするとしたら
ほぼ100%特に子供は
『ボールを持っている時』の事を挙げるだろう。

切り裂くようなドリブルやパスからゴールを生み出す選手や
ダンスを踊る様に相手を翻弄する様な選手は、
華やかに見えるし“違い”も一目瞭然だから心を奪われやすい。
控え目に言って最高にカッコイイ。

子供達にはそんな“周りと違う人”に憧れを持ち
自分時間で“●●ごっこ”を沢山遊び、
チームの練習や試合で臆せずトライをして欲しいし
おおいに自分自身に期待して欲しい。
『王様』でありたいと願ってやまない少年でいて欲しい。
それ自体は全く間違っているとは思わない。

ただ…

それ以外にも楽しみ方があるのに
食わず嫌いモードを発動している子供がいたとしたら
それは『もったいない』よね、という事。

そして…

ボールを持っている時に違いを生み出せる選手が
そうではない時もサッカーを楽しめて
チームに貢献するプレーが出来る様になったら
鬼に金棒なんじゃないか?という事。

そんな事をスクールに通ってくれている
子供達にはよく話しています。

とは言え年齢層が下がれば下がる程
特にサッカーを始めたばかりのうちは、
自分とボールの関係しか考えられず
とにかく自分のものとして
ボールを追いかける事に終始するのが殆ど。

そこからチームとチームで争っている事を理解し
チームの中の存在としての自分を理解するまでには
個人差こそあれど それなりに時間を要します。

なのでFC BANDE PLUSサッカースクールの
カテゴリー1(幼児〜小学2年生)のクラスでは
開校した5/11から暫くの間
自分とボールの関係だけで完結する様な
練習メニューを軸に活動をしてきました。

集まってくれている子供達にとって
それが何より楽しみやモチベーションを
見出しやすいタイミングだと判断したからです。

そしてスタートから2ヶ月を終えようとしている今、
カテゴリー1の子供達には
少しずつ変化が生じてきています。

サッカーというスポーツへの理解が進み
自分の“やりたい”を表現する為の技術が以前より高まり
そしてチームスポーツをやる上で大切にすべき事を
少しずつ確認してきた事で精神的にも少し大人になりました。

今プレーをする彼らの頭の中のイメージには
確実に以前には無かったはずの
『相手』の存在が出てき始めています。

なので『ボールを持っていない時の事』には
未だアプローチをしていませんが、
少しずつボールと自分だけの世界観に
相手の存在を加えた練習メニューへと
変化をスタートさせつつあります。

そしてこれからの展望としては、
少しずつ『ボールを持っていない時の行動を工夫する』事が
勝利や成功を掴み取る裏道・抜け道・ポイントとなる様な
そんな環境設定でサッカーを楽しんで貰える様に計画をしています。

・大人に認められたい
・真似したい
・グループの中で認められたい

そんな欲求にストレートな言動を見せる年齢だからこそ

・教え込むのではなく発見をする事で自然と身につけて貰い
・否定や修正ではなく肯定を続け自信や達成感を感じて貰う

そんな指導を心がけながら
ボールを持っている時のプレーも
そうではない時のプレーも
同時進行で磨いていこうと目論んでいます。

そしてそしてカテゴリー2(小学3〜6年生)の子供達。

彼らとは練習をし始めた当初から
ボールコントロールスキルの練習と
リズムTRを通じた
コーディネーションTR(詳しくはvol.1参照)を行いながら、
このボールを持っていない時の
プレーの質の向上について取り組んできました。

最初はマークの外し方について。
優先順位を意識した上で
・敵
・ボール
この2つを同一視野で常に確認する事を基本として
どんなステップワークや体の向きを意識すると
相手が嫌がるか?という事を考えて貰いました。

すると子供達に新たなハテナが生まれます。

マークを外す動きが大切なのはわかったし
どんな動きが相手を困らせる事に繋がるかはわかったけど
試合中は必ずしも1vs1の場面だけではないし
ゴール前の攻防だけが全てではない中で
何を基準にボールを受ける場所を決定すれば良いんだ?

という事で事前に周りを見るポイントを確認。
・味方選手の位置とイメージ
・相手選手の位置とイメージ
・スペース
・タイミング
この4つを いつ そして どうやって見るかを確認しました。

すると攻撃面はすぐに効果が現れ
紅白戦ではネットが揺れるシーンを増やす事に成功。
しかしここでこんな考えが全員の頭に浮かびます。

・どこかリアリティが薄く
・簡単にゴールが決まり“すぎる”

もっとスリルを乗り越える冒険がしたい!
そんな想いに心を寄せる子供達はついに
『出来ればやりたくないな』と
わかっていながらも
心のどこかで避けていた
『守備』にも取り組んだ方が
結果として大好きな攻撃が楽しくなる事に気づきます。

と、いう事で、
・マークのつき方と優先順位
・ステップの踏み方
・ボールの移動中に考えるべき事
そこから子供達とこれらを1つずつ整理。

そしてここまでが
6月15日の第6回目の活動終了までに
子供達と取り組んできた事となります。

この守備の対応の練習の成果が
6月19日の練習試合でバッチリ確認でき、
【練習は嘘をつかない】という事を
子供達からあらためて教えて貰えた私は幸せ者。

感謝・感激の6月の締め括りとなりました。

試合中&試合後のミーティングでは
こんな事も子供達と確認。

やりたい事だけでなく
出来ればやりたくない事にも
主体的に取り組む事が
チームの為になるのはもちろん、
自分自身の成長や仲間からの信頼獲得にも
繋がる事を心に刻んで欲しいし
日常生活からそうした姿勢を持つ事が大切。

そしてそこにも
テクニックや駆け引きが確かに存在し
“嫌だけど頑張る!”という根性論だけで
変化や解決はしないからこそ
真摯に向き合って欲しい。

この擦り合わせは
これからの彼らの成長を支える
1つのポイントになる!
そんな手応えも感じました。

カテゴリーを問わず
これでもか!という程に
子供達の変化と成長に喜びを与えて貰った6月。

この気持ちを新たなモチベーションとして
より一層子供達がサッカーを楽しめる環境作りを目指して
7月も思い切り走り抜けていきたいと思います!

引き続き宜しくお願い致します!






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