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【今季も始まった大挑戦】チャンピオンズリーグ グループG第1節 セビージャ×マンチェスター・シティ|マッチレビュー

マンチェスター・シティの悲願であるチャンピオンズリーグ優勝の挑戦が今季もやってきた。

その初戦となったのがセビージャ。敵地アンダルシアに乗り込んだペップシティがらしさ全開で好調な船出となった。

ホームのセビージャは多くの不安を抱えながらシティを迎えた。

シティはウォーカーとストーンズのDFを怪我で欠く不安を抱えていたが、セビージャはそれ以上の不安を抱えていたようだ。

夏の移籍期間でジエゴ・カルロスとクンデのCBコンビ。そして攻撃の要であったオカンポスはアヤックスへ。攻守の主力を失ったセビージャ。その代償は大きく、リーグ戦4試合で勝点1しか取れていない厳しい状況となっている。

この状況の中ロペテギ監督が新たなセビージャをどう再構築するのか楽しみだが、それはもう少し先になりそうだ。

それでは簡単ではありますが試合を振り返っていきます!

▪️プレスは前から。繋ぎは後ろから。

この試合セビージャの布陣は4-2-3-1。最前線に入ったのはイスコ。ボールを保持した際には彼が中盤に落ちて0トップの振る舞いをするのか?そんな予想がついたが、実際の試合はどうだったのだろうか。

試合開始からセビージャは、シティがボールを持つとミドルゾーンにブロックを作り、布陣そのままに(4-2-3-1)ボールへ出ていったセビージャ。

最前線のイスコがシティのボール方向を決める役割。アンカーロドリを消す担当はラキティッチが担い、その脇にパプ・ゴメスとテレスが並び2列目に3人の選手を配置して前からプレスに出た。

イスコがボールを一方のサイドに誘導すると、中盤2列目の3人が横へスライドしボールを奪いに出る。逆サイドのシティのSBを捨ててパプ・ゴメスとテレスはボールサイドへ絞って出て行く。

右サイドのパプ・ゴメスが縦のスライドでシティの左SBゴメスへのプレスで何度かボールを引っ掛けるシーンも見られた。

しかしその機会は時間が経過すると共に減っていった。シティがセビージャのプレッシングを解剖し、ジリジリとブロックのラインを押し下げていった。

前からプレスに出たいけど、やっぱりシティ相手だとそのプランはすぐに打ち砕かれる。その話は後ほど。

次はセビージャのボール保持局面。こちらは前からではなく後ろから!がテーマだった。

セビージャはボールを持つと後ろから大事にボールを動かしていった。この時GKもボールへ関与。最前線のイスコも中盤に落ちてボールへ関与。右のパプ・ゴメスも下がってボールに関与。多くの人をかけて後ろからビルドアップを試みたことが分かるはずだ。

その成果か多くの人をかけることで、シティのハイプレスをかいくぐってボールを動かすシーンも見られ、そう簡単にシティにボールを渡すことは前半中盤までは見られなかった。

しかし問題はその先。シティのハイプレスを、後方で多くの人数をかけて、集めることに成功していたセビージャだが、集めた先が足りなかった。

例えば右サイドでシティハイプレスを受けながらしっかりボールを動かす。シティもボールサイドに圧力をかけるべく多くの選手が寄ってくる。そうなれば開くの逆サイドや背後のスペース!←ここまでの局面は作れたセビージャ。(その開いたスペースを利用できれば擬似カウンターのような展開でもっとシティのゴールへ迫れたはず!)

課題はその先。

逆サイドにボールを展開出来ない。背後にボールを送り込めない。(←結論シティのハイプレス剥がせなかった!ということになりそう)

一度目のシティのプレス剥がす→その先がない!→やり直しバックパス→二度のシティのプレス来る→なんとか耐える→その先ない!→やり直してバックパス→三度目のプレスで耐えられず失う!

こんなルーティンーを繰り返しボールロストをしていったセビージャ。ボールに関与する選手が多すぎて、深さと幅をとる選手が足りなかった印象。結局最後はラキティッチが背負ってボールを受けるシーンも。やっぱり集めた先が準備されてなかったのかな?と思わされた。

そんな状況ならばラキティッチじゃなくて大型のFW入れたらいいのでは?そんな声が届いたのか後半ラキティッチに変えて190cmを超えるラファエル・ミルを投入したロペテギ監督。

後半に入ると後ろからのビルドアップが諦めたのか、投入された大型FWへ長いボールを送り込むプラン変更。

こっちの方がシティにとっては嫌で、ゴールに迫れるシーンも多かった。シティのDFラインはそこまで競り合いが強い選手が並んでいるわけでもない。前半もチャンスシーンも結局長いボールが起点。競り合ってセカンドボール回収からの前進。ファールをもらって前進が多かった。

そこも踏まえてのプラン変更だったのかなと。しかし長いボールは多くなれば当然試合展開はよりオープンに。

そんな展開になると今までのシティは弱さを出したが、今季はあの男がいる。ハーランドとデブライネ、そしてフォーデンも加わったカウンターが後半炸裂しまくり、セビージャは耐えることが出来なかった。


▪️中央を避けた前進

次はシティのビルドアップの話。

シティはボールを保持するといつものように状況に応じてSBの立ち位置を調整した。この試合SBに入ったのはゴメスとカンセロ。両選手共にボールを持てるスキルがあり、外でも内でもプレー出来るSBだ。

CBがボールを持つと両SBがインサイドに絞って後方を2-3の配置にしたり、一方のSBがCBと同じラインに立ち、一方のSBは中盤に入り3-2の配置になったりと、状況にも応じて自在に立ち位置を変えていった。

それによりセビージャのファーストプレスを無効化し、ゆとりを持って後方でボールを持てる状況を作った。

それではつぎはその先。どうセビージャのペナルティエリアへ入っていったのか?

ビルドアップの出口と設定したのが中央を避けたルートからの侵入だった。大外のレーンと、セビージャの2CHの脇(ハーフレーン)からの前進を再現性をもって試みた。

SBがインサイドに絞ることでセビージャの2列目3枚が中央へ誘導されると、CBから大外の幅をとるWGへパス。もしくはIHのデブライネとベルナルドがサイドに流れてそのパスレーンの途中でボールを引き受けることも。

また猶予があるCBが運ぶドリブルが効果抜群。

トップのイスコを運ぶドリブルで剥がして、中盤2列目の選手へ向かって運ぶ.引き付けるドリブル。引きつけてボールをリリースして、シティの前線へボールを渡す。またそのままスルスルと中盤を超えてバイタルエリアまでドリブルで持ち運ぶことも。

・CBからの中央を避けたエリアへの前進
・SBが絞って相手を中央へ集める
・CBの運ぶドリブル
・各サイドのSB.IH.WGのトライアングルを旋回させながらフリーを作りボールを引き出し前進

こんな狙いを持ってセビージャの守るペナルティエリアへ前進していったシティ。そして最後のフィニッシュワークはペップシティの十八番が炸裂した。

▪️ペップシティ十八番の崩し

セビージャ陣内深くでボールを保持する時間を増やしていったシティ。それでは最後の仕上げの話。

セビージャは4バックで最終ラインを形成。4バックと言えばペップシティの大好物。

20分右の大外でボールを受けたフォーデン。ここにボールが入る前にデブライネはハーフスペースで待っていた。大外にパス出せ!という指示まで出していたデブライネ。全ては彼の思惑通りだった。

ペナ角でボールを受けたフォーデン。それにアプローチに出たSB。そのタイミングに合わせてデブライネがポケットへランニング。フォーデンも彼の動きに惹きつけられるようにスルーパス。あとはご存知の通りデブライネの高速クロス→ハーランドのホットラインが開通し、セビージャの4バックを意図も簡単に攻略してみせた。

セビージャもシティのポケット侵入は把握していたがそれ以上に精度とスピード感が凄かったのかもしれない。シティのIHにはCHがマークについていく約束のように感じたがデブライネを捕まえることは出来なかった。

この先制点後も大外から斜めのスルーパス→ポケットへランニングを繰り返したデブライネ。ハーランドも中央から斜めにランニングしてポケットへ侵入しクロスを上げるシーンも。

セビージャのブロックラインはジリジリと下がり、苦しい前半となった。後半に入るとホームチームは反撃に出るべく、大型FWを前線に投入し、手数をかけずにロングボールを中心のゲームプランに変更。しかし前がかりになればシティの強烈なカウンターパンチが炸裂する展開に。

後半シティがカウンターを中心に3点を追加して終わってみれば4-0の快勝。勝点3を土産にスペインをあとにした。

▪️おわり

マンチェスター ・シティの悲願であるチャンピオンズリーグタイト獲得への大挑戦が今期も始まった。アウェイの地で難敵セビージャに快勝と幸先良いスタートを切った。

新加入のアカンジ.ゴメスがDFラインに入ったが存分にらしさを発揮してくれた。怪我人が続出しているDFライン。チームの明るい材料となったはずだ。

攻撃ではデ・ブライネからハーランドへのラインがこの試合でも炸裂してゴールを奪った。確実に新たなペップシティのホットラインになっている。この二人のコンビからどれだけのゴールが生まれるのか非常に楽しみだ。

黒星スタートとなったセビージャ。主力放出に伴うチームの再構築を行なっている最中なのかと。これからチームの方向性が定まり、もっと連携が深まっていくはずだ。シティにとってはこんな状況のセビージャと試合ができたのはプラスになったはずだ。

しかし次戦うときはチーム力も上がり、もっと難しい相手になるはずだ。ロペテギ監督と次に戦うまでにどんなチームを再構築するのか楽しみにしたいところだ。

この勝利の勢いそのままに、次の試合はプレミアリーグ。相手はトッテナム。昨季シーズンダブルを食らった相手。ペップも相当燃えているはずだ。スパーズも難しい相手だが、らしさ全開で戦ってほしい!

2022/09/07 CL グループG 第1節
セビージャ 0-4 マンチェスター・シティ 
得点者:ハーランド×2.フォーデン.ディアス




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