オーダーメイド家具、家具のリフォーム、オリジナル家具。3つのアプローチで暮らしに寄り添う家具屋さん ー 北海道網走郡美幌町のまち自慢
FoundingBase最北の拠点、北海道美幌町。夏は涼しく過ごしやすい一方、冬はパウダースノーで一面銀世界になることも。冬は寒い美幌町ですが、その分「ひと」はとても温かく優しい町だと感じます。
そんな美幌町に、木の温もりと力強さを通してお客様に感動を与える家具屋さんがあります。その名も「おいで家具」さん。今回は北海道美幌町から全国に向けて「おいで家具」さんと美幌町の魅力について、まち自慢させていただきます!
北海道美幌町って、どんなまち?
美幌町は北海道の中でも東側、いわゆる「道東」エリアに位置するまちです。最寄りの女満別空港から車で15分、網走市まで40分、世界遺産の知床まで2時間とオホーツク地域の交通の要衝として栄えています。
美幌町の基幹産業は農業と林業。農業では玉ねぎやジャガイモ、ビート(砂糖の原料)などが盛んです。林業は苗木の育てから植樹、間伐から伐採、木材加工(乾燥等)、建築や木製品づくりまで、木に関わる生産サイクルが一つのまちで完結することが特徴です。
「おいで家具」さんにお邪魔しました!
今回はそんな美幌町にあるおいで家具さん(以下、敬称略)にお邪魔して取材をしてきました。美幌町の市街地から車で3分ほど離れたところに、お店と工房が併設された店舗を構えています。
2016年8月に美幌町で開業したため、2023年にオープンから丸7年を迎えました。
下小路ご夫妻おふたりで営む家具屋さん
おいで家具は下小路ご夫妻のお二人が営んでいます。旦那さんが木材加工、奥さんが塗装(色付け)と、仕事を分担して二人で家具を作りあげています。
もともと隣町の北見市で長年、大工仕事をしていた旦那さん。木製品を作ることが得意で「いつかは自分の思い描く世界を表現したい!」と思い、7年前に美幌町に移住し、おいで家具をオープンさせました。長年の大工仕事で培われた木製品作りの技術は一級品です。
奥さんはもともと事務職をしており家具づくりは未経験。オープン前までは「お店に座っているだけで良いかと思っていたのよ〜笑」とのこと。しかし、空き店舗を購入して店舗のDIYを進める中で、旦那さんよりも壁や窓枠の”塗り”が上手であることが判明!そこから、家具製品の塗装を全て担うようになりました。
「おいで〜」と気軽に誰でも来れるように
「おいで家具」って、あまり聞かないお店の名前ですよね。何故この名称にされたのか聞いてみると、以前旦那さんの実家で飼っていた猫の名前が「おいで」だったからとのこと。その猫の名前を借りてお店の名前にしたんだそうです。
もう一つ、おいで家具という屋号には「誰でも気軽に、ちょっと立ち寄ってほしい。誰でもおいで〜という意味を込めている」とのこと。この想いに沿って、店舗もオシャレだけどできるだけ敷居が高くならないようにレイアウトや色使い、雰囲気づくりに気をつかっているそうです。
オーダーメイド家具へのこだわり
おいで家具ではオーダーメイド家具、リフォーム家具、オリジナル製品の3種の木製品(家具や小物、おもちゃなど)を作っています。それぞれ、どんなこだわりを持って作っているのかお伺いしました。
まずは、おいで家具で最も受注数が多いオーダーメイド家具について。
お客様の目線にたって、使いやすい家具を。
オーダーメイド家具を作る時に一番大切にしていることは「お客様の目線や立場に立って使いやすい家具を作ること」。
家具を作っていると、職人としてのクリエイティビティや遊び心が出てきそうになることもあるんだとか。そこをグッとこらえて、お客様の目線や立場に立って、使いやすい家具をつくることを意識されているそうです。
また、塗装についてもお客様に寄り添って丁寧にヒアリングして、お客様の理想の色合いになるように塗装をされています。
美幌町を彩るオーダーメイド家具
おいで家具は、美幌町内の事業者さんの中でもよく知られた存在。近頃では新しくオープンするお店や店舗内のリフォームをする際に、おいで家具にオーダーメイドの家具を頼む事業者さんも多いんだとか。
美幌町内で大人気の洋食屋さんのダイニングテーブルセットも、おいで家具がオーダーメイドで製作したもの。木の風合いが活かされたアンティーク調の椅子と、モダンなデザインのテーブルが組み合わさり、モダンクラシックなインテリアとして存在感を放っています。
家具をリフォームして新たなストーリーを紡ぐ
おいで家具では家具のリフォーム(リメイク)も行っています。件数はそこまで多くないものの、お客様の愛着ある家具を新たな家具として更に長い年月を共にできるようにリフォームしています。
逆境の中で生まれたリフォーム事業
おいで家具は、元々オーダーメイド家具とオリジナル製品の2本柱で事業を営んでいました。しかし、オープンして2年目の頃に事業が中々うまくいかない状況になったのだとか。その時、「とにかく色々試してみよう!」とご夫婦で様々なことにチャレンジをされたそうです。
色々とチャレンジをする中で、お客様から「家具をリフォームして、作り替えてはくれないだろうか」と依頼を受けます。家具リフォームの経験が無かった旦那さんは、最初は断ろうと思ったそうですが、「事業領域を広げるチャンスだ!」とこの依頼を受けることに。
はじめての家具リフォームは苦戦することも多く、見積もりの甘さから赤字となってしまったそうなのですが、お客様からの感謝の言葉がとても嬉しく、意義のある事業だと感じたのだとか。そこから家具のリフォームを事業としてはじめ、今では定期的に注文が入るようになったそうです。
お客様と相談してつくる家具を決める
リフォームの依頼を受ける家具はいずれもお客様の愛着や想い、歴史が詰まっています。そのため事前にお客様と相談をした上で、どんな家具にリフォームするのかを決めています。その際、もちろんお客様の意思は尊重されるものの、家具職人として進言をされることもあるのだとか。ここに、お客様を第一に考えるプロの姿勢を感じました。
固定概念に捉われない木製品づくり
おいで家具のお二人と話している中で、とても印象に残るコメントを旦那さんから頂きました。「もし僕に絵の才能があれば、絵を書いたっていいと思う。たまたま木工に長く取り組んできて、上手に作ることができるってだけなんだ。」
この言葉を受け取った時、おいで家具の根底には「自分たちの想いを表現すること」があり、そのために家具作りをされているのではないかと感じました。
そんな「自分たちの想いを表現すること」を体現する一番の木製品がおいで家具オリジナル製品です。
オリジナル製品では挑戦を
おいで家具には「おいで家具オリジナル製品」の木製品が多くあります。椅子やテーブル、タンスなどの大きな製品から、ペン立てやコースターなど小さな製品まで、様々な種類があります。
オリジナル製品はオーダーメイドと違い、作る段階では誰に届くか分かりません。「だからこそ、オリジナル製品だけは職人として挑戦をしたい」と話してくださいました。それはきっとオリジナル製品が唯一、職人としてのクリエイティビティや遊び心を表現できる事業領域だからなのだと感じました。
特徴的な色合いは探究心と遊び心から
おいで家具の特徴の一つに、色合いがあります。個人店など小さな家具屋さんの多くでは、木の風合いを生かすような塗装がされることが多いと思われます。一方、おいで家具はカラフルで柔らかい色使いが特徴。
塗装を担当する奥さん曰く「だって、いろんな色があった方が面白いじゃない。」とのこと。より柔らかく、より木製品の敷居を下げるために遊び心を持ってさまざまな色づけを探究されているそうです。
きっと、この色合いに惹かれて手に取る人が増え、そこから根強いファンができるのだと感じました。
国際基準で管理されている美幌町産木材を使った木製品
北海道美幌町は今から15年以上前に、国際基準で管理されている木材を認定する国際認証を取得しました。美幌町では北海道に多く植樹されているカラマツとトドマツの木が認証されています。
おいで家具では、この認証を受けた木材を使って様々な木製品を作っています。今回はその一部をご紹介します。
大人気!国際認証木材を使ったコースター
国際基準で管理されている木で作られたコースター。美幌駅に併設の物産館ぽっぽ屋や、オンラインストアでも大人気の一品です。FoundingBaseが美幌町で取り組んでいる官民連携事業「WorkingSpace KITEN」のコースターも作成していただきました。
美幌町産の木材の柔らかさを感じられる木製品で、このコースターからおいで家具を知るという方も多く、まさにおいで家具が大事にしている「木製品の敷居を下げる」という想いを形にした製品だといえるでしょう。
美幌町の木育にも深く携わる
美幌町では木育推進を目的に、町内の1歳を迎えた子どもに向けて国際基準で管理されている美幌町産森林認証材を使用した選べる木製品をプレゼントしています。木育とは「木とふれあい、木に学び、木と生きる」取り組みのこと。おいで家具も指定事業者の一つであり、積み木セットや木琴、植えるドミノなどを提供しています。その中でもこの木琴は、木育と音楽教育が一緒にできるとのことで人気の一品となっています。
ライフワークとして楽器演奏をされている奥さんが木琴一つひとつの調律を行い、正しい音階にして販売をされているとのこと。叩いてみると優しい音色が響きます。
おわりに
今回は北海道美幌町より「おいで家具」さんの紹介と、美幌町の紹介を通じたまち自慢をお届けしました。
北海道オホーツク地域に来ることがありましたら、ぜひ美幌町のおいで家具まで足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。
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