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島の福祉と共に歩む この場所だからこそ生まれた"ふくぎ茶"のこだわりとは ー 島根県隠岐郡海士町のまち自慢

パートナーコンサルティング部で自治体様向けのインサイドセールスを行っている串田です。
今回は本土からフェリーで約3時間、隠岐諸島・島前地域の島の1つ海士町拠点の魅力をお届けします。

私は、元々大分県・豊後高田市で一次産業事業に現場で関わっていましたが、異動に伴い2023年7月から海士町に移住してきました。

ユネスコ世界ジオパークにも指定され、透き通った海や満天の星空など雄大な自然に毎日触れることができる海士町は、自然の豊かさだけでなくまちづくりにおいても先進地として様々な課題に取り組んでいます。

海士町で見られる満天の星空

そんな海士町で私が今回紹介したい魅力は「ふくぎ茶」とそれを製造されている「就労継続支援B型事業所 さくらの家」(以下さくらの家)です。

町民の人々が普段何気なくクロモジの木から葉っぱや枝を取って沸かして飲んでいたお茶を、海士町でも人気のブランド商品として生産から販路開拓までを担い、立ち上げたのはさくらの家で現在所長を務める本多さん。

今回は本多さんにお話を伺いました。




ふくぎ茶とは・・・

昔から隠岐の各島に多く自生しており、暮らしの中でもポピュラーな存在。
クロモジには抗菌作用や消炎作用、また胃腸の不調を緩和する効果があるとして昔から近所の山で枝を採ってきて健康茶として煮出して飲んだり(中には胃の病気をお茶で治した方がいたそう!)牛が怪我をした際に葉っぱをもみ、湿布代わりにしていたこともあるそうです。


島の福祉を支えるふくぎ茶の取り組み

ふくぎ茶を製造するさくらの家は、就労継続支援B型事業所で障がいのある方たちが仕事や交流といった活動を通じて社会と接点を持ち、より豊かな暮らしを送れるようサポートをする施設です。

串田「さくらの家でどのような経緯でふくぎ茶を作り始めたのですか?」

本多さん「元々利用者さんは小物作りや当時の岩がきの養殖に必要な工程を仕事として行っていましたが、通年で取り組めるような仕事がない状態でした。
仕事がある時期とない時期があったりして、日によってやることが変わるとなると利用者さんが施設に来ることにも波が出来てしまいました。」

串田「安定して取り組める仕事を、提供できる場がないことが課題だったんですね。」

本多さん「そのようなタイミングで、元々使っていた建物が古くなることもあって場所も移らなければならないという話があり。
ちょうどそんな時に、町民には元々知られていたふくぎ茶に魅力を感じて海士町の特産品として商品化できないかという話が、当時島の商品開発を行う研修生で来ていた後藤さんという方からあって、それでさくらの家をふくぎ茶が製造できるような場所にしようということで、一緒に建物の設計から計画が立ち上がったんです。」

串田「この建物自体もふくぎ茶と一緒に立ち上がったんですね!」

本多さん「今では利用者の方々と職員さんが一緒にふくぎ茶の製造を行っています。通年でお仕事がある状態なので、利用者さんに商品の製造に携わってもらっています。」

現在のさくらの家のふくぎ茶工房

そんなさくらの家で作られているふくぎ茶は、製品にまずこだわっているそうです。


魅力ある商品をお客様に届けるために

本多さん「今商品としてポピュラーになっているティーパックの商品などは、オリジナルのブレンドで気軽に美味しさを味わってもらえるように、何度も何度も葉っぱや枝、枝の部位まで研究を重ね、1番香りや味が美味しいものを作りました。

またその製造過程で、葉っぱや枝をとにかく検品することで、より不純物が少なく
クロモジの良い部分だけを抽出できるように葉っぱは1枚1枚を検品するなど利用者一同みんなで検品作業を行っています。」

串田「葉っぱ1枚ずつとは、気が遠くなりそうな作業ですね。」

本多さん「はい、でもやはりそこまでやるからこそより美味しいふくぎ茶が出来ますし、さくらの家のふくぎ茶を魅力ある商品として選んでもらう理由になると思っています。」

検品の様子

串田「ふくぎ茶の取り組みを行っていく中で、利用者さんや施設の変化はありましたか?」

本多さん「大きな変化がありました!やはり、1年を通じて利用者の方々に活躍の場を提供できているという点もそうですし、何より良い商品を自分たちの手で作り、適切な価格で販売することでどんな人であれ同じように売上をつくることが出来るんだという誇りがやりがいにもなっていると感じます。
仕事を通じて、自分がなにかに貢献できたり、褒められたり、必要とされることはどんな人にとっても嬉しいことですし、それを障害のあるなしに関わらずに感じることが出来る職場にしたいと思っています。」

働く方々の様子


ふくぎ茶を始めて13年。これからは?

本多さん「今は、利用者の高齢化もあり生産量がなかなか追いついていないことが課題ですが、その分製造のラインで使えなかった葉っぱやくずの部分を再利用していくことを検討しています。
例えば、使えなかった葉っぱを煮出してサウナのロウリュに活用したり、使えなかった部分を練り込んだお香など、香りを楽しめる商品を作ろうと検討して動き出しています。」

魅力ある商品の裏には、丁寧な手仕事があってこそ。取材の帰り際、工房に入れて頂いた際も皆さん本当に明るくお話されており、明るく楽しい場所で丁寧に作られたお茶には、その作り手の想いが乗っているのだろうなと感じました。

本多さん


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