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太陽系天体のような構造(『構造改革とはなにか-新篇日本国の研究』)

比喩ジャックマンvol.18

巨大な特殊法人が太陽なら、社団・財団法人はその惑星、そして衛星として株式会社などのファミリー企業群をしたがえている。


縦割りヤッホイ

永田町、霞ヶ関、虎ノ門の関係は、フィル・ジャクソンの指揮する最強シカゴブルズよりもさらに強力なトライアングルで、日本に深刻なダメージを与え続けています。

そのカラクリについて解き明かしたのが、猪瀬直樹さんの著作『構造改革とはなにか-新篇日本国の研究』。

この本は、1997年に出版され特殊法人に切り込んだ『日本国の研究』に、"公益法人の研究"をプラスして2001年に猪瀬直樹著作集としてまとめ直されたものです。

猪瀬さんはよく、 歴史は分断せずに通史で見ろ、と言います。明治維新前後、太平洋戦争前後で変わったものよりも、変わらなかったもののほうがはるかにウェイトは大きいと。そして、太平洋戦争でも東日本大震災でも変わらなかった最たるものが今もそこかしこにはびこる縦割り主義だと。

インテリアコーディネーターとインテリアプランナー、ニアリーイコールな2つが別々の資格体系の中存在するのは、官庁の縦割り主義に他ならない。陸軍と海軍が互いの石油備蓄量を正確に伝え合わずオールジャパンで戦えなかった太平洋戦争と、乱立する類似資格試験は、全然関係ないようで実は、通史で捉えると関連性が見えてきます。


構造改革とはなにか?

道路公団の民営化が行われたのが2005年。当時大学生で、学んでいた土木工学科には旧建設省出身の先生なんかも何人もいたのにもかかわらず、特段教わることもなく、自分から調べるわけでもなく「なんか小泉さんすごいことやったんだなぁ」程度の認識でした。

河川工学や構造力学は学んだけれど、社会の構造についてはさっぱり-- それを今、『構造改革とはなにか』を読んで学び直しています。

NewsPicks猪瀬ゼミ 第2回の様子


冒頭の比喩に戻ると、太陽にあたるのは道路関係4公団とその主務官庁である国土交通省、惑星は道路サービス機構(旧道路施設協会)などの公益法人、そして衛星はその傘下の〇〇ハイウェイサービスや××道路サービスなどのファミリー企業。

法の網の目をくぐり抜け、天下りーの、お金ジャブジャブ使いーの、税金逃れーので借金を積み上げ続ける構造。国民が預けた郵便貯金が財政投融資という第二の予算として特殊法人に渡り、丸投げ丸投げで中間マージンだけが乗っかり公益法人やファミリー企業と随意契約。金銭感覚の狂った事業で借金が返せるはずもなく、そこを埋めるためにさらに税金が投入される。

これらを丸っと変えようというのが構造改革。書籍の中でも、

こうした絶妙な組み合わせを知れば、特殊法人改革と公益法人改革を一体で断行しなければならぬことがわかるだろう。

と言っています。


銀河系軍団

道路公団民営化から10年で10兆円弱の借金返済。ポジショントークの人たちによる賛否はいろいろあれど事実は事実、成果は成果です。

永田町の族議員、霞ヶ関の官僚と特殊法人、虎ノ門の公益法人。日本は、このトライアングルが各省庁ごとに存在する連邦国家。つまり、太陽系のようなものが12集まった銀河系軍団。ただし、ジダン、ロナウド、フィーゴ、ラウールのレアルマドリードとは違って全くワクワクしないギャラクシーなのが残念すぎます。

道路公団民営化は序章。日本はまだまだ銀河系軍団に立ち向かうバルセロナ的存在カモン!な状況と理解しました。

以上、数字がデカすぎてピンとこないところはあるけれど、ニュースを見る目はだいぶ変わりそうな書籍とゼミでした。


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