おじさん達に癒されているの話。

実は、おじさんがめちゃくちゃ大好きである。
なんだか凄い一文とともに今回は始まったが、要するに好きになる芸能人がだいぶ年上だという話がしたいと思って書き始めただけである。


明確に10歳以上、私が好みであれば20~30歳上まで余裕で好きになれると思ったのは高校生の時。
周りが当時はまだジャニーズと呼ばれていた若いイケメンたちに黄色い声援を送っていた頃、私はおじさん俳優にガチ恋していた。
だが、おじさんと言ってもいわゆる二枚目であることをメインに売っているようなイケてるおじさんが好きだったわけではない。

かっこいいよりも一癖あるとか冴えないとかのチャーミングなおじさんが私はとにかく好きだった。
このおじ好きを開花させたのは、川原和久さんだ。
名前を聞いて分かる人は、俳優オタクかドラマの『相棒』ガチ勢であろうと思う。


厳密に言えば、川原和久さんが演じている伊丹憲一巡査部長のガチ恋勢だったのである。
16歳の私は「こんなに良い声で渋くてかっこいいおじさんがこの世に存在するのか!!」と雷に打たれたような強い衝撃を受けた。

おじ好きというちょっとマニアックなフェチを開花させた私は、それから佐藤二朗さんや津田寛治さんや松重豊さんを経由し。
現在は、森下能幸さんが私の『最推しおじ』の栄冠に輝いている。
ちなみにU-50(アンダーフィフティー)の最推しは、山中崇さんである。



最も、無闇矢鱈にどのおじさんでも良いわけではない。
今まで上げた人たちだって、別にただ「おじさんだから好き」というわけではなく。
「演技が上手い」とか「人柄が良さそう」とか、何かしらの強いプラスアルファ要素があるから惹かれるおじさん達なのだ。
私が愛するおじたちは眺めているだけで癒される、おじだけが持つ温かみを感じる。



だが、稀におじウォッチングをしていると一般の中にも輝く逸材はいるものである。
私は今、とある店員さんにガチ恋している。
あくまで、ファン的な意味であり。
もちろん、あからさま過ぎるほどの好意が表面的になりすぎないように心の内に留めるよう気をつけている…ということを先に断っておきたい。


昔から通っている書店の店員さん(多分、社員の人)なのだが、まず顔が良い。
一目見た時、髪型も相まって「津田寛治さんだ!」と思ってからずっと気になるおじさんになった。
彼はいつも少し難しそうな顔をしていて近寄り難い雰囲気があり。
ちょっとぶっきらぼうに「いらっしゃいませ」を言う。
接客にうるさい人なら、もしかしたらあまり好印象では無いかもしれない。

だけど、私は彼がテキパキ仕事をする姿をなかなかに気に入っていた。
さらに、私の好奇心に火をつけたのは彼の服装である。
なぜか店員さんで唯一制服の一部としてキャラクターものを身につけているのだ。
若い店員さんならまだ何となく分かるけど、なぜあなたが?
そんな特大のギャップが、私の心を完全に掴んだ。


抑えきれなかった好奇心で本を探すついでに話してみると、見た目よりもちゃんと受け答えしてくれる物腰の柔らかい人物だった。
割と攻めても大丈夫そうだと踏んだ私は、推しおじから認知されたいという欲で、話のついでに正直に好きな俳優である津田寛治に似ていることを伝えた。

突然そんなこと言う奴ってだいぶやべぇ客だとは思うが、おじは器の大きい人であった。
それからまぁまぁ…お客さんと店員さんとして仲良く(?)している。
快く受け付けてくれるので、結構色々取り寄せてもらったりしている。


おじの世界は実に奥深い。
アイドルのような瑞々しく美しい若者からは摂取することのできない、おじ様特有の熟しきった渋さや余裕というものがある。
世間的にあまり注目されていない存在になりがちだが、世の中には魅力を秘めたかっこいいおじ様も存在するというのがもっと知られて欲しい。
その反面、魅力が広がりすぎてライバルが増えるのも悩みどころである。(了)

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