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DAO の検討

大きな組織へ勤めている方へ。今の働き方に疑問を思った事はないか。組織構想には社会課題の解決や更なる幸せを謳い、邁進せよと言う。実際には中々時間が取れず、いつの間にか数年が経過している。組織内の調整に時間を費やし、短期的な収益との妥協を考え、酷い時には本来目指したかった活動とはかけ離れたものに変貌していく。全ての組織がそうではない。しかし、私は組織が大きくなるにつれ、本来やるべき"活動"に充てられる時間が少なくなっていく傾向にあると感じている。私は、そうなりがちな社会に DAO を1つの働き方として見出したい。


DAO とは何か

DAO にはまだ明確な定義がない。自律分散型組織と訳されるがその解釈は様々である。そんな DAO に対して私は次のような定義を唱えてみる。

  • 活動指針が不特定多数により決議される組織

  • 組織を人ではなく、システムが運用する組織

  • 特定のDAOや貢献者の活動が全て見え、第三者が評価可能な組織

活動指針が不特定多数により決議される組織

DAO とは参加者が流動的であり、かつ自由に出入り可能な組織である。DAOに参加する事で議決権を持ち、参加者全員で方針を決める形を取る。仕組みの構築が必要となるが、DAOの参加者はDAOが成長する事によるインセンティブが提供される。各参加者がより多くのインセンティブを得る為にはより良い方針決定、活動が必要となる為、特定の管理者がおらずとも、各自利益を最大化する為の行動を取る事となる。

組織を人ではなく、システムが運用する組織

分かりやすい例として給与の支給方法に大きな差がある。全てのDAOが同じ方法を取るとは限らないが、以下のような形式を取ると想定される

特定のタスクを実行した際に自動でシステムが支払う
従来の組織においては給与を支払う責任者、もしくは部門があり、毎月特定の評価条件に応じて支払いが行われる。DAO においてはそういった介在者がおらず、事前にシステムへ定義されたタスクを実行する事で自動的に該当者へ支払いが行われる。この定義には Blockchain を活用するケースが現在は多く、分散型台帳に支払いロジックを埋め込み、そこに参加者が集まる形式となる。

DAO の参加者へ生じた利益を定期的に分配する
DAO で各参加者により行われた活動の結果生じた利益を定期的に参加者へ分配を行う。参加権を放棄した段階で報酬の支払いは止まり、DAOの中で活動を続ける限り報酬の支払いが行われる。

DAO の活動結果が 参加者の直接的な利益となる
DAO の活動で生じた結果が、DAOの参加者の直接の利益となるケースである。Blockchain の TOKEN であれば価格の高騰、自治体のような地域であれば町の発展、より便利な住環境等、金銭、もしくはそれ以外の利益を享受する。

特定のDAOや貢献者の活動が全て見え、第三者が評価可能な組織

DAO の活動資金は特定の人物の預金に依存せず、特定のコミュニティや発行したTOKEN、他、寄付のようなものからなる。この活動資金を安定的に得る為には活動を明瞭に外部へ示し、DAO としての健全性を証明しなければならない。よって、DAOの各参加者の活動履歴や支払いの受け取り履歴はパブリックに公開され、いつ誰にでも検証される形となる。


何故 DAO を推すのか

私が DAO を推す理由には次のような理由がある

  1. 自身の生涯の時間を、よりやるべき活動に充てる事が出来る

  2. 自身のスキルを余す事なく表現する事が出来る

  3. 個人のキャリアが正確に証明される

このように考える理由がある。冒頭に書いた通り、現代の働き方には多くの無駄があると感じている。やりたい事、解決したい課題に充てられる時間を取れず、葛藤する人々も見かける。DAO であれば特定の意思決定者がおらず、また参加者の利益がDAOの利益と直結する前提で構築される点から、無駄のない、効率的な活動が行われると想定される。
また、副次的な効果ではあるが、DAOでの活動履歴は第三者が検証可能である事が多いため、DAOでの活動履歴をそのままキャリアとして証明する事も可能である。従来は自身の職歴やスキルの証明には特定の組織に頼る必要があったが、個人単体で自身を証明する事が出来るようになる。生涯の中で努力した、成果を出した事柄が蓄積され、例え個人間でも高度な信用の元で協力し合う事が出来るようになるのである
こうした点から、柔軟な働き方の中で、今後生じる社会課題や利便性の追求に、人々が自身のスキルを最大限に活かす事が出来る1つの働き方として DAO を推したい


どのように実現するか

私はこれを Blockchain で表現したいと思う。従来のデータベースでも事柄の実現は可能であるが、DAOや参加者の活動の健全性を適切に検証する為には、改竄が難しいインフラが適当であると考える。また、資金を得る方法の表現方法が柔軟である点も Blockchain が適切だと考える理由である。この Blockchain を活用して以下の通りに表現したい

表現する DAO

まずは、特定プロトコルの Blockchain の価値向上を目的とする DAO を用意したい。今回は DAO のユースケースとして検証を行いたい為、利害関係が明確で分かりやすい、プロトコルの価値が目的と合致する状態を構築する。

DAO への参加権

Blockchain 上で発行した特定のトークンの所有有無で参加権を表現する。トークンは Blockchain のトランザクションを発行する事で交換可能であり、トークンの入手、もしくは売却により参加権の獲得・放棄を表現する。また、このDAOは単一の組織を表現するのではなく、幾つかの事業部がある状態を表現したい。よって、トークンとは別に事業部を表現した NFT を発行し、この NFT の所有有無にて DAO のどこの事業部に所属しているのかを表現する。

DAO での発言力

原則、事業部NFTの所有数がDAOでの票数とし方針協議の際等に票数分の議決権を実行する。NFTの所有者が集中する事で議決権に偏りが生じるリスクがあるが、DAOの活動成果が外部から見て低い場合、参加者が得られるインセンティブもまた下落を引き起こす為、買い占めのインセンティブが働かない想定を取る。

方針の決定、報酬の支払い承認

参加者の合意を取り、記録を行う為に決議を行う為の仕組みが必要である。これを、Blockchain の マルチシグにて表現したい。議決権を持つ参加者全員の合意が Blockchain 上で行われる事により承認される形を取る。ただし、全員が賛同するケースは稀と想定される為、マルチシグの参加者のうち、70% 以上が賛同を示した際に承認が執行されるシステムを構築する

資金獲得の手法

プロトコルの価値向上という点から販売する製品が存在しない為、別の方法で資金を獲得する必要性がある。この点から以下のそれぞれの方法にて資金獲得を行うものとする

ステーキングによる報酬の獲得
プロトコルの価値向上を願うのはDAOの参加者だけではない。それ以外の不特定多数も価値向上を願う人々である点から、不特定多数の資金を元にステーキングを行い、その報酬をDAOの預金に蓄積を行う事で活動資金の継続的な獲得を行う。

プロトコルの価値向上に伴う報酬の獲得
プロトコルがDAOの活動によって大量に使用される事によりトランザクションが生まれる。トランザクションが溢れる事でステーキングにより得られる頻度の向上、トークンの価値向上が見込まれる。これにより活動資金の獲得を狙う。

有償事業の展開による獲得
プロトコルの価値向上によって全体のユーザーやユースケースが増加すると共に、必要となる周辺ソリューションも増加する想定である。この周辺ソリューションの開発事業をDAOの中でもタスクとして実行し、一部有償事業として展開する事で継続的な資金獲得を狙う


今後に向けて

まずは Blockchain を活用してこのDAOを実現する方法を構築する。ただし、DAOの基金を管理する人物の納税、透明性においては更に仕組みの検討が必要となる。今後この記事を自身の備忘録としつつ、順次更新をかけていきたい

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