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ウルドゥー語を1年間ゆるゆるとやってみた

ウルドゥー語を学ぼうと思った直接のきっかけは、友人が東京外国語大学のオープンアカデミーを紹介してくれたことだった。
外部向けにオンラインで様々な言語の講座が開かれていて、ウルドゥー語を勉強したいがどうやって勉強しようかと悩んでいたときだったのでまさに渡りに船だった。

ところで日本ではウルドゥー語はすっかりマイナー言語扱いだ。

まあ日本では、アラビア語やロシア語ですらもマイナー言語扱いされるらしいので、然もありなん、といったところか。

実際ここでは、ウルドゥー語を学ぼうとしても、英語や、中国語、韓国語などのように学校や教室もない。オンラインの講座も限られている。

私はパキスタンにもルーツがあるので、日本ではよく「パキスタンでは何語が話されているんですか?」と聞かれる事が多いが、その体験には「ウルドゥー語です」と答えても「え?ウー…?」と心許無い返事しか返ってこないギャグもセットで付いてくる。答えを聞き取れないのであればGoogleで検索かけた方が早かったのでは?と毎回思うが、私は外面はとても親切なのでちゃんと復唱して説明する。
彼らの多くはそんな私の親切さを当たり前だと感じている。

そして更に「パキスタン語話せるんですか?」と存在しない言語を勝手に作り出す輩も存在する。これにはさすがに笑ってしまう。上記の例よりタチが悪い。
イラン語やカナダ語が存在しないのと同様に、パキスタン語も存在しないのだ。

そんな感じなので日本ではウルドゥー語は、認知がほとんどされていない言語と言ってもいいだろう。

ところが世界に目を広げると、ウルドゥー語は決してマイナーな言語ではない。

私の友達の中に、超絶ハイソなパキスタン人(以下ハイソ君。ちなみに私はここまでハイソなパキスタン人を日本国内で見たことがなく初対面の時はカルチャーショックで数日間立ち直れなかった。ちなみに夫婦ともにとても親しみやすい人たち。)と結婚した人がいるのだが、夫婦でドバイに行った話を
してくれた時に、ハイソ君が「あそこはウルドゥーが通じるところが多いから超ラク。自分の中ではドバイは移住したい都市ランキング堂々1位だ」とのたまっていた。
どうやらドバイは出稼ぎのパキスタン人がかなり多いようだ。

ウルドゥー語話者はヒンドゥー語話者ともある程度意思疎通が図れるとのことだし、イギリスにもパキスタン系移民も多い。ただ移民は2世、3世になるとウルドゥー語を解さなくなることも多々あるようだ。

パキスタンは、いわゆる出稼ぎ大国。私の従姉の父親も長年サウジアラビアに出稼ぎしていた。私の父親も出稼ぎで日本にやってきた。そして私の従兄は留学でイギリスに行ったが、そこで結婚してパキスタンにはほとんど戻っていないようだ。パキスタン人は旧植民地で英語を話せる人も多く、出稼ぎとして選ぶ国が必然的に英語圏に限られてくる。日本に来る人も一時期は多かったようだが。

だからか、preplyやitalkiなどのオンライン語学プラットフォームでは、ウルドゥー語教師のページで生徒からのレビューを見ると出身国はほぼ欧米。
ウルドゥー語レッスンの動画を英語で提供しているYouTuberもいて、彼ら彼女らの動画のコメントの中には「両親がパキスタン人だけど、私はウルドゥー語が話せないのでこういう動画はありがたい」とのコメントが散見される。


私はと言えば、とりあえず日本人の先生から日本語で体系的に学びたいと思って去年の4月から東京外国語大学のオープンアカデミーでウルドゥー語講座を1年間受講してみた。

結論から言うと、受講してよかったと心から思っている。

途中で忙しくなってほとんど復習できない時も多々あったが、全体を通してみれば本当に楽しかった。

図らずも日本語とウルドゥー語は相性がいいということも、学んだ。
日本語とウルドゥー語は基本的に語順が一緒なのだ。

本当はゼロ初級のクラスがあればそれを受講したかったのだが、初中級のクラスしか開講されておらず、早く勉強を始めたかった私は無理をおして申し込みをしてしまった。

事前に独学で何とかして文法事項は詰め込んだので何とかなったが、文字がなかなか覚えられず、今もあんまり読めない。アルファベットで何とか凌いでいる。

だけど、「自分は何故ウルドゥー語が学びたいのだろう?」と考えてみたときに私ができるようになりたいことは、コミュニケーションだった。
親戚の人たちとウルドゥー語で話せるようになりたい。
テレビでニュースを聞いて分かるようにはなりたいが、別に新聞を読めなくてもいい。留学するわけではないので、ライティングスキルも必要ではない。

だから自分の背景を理解してくれた上で、文法をもう一度最初から復習しつつ、かつコミュニケーションに特化したレッスンを提供してくれる先生を探そうと思った。

そこで意を決して、先日preplyでネイティブとのレッスンをトライアルで受講してみた。私はまだまだ文法もスピーキングも自信がないので、とりあえず初級からのレッスンとしてお願いすることにした。

レッスン上での共通語は英語なのだが、英語とウルドゥー語は正直言って、相性が悪いと感じた。

上に書いたように日本語とウルドゥー語は基本的に語順が一緒なので、語彙と文法規則さえ覚えれば、日本語からウルドゥー語に変換するときはさほど頭を使わなくて済んでいた。

ところが英語からウルドゥー語に訳すときは途端にスピードが落ちてしまうのだ。

「あれ?everyday(ウ:har roz/har din)はどこに入れるんだったっけ?えーと…」となってしまって口ごもってしまった。
先生はとても優しかったので、すかさず助けてくれたが、英語を介してレッスンするのはなかなか大変だなと思わされた。

ただでさえ私は、英語がそんなに上手ではない。下手だとも思わないし英語の勉強自体は好きだが、いかんせん使う機会がないから錆び付いてしまうのも当然といえば当然だ。

このレッスンはぜひ続けたいのでそうなると英語の勉強もちゃんとしなくてはならないな…と思っている。




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