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血圧が下がらない!その原因は「腸」にあり!

※この記事は約5分で読めます。

『減塩を頑張ってるのに、なかなか血圧が下がらない!』

そんな人は腸内環境に問題があるのかもしれません。今回は、血圧と腸内細菌のバランスについて、日本人を対象にした研究をもとに解説していきます。この記事を見ることで、あなた血圧はどんどん下がっていくかもしれません。

この記事がおすすめの人

  • 血圧が高めで悩んでいる人

  • 減塩してもなかなか血圧が下がらない人

  • 健康に気をつけたい人

注意してほしいこと
この記事の内容は健康・疾患・医療に関する一般的情報と個人の見解を提供するものであり、実際に診療する医療者が行うアドバイス・治療に代わるものではありません。必ずしも全ての方にあてはまる訳ではないのでご留意ください。



高血圧の2つのタイプ

「血圧を下げる」と聞くと、ほとんどの人が減塩を思いうかべるでしょう。実際、医療現場では減塩の指導をしますし、減塩によって血圧を下げることはできます。
しかし、中には減塩しても血圧が下がりにくい人もいます。
実は高血圧には体質によって2つの傾向があり「食塩の影響を受けやすい」人と「食塩の影響を受けにくい」人に分かれます。

  • 食塩感受性:約40%の人がこのタイプで、食塩を多くとる血圧が上昇し、減塩すると血圧が下がります

  • 食塩非感受性:残りの60%がこのタイプで、食塩をとっても血圧が上がりにくい反面、減塩しても血圧がなかなか下がりません。

※食塩に反応しにくい人でも、好き放題食べてもいいということにはなりません。そこは注意してくださいね。

腸内細菌と高血圧

2022年、金沢大学の研究により血圧が下がりにくい原因が「腸内細菌」にある可能性が示されました。(1)

この研究では、石川県志賀町の住民2万人のデータを解析しています。腸内細菌パターンで2つにわけ(エンテロタイプ1と2)、血圧にどのような影響を与えているかを調べたものです。

その結果、以下のことが明らかとなりました。

  • 食塩の摂取量が多いグループ:エンテロタイプ1、2ともに高血圧の人が増える

  • 食塩の摂取量が少ないグループ:エンテロタイプ1で高血圧の人が多く、タイプ2で高血圧の人が少ない

新事実!腸内環境の改善は血圧抑制効果あり!塩分制限でも効果がない高血圧に有効(健康365)

エンテロタイプ1の人は食塩の摂取量に関わらず血圧が高い。つまり「食塩非感受性」の傾向にある。
そしてエンテロタイプ2の人は食塩摂取量を少なくすると血圧が下がりやすい。「食塩感受性」の傾向にあるようです。

ちなみにエンテロタイプ1とタイプ2の違いは、タイプ2で「ビフィズス菌」や「ブラウティア菌」などを含む6種類の腸内細菌が多いようです。

  • ビフィズス菌:代表的な善玉菌。腸内環境を良好に保ち、コレステロール値の低下作用、アレルギー症状の緩和など良い働きを持つことがわかっている。

  • ブラウティア菌;日本人に特有の「やせ菌」。糖尿病や肥満のない日本人が多く持っている。(2)

これらの腸内細菌は短鎖脂肪酸という有用成分を生み出すことでも有名で、食塩に関係なく血圧の調節などを行なってくれることもわかってきています。(3)
※短鎖脂肪酸の健康効果はとても多く、別の記事にまとめる予定です。

腸内環境を整えることで血圧を下げる。これからの研究次第ではそんな可能性も考えられます。

まとめ

減塩は血圧に対して一定の効果がありますが、体質的に効果が得られにくい人もおられます。
そのような方は腸内環境を改善することによって、血圧が下がりやすい体質に変わる可能性があります。
将来的には高血圧対策には「減塩」だけでなく「腸活」も必要、という時代が来るのかもしれませんね。

この記事を読んで、腸内環境と高血圧の関係について少しでも理解が深まれば幸いです。
腸内環境は血圧だけでなく、さまざまな生活習慣病にも関わっています。良い腸内環境を作り、健康的な体を手に入れましょう。


参考文献

  1. Nagase, Satoshi et al. “Impact of Gut Microbiome on Hypertensive Patients With Low-Salt Intake: Shika Study Results.” Frontiers in medicine vol. 7 475. 2 Sep. 2020, doi:10.3389/fmed.2020.00475

  2. 体重の増加を抑える腸内細菌 日本人の腸内研究で発見 糖尿病の改善にも期待 カギは産生する物質

  3. Pluznick JL. Microbial Short-Chain Fatty Acids and Blood Pressure Regulation. Curr Hypertens Rep. 2017;19(4):25. doi:10.1007/s11906-017-0722-5


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