見出し画像

知っておきたい!期待の新成分「ポストバイオティクス」

※この記事は約7分で読めます

健康を維持向上する上で欠かせないのが、腸内環境の改善です。
医学の父ヒポクラテスも「すべての病気は腸からはじまる」という言葉を残しています。そんな腸内環境のカギとなるのが、今回紹介する「ポストバイオティクス」です。

この記事を読んでほしい人

  1. 腸内環境を良くしたい方

  2. 免疫力を高めたい方

  3. 食事を通じてより健康になりたい方

注意してほしいこと
この記事の内容は健康・疾患・医療に関する一般的情報と個人の見解を提供するものであり、実際に診療する医療者が行うアドバイス・治療に代わるものではありません。必ずしも全ての方にあてはまる訳ではないのでご留意ください。



ポストバイオティクスとは?

ポストバイオティクスとは善玉菌が生み出す有用成分のこと。わかりやすいものでいうと、「乳酸菌が作る乳酸」「酪酸菌が作る酪酸」といった感じ。
ポストバイオティクスには、免疫機能の調整、抗炎症作用、抗酸化作用、さらにはがん予防など、さまざまな健康効果があることが研究で示されています。

ポストバイオティクスの例
ポストバイオティクスとしては以下のようなものがあげられます。

  • 短鎖脂肪酸:酢酸、プロピオン酸、酪酸などが含まれます。腸内を弱酸性に保ち、善玉菌が働きやすい環境を作り出します。

  • 細胞断片:善玉菌の断片。免疫を調節したり、炎症を抑える効果があります。

  • 多糖類:免疫細胞と相互作用し、免疫を調節する。コレステロールの吸収を阻害する働きも確認されています。

  • 酵素:グルタチオンペルオキシダーゼやカタラーゼなど解毒作用を持つ酵素を生み出すこともあります。

  • ビタミン:葉酸、ビタミンB12、ビタミンKなど大切なビタミンを作り出してくれる腸内細菌もいます。

(Żółkiewicz et al., 2020)


ポストバイオティクスの効果

ポストバイオティクスには多くの効果が確認されています。腸内環境が全身に与える健康効果は、基本的にポストバイオティクスが担っていると考えて良いでしょう。

免疫調節効果
免疫細胞のバランスを整え、アレルギー性疾患など免疫に関わる病気の予防や治療に役立つ可能性がある

抗がん効果
炎症を抑えることで、がん遺伝子や抑制遺伝子を調節する

感染予防
腸の免疫を高めることで、下痢や急性胃腸炎、咽頭炎、喉頭炎、気管炎などの発生率が減少する

抗動脈硬化
脂質代謝を改善し、動脈硬化を予防。心血管疾患のリスクを下げる可能性がある

脳の健康との関連
パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、うつ病など精神疾患との関連が指摘されている

肝臓病の予防
マウスの実験にて非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の予防効果が確認

(Żółkiewicz et al., 2020)(Pan et al., 2022)

ポストバイオティクスを作る方法

ポストバイオティクスを作るためには、腸内環境を良くして善玉菌を増やすことが必要。そのためには善玉菌そのもの(プロバイオティクス)や善玉菌を育てる栄養素(プレバイオティクス)を食べることが大切です。

プロバイオティクス

善玉菌がたくさん含まれている発酵食品を食べましょう。おすすめの食材をご紹介します。

  1. 納豆: 発酵した大豆食品で、納豆菌(バチルス・サブティリス)が豊富。

  2. 味噌: 大豆を発酵させて作られた食品で、プロバイオティクスが含まれています。

  3. ぬか漬け:乳酸菌を豊富に含みます。食物繊維も取れて一石二鳥。

  4. キムチ: 発酵食品であり、乳酸菌が含まれています。

  5. ヨーグルト: ラクトバチルス菌やビフィズス菌が豊富。

  6. テンペ:大豆を原料とした発酵食品。

  7. ケフィア: 発酵乳飲料であり、プロバイオティクスが豊富。

プレバイオティクス

水溶性食物繊維、オリゴ糖などが含まれている食材。野菜や果物、全粒穀物を意識しましょう。

  1. 大豆製品: 豆類にはガラクトオリゴ糖(GOS)が含まれています。

  2. バナナ:フルクタンやイヌリンといったプレバイオティクスを含みます。

  3. りんご:ペクチンが豊富で、腸内細菌のバランスを整えるのに役立ちます。

  4. めかぶ:アルギン酸やフコイダンなど食物繊維が豊富。

  5. オートミール:食物繊維が豊富で、腸内細菌のエサになります。

  6. 玉ねぎ:イヌリンやフラクトオリゴ糖が含まれており、プレバイオティクス効果が期待できます。

  7. 大麦:食物繊維が豊富で、腸内細菌に良い影響を与えます。

  8. アスパラガス:イヌリンが多く含まれており、腸内環境を整える効果があります。

プロバイオティクスとプレバイオティクスを組み合わせると最高

これらの食材は、一緒に食べることでさらに効果的に善玉菌を増やすことができます。このような組み合わせを「シンバイオティクス」と呼んだりします。

  • ヨーグルト + バナナ

  • 野菜たっぷりの味噌汁

  • 納豆 + めかぶ

このような食事を積極的に取り入れることで善玉菌を増やし、ポストバイオティクスを作ってもらうことができます。毎日の食事に取り入れて、健康管理に役立ててくださいね。

腸内環境を整える方法を詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてみてください。


まとめ

ポストバイオティクスは、免疫調節や抗炎症作用、がん予防など多くの健康効果を持つバイオアクティブな化合物です。プロバイオティクスとプレバイオティクスを含む食材を組み合わせて摂取することで、これらの有益な物質を効果的に生成し、健康を向上させることができます。


参考文献

  • Żółkiewicz, Jakub et al. “Postbiotics-A Step Beyond Pre- and Probiotics.” Nutrients vol. 12,8 2189. 23 (2020).

  • Zhenghao Pan et al. "Postbiotics Prepared Using Lactobacillus paracasei CCFM1224 Prevent Nonalcoholic Fatty Liver Disease by Modulating the Gut Microbiota and Liver Metabolism." International Journal of Molecular Sciences, 23 (2022).

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?