4月生まれの憂鬱と処世術
誕生日が4月の初めの方なので、特に小学生のころは、クラスでも1番背が高かったし、脚も1番早かった。成績もいい方だった。
でもその分、いつも、誰より1番に先生に怒られ、注意され、厳しく当たられていたよなあ、と大人になった今、ふと振り返る。
一生懸命走って、よっしゃ1番だ!と嬉々としてると、
「タケルくん、まだみんなが追いついてないからね、ちょっと待ってて」
と言われて、せっかく1番についたのに、結局はビリの子たちを待たされて、また同じ所からスタート。どんなに努力して自分を追い込んでも、褒められるどころか「うんうん、じゃあみんなのこと待っててね」と諭され、待つ羽目になる。
4月生まれと早生まれ
今にして思えば、仮に3月生まれの子たちからすれば、彼らはもっと理不尽な思いをしていたのかもしれないな、と思う。スタートはみんな同じ位置なのに、誕生日によって、致し方のない差のようなもの、が歴然と存在していて。
それは先生たちもさぞ気を遣っただろうな、と思うんだ。その結果が、まあ、「1番早い子は遅い子たちを待っててあげてね」につながるわけだから。それにしてはずいぶん理不尽に怒られもしたよなあ、とも思うんだけどね。怒られ見本、みたいな感じで。まあそこはしゃーなし。
でも、この「あなたは早いからちょっとそこで待ってなさい」は、俺の人生のデフォルトみたいな景色として、ずうっと横たわってる感じがする。
会社員時代もよくあった。ある企画を発案して、みんなで進めて、もう完成!締切に間に合った!って状態なのに、そこから半年もリリースを待たされる、みたいな状態。え、締切守るために必死でやったのに!?あの徹夜の意味?!ってなるんだけど、後から考えると、あれって「待ち」だったな〜って、気づいたりするんだよね。
つまり、世間にリリースするには、まだ早い。なので、「待ち」。
もちろん、当時の上司がそうジャッジしたのではなくって、必然的にそういう流れ、になることがよくあった。結果、ちゃんと黒字になったり、予想より売れたりと、後になってベストタイミングだったなーと振り返ることもしばしば。
ただ、この「よくわかんないけど待たされている状態」って、結構ストレスだよね、って話がしたくって。(ようやく自分が何を書こうとしてるのか気がついた)
例えば人にラインしたとして、未読スルーされたりとか。
大抵、相手も忙しかった、ってことが多いから、まあこっちも「忙しいんだろうな」って思って、待たずに待ってるんだけどね。
でもこれが気になる人だったりすると、「うわーなんで未読」って、なってしまうよな。
タイミングが合わないなら
こういう、「相手に応えてもらえない待ち」って、実はタイミング待ちでもあって。自分は準備ができているけど、相手にはまだそれができていない、とか。もちろん、相手が自分に興味がないだけ、ってこともいくらでもあり得るんだけど。
いずれにせよ、「待ち」の時って、結構、why??が続くあまり、「もしかして俺、なんかダメなのかな」って、つい自己否定しそうになる。理由がわからないって辛いことで、無理やり着地点を探すうちに、「自分が悪いのでは?」って思い込むこともあると思うんだよね。
小学生のころ、俺は先生に「待ってなさい」と言われるたびに、待たされている理由がよくわからなかった。遅い子を待ってなさい。あなたは早いんだから思いやりなさい。今なら理屈は理解できる。だけど、当時は分からなくって、俺は、
俺が早いのが悪いの?
って思ってた。4月生まれだから、っていう理屈を知らなかったもんで、そう考えるしか落ち着く場所を見つけられなかったんだよね。
人より早い、というのは、どうも俺の性質らしい。パートナーのモモにも、よく言われる。タケルくんは成長が早いから、追いつくのに必死だよ、こっちは。って。なんなら母さんにも言われるし。あんたの言ってることは、私の頭じゃ追いつけないよって。
別に俺はギフテッドでもなんでもないんだけど。普通に、生きてるだけなんだけど。だから、俺は、待たずに待つように、生きようと思ってる。誰かを待つって、正直苦痛だ。待つことが本当に思いやりなのか、今もってわからない。
クラスで足の遅い子たちからすれば、鬱陶しいな、とっとと先いってろよ、って思ってたかもしれないじゃん。俺が待つことで、彼らは「自分のせいで待たせてる」って、余計に傷ついてたかもしれないじゃん。
ならお互いマイペースにやって、自然と交差するタイミングがくるに委ねた方が、平和なんじゃないか?って。
だから、俺は、待つけど待たない。こっちから投げたボール、思いついたアイデア、それをまだ誰にもキャッチしてもらえなくても、そのタイミングがいつ来てもいいように、とっとと準備する。とっとと形にしとく。遅れてくる誰かを待たない。だけど、交差するタイミングは待つ。
気になる人のラインとかも、同じかなと思う。いつ応えてもらってもいいように、できることやる。美容室いっとく、筋トレしとく。その上で、待つけどまたない。そうやって、自分に集中する。
例えば作品作りをしていて、なかなか人に認めてもらえなくても。単に早いだけ、タイミングがあってない、だからまだ選ばれない、ってケースも、いくらでもあると思う。だから、ひたすらコンテストに応募しながら、結果を待たずにマイペースに作り続ける、みたいなことが大事なんかなーと。
4月生まれの憂鬱を生きた結果、これが俺の処世術になった。って話でした。
読んでくれてありがとう。
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