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訪問看護経験で公認心理師Gルート受験の要件を満たすか検証してみた

久しぶりのnote投稿になりました、キムカツです。
去年、人づてに心理職の国家資格「公認心理師」が新たに誕生したことを聞き、密かに受験をしていました。本来この資格は、心理系の大学院を卒業した人のみが受験資格を得られるものです。ですが特例措置として2022年までに限り、所定の実務経験が5年以上あれば受験資格を持てるGルートというものが存在します。本記事では、訪問看護の実務経験でもGルート受験が可能かどうか、自ら検証してみた結果を書いていきます。

Gルート(区分G)受験とは?
(前略)この法律の施行後5年間は,第7条の規定にかかわらず,試験を受けることができる。
1. 文部科学大臣及び厚生労働大臣が指定した講習会の課程を修了した者
2. 文部科学省令・厚生労働省令で定める施設において,第2条第1号から第3号(※1)までに掲げる行為を5年以上業として行った者
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※1 ≪第2条第1号~第3号≫
1) 心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し,その結果を分析すること。
2) 心理に関する支援を要する者に対し,その心理に関する相談に応じ,助言,指導その他の援助を行うこと。
3)心理に関する支援を要する者の関係者に対し,その相談に応じ,助言,指導その他の援助を行うこと。
参照)一般財団法人日本心理研修センター

つまり、上記1)~3)にあたる実務経験が5年あれば、講習を受けるだけで公認心理師試験を受けることができます(但し2022年までの期間限定)。
私は理学療法士として病院で2年、訪問看護ステーションで3年半、合わせて5年以上の現場経験があるので、もしかしてGルート受験ができるかも!?と思い、調査していました。
色々と調べてみたのですが、自分がGルート受験ができるのかどうか、最後まで確証が得られませんでした。不安を抱えながら現任者講習を受け、受験申し込みをしました。
自分と同じような状況にあるGルート受験者の不安を、少しでも解消できればと思い私の経験談をシェアします。
※あくまでも、私個人のケースですので、受験申込は自己責任で行うようお願いします。

結論から言えば、無事受験資格を得ることができました。ただ、押さえるべきポイントがいくつかあったので、これから受験申し込みをする方は、ぜひ最後までご覧いただき参考にしてください。

Gルート受験に必要な施設要件

まず一つ目の懸念点は、施設基準の部分です。Gルート要件のうち、以下の太字の部分になります。

文部科学省令・厚生労働省令で定める施設において,第2条第1号から第3号(※1)までに掲げる行為を5年以上業として行った者

法令で定める施設の一覧は、保健医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働、その他に分類されており、日本心理研修センターのHPから詳細を確認することができます。参考までに、第4回公認心理師試験のデジタルガイドブックから、抜粋したものを、以下に示します。

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私の場合、5年間のうち、病院2年、訪問看護ステーション3年の実務経験です。
病院に関しては、明確に施設コード101に規定されているので問題なかったのですが、訪問看護ステーションに関しては、どの分類にも明示されていません。私は当初、訪問看護は介護保険法によるサービス提供なので、施設コード102で提出してみようとしました。ですがやはり、102の対象に明記されているのは「介護療養型医療施設」「介護老人保健施設」「介護医療院」「地域包括支援センター」のみ。訪問看護は対象外です。。藁にもすがる想いで詳しい知人に相談したところ、施設コード902(その他)で受験資格を得た人がいるという情報を得て、ひとまず施設基準はクリアできそう...であることがわかりました。ただ、「その他」の分類で申請すると審査が厳しくなるので、これを揃えておけばひとまずはOKな書類を後ほどまとめでご紹介します。

Gルート受験に必要な業務要件

施設要件はクリアしたとして、次は業務内容の証明が必要です。要件に該当する業務は以下になります。

1) 心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し,その結果を分析すること。
2) 心理に関する支援を要する者に対し,その心理に関する相談に応じ,助言,指導その他の援助を行うこと。
3)心理に関する支援を要する者の関係者に対し,その相談に応じ,助言,指導その他の援助を行うこと。

これは解釈が難しいのですが、訪問看護やリハビリテーションでは、利用者の心理状態の観察や分析、相談、支援に特化してサービス提供をしているわけではありません。しかし、日々の利用者との関わりの中で心理的観察・支援は自然と行っています。したがって、業務要件として不足はないと私自身は決め込んでいたのですが、実際に申請をしてみると、「書類不備」として、再度申請を求められることになってしまいました。。(続く)

送られてきた「書類不備通知」

私が勤めていた2つの訪問看護ステーションのうち、ひとつの事業所について、追加書類の提出を求められました。具体的に追加提出を求められたのは以下の書類です。

・法人の存在証明として、履歴事項全部証明書を提出してください。また、雇用契約書があれば提出してください。
・実務経験の客観的な証明を補強する資料として、事業所のホームページ、パンフレット、企業における内規などの書類を提出してください。

実際の書類不備通知

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やはり公認心理師試験の運営サイドとしては、①会社が存在しているか、②規定の業務内容に従事していたか、を客観的に証明できることを判断基準としているようです。

追加提出を求められた書類のうち、履歴事項全部証明書とは、会社の登記簿謄本のことです。こちらは、所属していた会社に頼んで対応してもらってください。私の場合、会社に追加提出を依頼したところ、「雇用契約書に関しては発行できるが、履歴事項全部証明書に関しては対応できない」と言われてしまいました。。そのような場合は、法務局のHP上で、自分でオンライン発行をすることも可能なので、以下のURLから諦めずに試してみてください。数百円の手数料で発行できます。

法務局HP)登記事項証明書(会社・法人)をオンラインで取得したい方へ

また、もうひとつの特記事項として求められた「公認心理師法第2条第1号〜3号に掲げる行為を業としていたことがわかるもの」については、会社パンフレットのうち、小児領域の事業内容、認知症患者のケアに関する事業内容の部分をハイライトすることで、私の場合は受理されました。この点はケースバイケースですが、一般的に精神・発達支援が関わる分野の事業が記載されていれば、通りやすくなるのではないかと思います。

まとめ

訪問看護の実務経験で公認心理師Gルート受験をする場合のポイントを以下にまとめます。

・訪問看護ステーションの実務経験で受験資格を得ることは可能
・申請区分は「その他」、施設コードは902での申請になる。
・「その他」での申請の場合、①会社が実在するか、②規定業務を行っていたか、について厳しく審査される。
・「実務経験証明書」の記載を前職にお願いする際に、「雇用契約書」「登記簿謄本」「会社パンフレットへの代表者印と日付の押印」を合わせて依頼する
・会社から登記簿謄本の手続きに応じてもらえない場合、オンラインで自分で発行することも可能
・書類不備があっても、再提出のチャンスがあるので焦らない
受験申し込み期限は厳守なので、余裕を持って準備をする
・書類不備による追加提出期限については、運営窓口に相談することで融通が効く場合がある(会社の都合上、すぐに準備できない旨を説明できれば良い)

さいごに

公認心理師Gルート受験申し込みのポイントについて、見てきました。最後にGルート受験の注意点として、このルートで受験可能なのは第5回公認心理師試験まで、ということを強調しておきます。すでに第5回に向けた現任者講習会の申込受付は締め切っているようなので、まだ現任者講習会の申込が済んでいない方は、残念ながらこの特別措置の恩恵を受けることができませんので、ご注意ください。

(追伸)
本日、第4回公認心理師試験の結果が私の元にも通知されました。
結果は、なんとか合格できました💮
晴れて公認心理師となる喜びの一方、心理職としての専門的な実務がない点に不安を持っています。このような不安は、私のような心理専門職ではないGルート受験者には多いのではないでしょうか(自分だけ?)。

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