FAS業務に臨む際に身につけておきたい基礎知識と関連書籍 -2-

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ストラクチャー(組織再編会計・税制含む)

 ストラクチャーと一口に言っても会計、税務、法務等様々な視点で見る必要があります。その入り口としておすすめは「M&A・組織再編スキーム 発想の着眼点50」。実務で使うであろうストラクチャーの概要について、その目的(M&A、事業売却、グループ内再編、経営統合等)ごとに整理されており、税務面から記載がメインですが、とっかかりとしては非常に役立ちます。ただし、一部記載が足りないように思える箇所もありますので、こちらの書籍のみでストラクチャーの最終判断をしないようにしましょう。

 各種ストラクチャーの会計処理は「第4版/詳解 組織再編会計Q&A」を買っておけば一通りは大丈夫です。著者曰く、ビッグ4の実務もこの書籍にそって判断されているとか。組織再編会計の基準策定に携わった著者なのでさすがの記載といいいますか、基準だけ読んで理解が追い付かない箇所にしっかりと補足解説がなされており、かゆいところに手が届く内容になっています。これと基準の原文をあわせて読む以外では、会計処理に関する書籍にあたった記憶はほぼありません。

 実際の組織再編を行う際にはこちらを手元に置いておきたいところ。合併には「合併ハンドブック」、分割には「会社分割ハンドブック」と、各組織再編の形態ごとに書籍が取り揃えられています。法務中心ですが、人事労務含めて掲載されているので、手元に置いておくと本当に重宝します。各条文の趣旨や細かい関連規定、書面例も整理されていますので、まずはこちらのハンドブックで内容を押さえて、条文にあたるようにしています。このハンドブックがあれば、単純な再編であれば、ほぼ一人でできてしまうのでは…と思えるくらい自分としては気に入っています。

財務モデル

 財務モデル(ないしモデリング)は興味ある方が多いかと思いますが、正直、実務に耐えうる書籍はあまり見た記憶がありません。まずは財務三表をExcelで自分で組めるようになり、そのうえでバリュエーションとつなげることや、LBOモデルやDD結果を組み込めるようになる流れかと思います。
 その意味で、まずは自身で三表組めるようになるのが大前提となりますので、「外資系金融のExcel作成術: 表の見せ方&財務モデルの組み方」を紹介しておきます。こちらで基礎を身に着けて、各案件で修行してください。

投資ファンド(PEファンド)のビジネスモデル

 FAS業務において、主要クライアントと言っていいほど投資ファンド(特にPEファンド)に関連する案件は多いです。なので、少なくともPEファンドのビジネスモデル概要は理解しておくべきでしょう。
 「激務の心得」さんのサイトの記事が非常にわかりやすいので、詳細はこちらを見られることをお勧めします。ネタっぽい解説記事ですが、内容はしっかりと書かれています。他の記事もファームで働く心得等を掲載されていて、FASで働く上では非常に参考になり、よく読んでいました。
 投資ファンドへの転職を考えないのであれば、個人的には書籍を買ってまで押さえなくても良いかと思います。FDDでの関与であれば、ネットの記事を読んでいれば十分と感じます。

 もう少し進んで押さえたい、モデリング業務を提供することになった等の際にはこちらを読んでみることをお勧めします。私は辞書的に活用して全てに目を通せてはいないですが、難解なローンの箇所を中心に解説されています。

その他

 これまで記載した内容の他にも事業再生、BDD、PMI、フォレンジック等々、FASで提供される業務は多岐にわたります。それぞれ領域がかなり異なっておりますので、書籍や解説記事などをとっかかりに業務に臨んでいただければと思います。

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