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農業は自然から最も遠い存在【農業冒険記#10】

ある時から『農業=自然』というイメージが消えた。

農業を始める前、または始めてから間もない時は『農業=自然』のイメージが強かった。というかイメージというより『農業は自然』の認識があった。
多くの人が『農業=自然』のイメージを持っていると思う。実際それで脱サラして農業を始めた人が多い。

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農業をする上で植物と向き合わないといけない。人より植物と向き合う時間の方が多い。
だけど農業は人が初めて始めた産業。

昔なら品種改良や農薬、化学肥料、稼ぐ農業は存在しなかった。その頃は自然と対話して動物とも共存しないといけないし、害虫や病気とも戦わなくてはいけなかった。

しかし今は違う。
資本主義社会になった。稼ぐ農業をしないと農業は続けられない。周りの生産者と争わないといけないし、政府にお金をもらったり、借りたりしないといけない。
自分が作りたいように食料を作れないようになっている。

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作る野菜も市場の声に合わせないといけない。
自然を害して農薬を使ったり、化学肥料を使わないといけない。
自然農法や有機栽培など『農業=自然』みたいな農業はできるかもしれないがそれはごく一部。日本ではまだそんな生産物を求められていることは数少ない。
しかも地域によって作れない場所が多い。
地域によっては県を跨いだりして住む場所を移動しなくてはいけない。

また品種改良もある。自然交配ならまだ自然なのかもしれない。しかし今は遺伝子組み換えもある。これからはゲノム編集も出てくる。
その種は毎年買わないといけない。その種が成長して、そこから種を取ることはできない。

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『農業=自然』は間違っている。
今挙げたような事以外にも水の問題もある。農業は淡水をたくさん使う。
今地球から淡水が減ってきている。日本も少しずつ農業に使える水が減っている。

自然と対話できる農業はスローライフやエコヴィレッジと言われている。
それはもう農業ではない。農業は産業のひとつ。スローライフやエコヴィレッジは産業ではなく、生活の多様性だ。

今、『自然=農業』のイメージ通りに農業を始めようとしていることは農業を始めるのではなく、スローライフやエコヴィレッジに参加した方がいい。

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最後に言いたいのは『自然=農業』は諦めろって言っているわけではない。
今の時代は多様性豊かなのでやりたいことが実現しやすくなった。僕らが持っているイメージやゴールは叶えられる。
しかし『自然=農業』は今の農業では叶えられない。

『自然=農業』を叶えたいなら村に入れ。

それでは次の回で。
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