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農業現場お役(に立ちたい)人カイギ#8『市町村農政についてみんなで考えよう〜農業現場に向き合う、シン・市町村農政』 レポート

※ お役人カイギの紹介
農業現場お役(に立ちたい)人カイギ」は、全国の農業系公務員が、多様な農業現場の課題解決に向けて、越境して話し合い、励まし合い、行動し合う場所です。2か月に1回、平日の夜にオンラインで集まっています。

農家の右腕、経営改善のあの方こと、ファームサイド株式会社/阿部梨園の佐川氏が主催。佐川氏のミニレクチャー、ゲストスピーカーを迎えての座談会、その後は小グループに分かれての意見交換タイムを設けています。

この勉強会を通じて、個々、組織、農業界が抱える課題を一緒に考えることで、解決できるものが多くあると思っています。ガンガン課題を解決していって、持続的で明るい、未来ある農業を共につくっていきましょう!

農業現場お役(に立ちたい)人カイギについての詳細は以下のリンク先に詳しくまとめられていますのでご覧ください。
https://farmside.notion.site/76bf2e711bc24dbeb96b490aff742254


イベントの趣旨、概要

第8回は、「市町村農政」がテーマです。お役人カイギのメンバーは、都道府県の職員が比較的多いですが、幹事メンバーをはじめ個性的な市町村の職員の方々も参加しています。

市町村農政は、ハードからソフトまで、例えば毎年恒例の水田の転作業務から災害対応まで非常に幅広い対応が求められています。一方で、都道府県と比べて職員数が少ない上に近年は、予算の上でも非常に厳しい環境下に置かれています。

このような中、なかなか全体像が見えにくい市町村農政の業務や課題を明らかにしていきました。また、そのあるべき姿や職員の方々の効果的な立ち回りの方法についても、活発な議論が行われた回になりました。

イベントの主な内容

(1)イントロ、趣旨説明

Sディレクターの台本による恒例の(?)農政漫才から始まり、 その後、 企画メンバーがまとめた市町村農政の概要について説明が行われました。

まずは、下図のように①ハードやソフトなどの補助事業の対応②農地転用、最近の地域計画の策定をはじめとした農地関係業務③窓口対応に加えて、新規就農者の相談や生産者部会への対応などの市民対応など、農政のありとあらゆる業務への対応が必要なことを確認しました。

市町村職員によると、農業者と非常に関係が近いため国や県の事業を柔軟に活用しながら効果的な施策を打てることにやりがいを感じているとのことです。一方で、元々農業の専門職でない上に人事異動もあり、さらに国や県から降りてくる仕事が多い中、「スーパーマンでないとできない」という悩みも聞かれました。

(2)トークセッション&ディスカッション

市町村農政のお仕事を概観した後で、実際に市町村で農政担当をされている3人の方から、日々のお仕事で実践されていることをお話いただきました。「日中は忙しいため朝に必ず集中できる1時間を確保する」、「農業新聞は毎日チェック」、「キーパーソンを確実に巻き込む」、等々。

また「農業者はシャイな方が多いので、個別にヒアリングしないと本音が聞けない」などのコメントも。やはり市町村の担当の方は地域との距離感が抜群に近く、むしろ関係性がウェットであり、そこにやりがいがあるようです。そしてその中で「バランスも大事だがやる気のある人を応援したい、できるところからやらないとダメ」という点は皆さんが共通した認識でした。

他にも、市町村農政あるあるとして、ある補助事業に関して質問したところ、県や農政局からは厳格な回答だったが、事業所管の農水省の担当に直接聞くと柔軟な回答だったり、事業の予算取りに向け市町村の財政担当を説得するにはウラ補助としての国の補助制度が必要だ、などのコメントに参加者がチャットを通じて大いにうなづいていました。

また、市町村長が交代した場合に方針が180度変わったり、何でもいいから新規事業をやれと急遽指示される等、市町村農政ならではの大変なことも多いようです。

(3)感想交換タイム(ブレイクアウトルーム)

ブレイクアウトルームでは、少人数に分かれてそれぞれ自己紹介や感想、悩んでいることなどについて話し合いました。その後、全体のルームにて各グループで出た話題について共有しました。

県職員の参加者からの「普及員はどのくらいの頻度でコンタクトを取ったら良い?」という質問に対して「コミュニケーションが大事、どんどん来てください」という意見があったとのこと。地域の状況による部分はもちろんあるかと思いますが、普段、市町村の方とのコンタクトについて、忙しそうと遠慮をしていた普及員の皆さんにとっては背中を押してくれるコメントだったのではないでしょうか。

また、異動時の引継ぎについても盛り上がりました。意外と多い「引継ぎなし」派。地域によって事情が異なる様子がうかがえました。各グループでの話題を共有する中で、他の自治体との情報交換の必要性を感じている声もありました。ぜひお役人カイギも情報交換や交流に役立てていただければ幸いです。

まとめ

最後に、佐川より事前アンケートと今回の内容全体を通してまとめがありました。市町村に方は個人レベルでたくさん抱えて仕事をこなしている方が多い印象があったとのこと。

農業専門職ではなく、異動のスパンも短い場合は農業の全体図をつかんだり、事業のメニューをすべて把握したうえで総合的な課題解決を主導していくのはなかなか難しいのが現状です。

それでは何に注力したらよいか、という3つのポイントが紹介されました。

① 地域と農業界をつなぐ通訳、出島になる

②人つなぎに徹する

③課題解決の場づくりに徹する

中でも、「地域のプロ、農業のハイアマチュアを目指す」という言葉が印象的でした。これらを実際に進めるのは大変ですが、最低限農業の知識を仕入れる、農業者との接触を増やす、外部のネットワークに個人的につながりに行くことでノウハウを取り込むなど、小さなことからできることがあります。

市町村の方だけでなく、技術や経験の浅い国や都道府県の若手職員にとっても参考になりますね。

延長戦・座談会

いつものように、本編だけでは語り足りない参加者が集い、延長戦が繰り広げられました。

「モチベーションの差がある中、組織のパフォーマンスを最大化するには?」という問いに対し、「自分と同じ熱意がある仲間をいかに見つけるかが重要」と、良い感じにはみ出した方ばかりが集まる(⁉)お役人カイギならではのトークが展開されました。

「農業者を上手く巻き込むなど応援団を幅広く募る」「返報性の原理で周囲をとにかく手伝う!」「相談してもらいやすいように『ほーい!』『尋ねてくれてありがとう』など返事の仕方ひとつでも工夫する」といったヒントも得られました。

孤立無援になりがちな市町村農政の業務ですが、(しかも正しい行動をするほど仕事が増えてしまう⁉)、「熱量が高ければ、必ず助け船が来るし、組織を超えて良いものを作っていける!」「そのためにもチャットツールなど活用して関係者と日頃からオープンにやりとりすべき!」といった熱いトーク満載の延長戦となりました。組織間を超えた”ベストパートナー賞”を目指して、関係者と”二人羽織体制”で取り組んでいきたいものです。

参加者のご感想やアンケート結果

今回参加した方々の感想やアンケート結果の一部を紹介します。次回のイベント参加のきっかけになればと思います。5点満点で平均4.3と、満足度の高いイベントとなりました。

また、以下のような感想や意見が寄せられました。
「改めてどこの自治体でも同じような課題を持っていることを再認識」
「市町村農政に関わる方々は、多忙な業務の中で日々考え地域の力となる施策を推進していることがわかった」
「行政の役割は人つなぎ・場づくりだというまとめに、なるほどと思った」
「引継ぎが無いこともある事実に衝撃を受けた。引継ぎが重要と改めて感じた」
「異動サイクルが早いため組織内だけでなく関係機関との情報共有が重要」

次回のご案内

次回のイベントは、2月頃「農業者グループ・コミュニティ」をテーマに行わう予定です。お役人カイギのメンバーは、各品目の部会や青年部、4Hクラブなどの後継者の集団など様々なグループと接点があると思います。

また、農業の分野では飲み会など時間外を含めて非常に濃い付き合いをする場面も数多くあります。さらに、最近は役所主導で作られたグループ以外にも農業者が自主的に設立したスタディグループなどのコミュニティとの付き合いも発生しています。

効果的な支援手法を考えるだけではなく、勤務時間とプライベートとの線引きを含めた 関与のあり方など悩みが尽きないテーマではありますが、皆さんと有意義な意見交換が出来ればと思います。

PeatixかFacebookでファームサイド株式会社をフォローしていただければ、準備ができ次第ご案内差し上げます。

https://farmside.peatix.com/

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主催者、本件に関する連絡先

主催者:ファームサイド株式会社
FARMSIDE Inc.|佐川友彦|農業界の課題解決ファームサイド株式会社は農家の経営改善と農業界の課題解決に貢献します
farmside.co.jp


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