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農業現場お役(に立ちたい)人カイギ#9『農業者グループ、コミュニティ支援についてみんなで考えよう』 レポート


イベントの趣旨、概要

第9回は、『農業者グループ、コミュニティ支援についてみんなで考えよう』をテーマに事例紹介やディスカッションが行われました。

農業の分野では、各品目の部会や女性農業者、4Hクラブなどの多種多様なグループがあり、さらに最近は農業者の自主勉強会の設立がみられています。そして、お役人の皆様は、これらのグループと通常の業務での支援に加え、飲み会など時間外を含めて、非常に濃い付き合いをする場面も数多くあります。

このような中、①人や予算が限られている状況下でいかに効果的な支援を行えばよいか、②勤務時間とプライベートとの線引きを含めた関与のあり方、などについて議論が行われました。

結果的にアンケートの回答が過去最高の満足度になるなど非常に盛り上がったイベントとなりました。

イベントの主な内容

(1)イントロ、趣旨説明

今回もSディレクターの仕込みによる、佐川さんとの恒例の農政漫才からスタートしたお役人カイギです。まずは、実際の取組事例紹介の前に、事前アンケートの結果共有、今回の登壇者と幹事メンバーが整理した論点が説明されました。
「農業者グループ、コミュニティ」に関しては、多種多様な団体やグループがありますが、下図のように年齢(就農年数)や行政との関係性(能動的か、受動的か)などの切り口で分類することによって、それぞれの団体の特性が明らかになりました。

その上で、これらの団体に対し効果的な支援を行うために、①「団体の目的」、②「組織としての状態」を意識した上で活動のあり方を考えると良い、との説明がありました。

「コミュニティ支援」という正解のない問題については、「何に注目すればいいか分からない」、「何から手を付けたらいいのか分からない」という悩みを抱えるお役人メンバーも多いかも知れません。しかし、この趣旨説明だけでもクリアになったのではないでしょうか?

(2)トークセッション&ディスカッション

1つ目は、群馬県館林地区の事例です。施設キュウリの環境制御技術を学びあうサークルを立ち上げ、「安心な環境→弱みの共有→共通の目的構築」といった流れで、グループをステップアップしていく事例です。また、取組を継続しながらも「目指す目的は可変」とし、常に変化させることで組織の継続化を図っていることが紹介されました。


2つ目は、静岡県伊豆市の事例です。この事例では、ワサビの作業グループについて紹介されました。その中で、①組織の「目的とキーパーソン」を見つけること、②「行政が着地点のイメージをあらかじめ作って」から連携を提案し、「単発ではなく継続、行政が汗をかく」ことが重要との話をありました。

3つ目は、宮崎県のピーマンの歴史を変えた自主学習グループ「ハッピーマン」の事例です。本気度の高い若手を集め、「行政と生産者の目的を同一にした上で、個々が経営発展を図る」ことが重要とのお話がありました。その上で、支援者側は、PDCAのグループサイクルには関与せず、「人材育成サイクルにのみ行政側が関わる」ことで組織を発展させてきたというお話がありました。

最後は、兵庫県加古川市の事例です。公務員的な当たり障りのないコメントではなく、「主語が I(アイ)のメッセージで活動イメージを語る」、「多くの関係者がつながる仕組みづくり(SNS等)」が重要と強調されていました。そして、PRの目的は、「認知度の向上(消費者だけでなく従業員へ)」と「農業者の意識改革(イベントは行政がするものという認識の払拭等)」であった、と様々な視点で農業グループへの関わり方を発表いただきました。

発表後には、登壇者同士のフリーディスカッションが行われました。その中で、所属組織にはこっそりやって成果を積み上げる、キーパーソンには基本的にはしっかり話を通す、目的が緩い組織もアリだけど確固たる目的を決めた組織もアリ、今後の担い手育成・規模拡大においては異業種の関与が必要、など他にもここでは本当に収まりきらないような熱いやりとりがなされました。

(3)感想交換タイム(ブレイクアウトルーム)

恒例の感想交換タイムでは、少人数のグループに分かれて感想や情報交換を行いました。その後、いくつかのグループで出た話題について全体で共有しました。

あるグループでは、担当者が工夫を凝らしてコミュニティ支援を行う中、「あの人だからできるけど、他の人はできない」という声にどう対応すればよいか、という意見も出たようです。異動のある公務員。誰でも取り組める活動になるよう、理論化しながら落とし込むことも必要でありつつ、一方でその人だからこそできる支援があるのも事実です。

職員が個々のアイデアや能力を発揮することと、継続性のある業務にすることをどのように両立するか(できるのか)は、公務員にかかわらず、事業における永遠の課題の一つかもしれません。その他、新規就農者の組織的な支援として、農地の貸し借り情報の共有事例についてや、事例発表の感想などがシェアされました。

まとめ

最後に、佐川さんによるまとめタイムです。
農業者グループやコミュニティの支援を行う上では、「当事者が主体的なもの」と「行政主導で支援していかなければならないもの」に分かれます。

今回の事例では取り上げられませんでしたが、活動が下火になり、人が集まらないという問題を抱えるグループもあるのではないでしょうか。このような場合は、行政が事務局や対外的な交渉など働きを肩代わりするところもあります。再び活動が活発になるまでの支援のノウハウが必要です。

コミュニティには様々な背景がありますが、どのコミュニティでも健全に前進するための共通のポイントとして、目的の共有やルール作り、計画の作成、新メンバーへのアプローチなどが紹介されました。時間の関係で詳細には触れられませんでしたが、これらのノウハウを今後深めていく必要があります。「担当が変わっても支援が継続できるか問題」の解消にもつながりそうです。

「グループに足りないもの」を整理しつつ、業務や農政の取り組みとのすり合わせができるようになると、グループ支援をしつつ、業務も遂行できるようになる、というのが印象的でした。

延長戦・座談会

今回は一段と「ならではトーク」盛り沢山で大満足の延長戦でした!
「異動もあるけど、実は自分が居なくなったらちょっとは困って欲しい(笑)…それがお役人のやりがい」「コミュニティ支援はもはやライフワーク」「可愛くてしょうがない」といった親心全開!トークもありました。

一方で、「飛びぬけた人も出てきてほしい!農業界からも億プレイヤーを!」「自走する仕組みを作った後は、後方支援に徹するのも一つ。究極の理想は、自分の仕事がなくなること」といった熱いコメントもありました。

登壇者からは追加の裏話、参加者からは経験談などの共有もあり、コミュニティ支援で悩むお役人にも希望の光が見えた時間でした。テキストベースでは伝わりづらいコミュニティ支援においては、今回のように、実務的な話を実体験ベースできちんと話す場や、外部からの情報が大切であることを実感しました。お役人カイギも「推し役人に会える」コミュニティとして今後も盛り上げていきたいです!

参加者のご感想やアンケート結果

今回参加した方々の感想やアンケート結果の一部を紹介します。次回のイベント参加のきっかけになればと思います。5点満点で平均4.6と、いつもよりさらに満足度の高いイベントとなりました。また、以下のような感想や意見が寄せられました。

「非常に豪華なゲストでよかった。コミュニティ支援しているお役人にもいろいろなスタイルがあり、正解はないのだと改めて認識した」

「“ためになる”よりも”楽しい”が大切、楽しい会にするために(農家のホームである)圃場で話す、目的のないホッとするだけの集まりだから続く、といった話が大変参考になった」

「ゲストの目標像の変化に応じて、キーパーソンの置き方を変えることや行政視点での意見の入れ方は圧巻だった。実際にコミュニティに関わる際、一つでも実践できるようになりたい」

「職場内への落とし込み、異動後の継続性、自走組織の仕組づくりなど、もっと深堀して話したい」

次回のご案内

次回のイベント開催は未定です。

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主催者、本件に関する連絡先

主催者:ファームサイド株式会社
FARMSIDE Inc.|佐川友彦|農業界の課題解決ファームサイド株式会社は農家の経営改善と農業界の課題解決に貢献します
farmside.co.jp


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