香川県さぬき市での実エンドウ・スナップエンドウづくり
栽培する品種
つるあり実エンドウ【久留米豊】(2023年6月6日自家採種1回目)
つるありスナップエンドウ【スナック753】(2023年6月20日自家採種1回目)
基本情報
エンドウはメソポタミア周辺が原産地で、紀元前7000年ころにはすでに栽培が行われていた。日本へは11世紀ころ渡来したが、本格的に栽培されるようになったのは、明治以降である。発芽適温は12~18℃、生育適温は8~23℃と冷涼な気候を好む。作りやすい野菜だが、連作障害が発生しやすく、3~4年間ほかの野菜と輪作する栽培がほとんどである。
収穫する時期と品種から、キヌサヤ、スナップエンドウ、グリーンピース、エンドウマメに分けられる。キヌサヤはがくがしっかり実を包み、マメの部分はペチャンコでヒゲが白っぽくピンと張っている。スナップエンドウはがくが反り返り、マメの部分は膨らみ、ヒゲはピンと張っている。グリーンピースはさやの光沢がやや薄れ、全体が丸く膨らんで、ヒゲは痕跡のみである。エンドウマメはさやが完全に黄化した完熟さやである。
成功のコツ
夏野菜がよく育った畝に適期を外さず種をまく
秋まきで越冬して初夏に収穫するエンドウ。水はけのよい畑を好み、幼苗期に冬越しさせる。
マメ科とはいえ適度に肥えた畑を好むが、養分が多すぎるとアブラムシや病気の被害を受けやすくなる。酸性土壌を嫌うので、酸性が強い場合は種まきのときに燻炭をまいて土と混ぜておくとよい。夏野菜がうまく育ったところでは、養分を補わなくてもうまくいく。ハコベが生える畑でよく育つので、生えていなければぜひ、ハコベを畝に移植しよう。
越冬させるには適度な大きさで冬を迎える必要があり、地域に合わせた適期にまくのがコツ。越冬が難しい寒地、寒冷地では春先に温床で育苗し、苗を植えつける。
春からは草マルチを。収穫は遅れるとマメが硬くなるため適期を外さずに。また、翌年は自家採種した種子で育てると、ぐっと育てやすくなる。
栽培のポイント
・マメ科エンドウ属
・種まき後と、冬から初春にかけて、鳥害対策のために寒冷紗をベタがけしておくとよい。
・風に弱いので、数株で支え合うように育て、しっかり支柱を立てる。
肥料について
肥料がなくても育つが、肥料を使った方が育てやすい。有機栽培では元肥と追肥を行う。
混植
エンドウとキュウリ、ソラマメとキャベツ
エンドウは特に連作を嫌うが、十分に草マルチをしながらキュウリ→エンドウ→インゲン→キュウリとつなぐと障害は少ない。種まきのときムギ類をまぜると、一緒に生育して伸び、冬は防風・防寒になる。土中の余分な養分を吸ってくれるため、アブラムシやウドンコ病の被害に遭いにくく、連作障害も減らせる。
つるあり種のエンドウは幅1mの畝の両脇に株間30cmで点まきして支柱を立てる。つるが50cmほどしか伸びないつるなし種は株間20cmで幅1mの畝に3列まける。
またエンドウ、ソラマメとも収穫を終えたナスやオクラの株元に種まきすると風よけになるうえ春先に地温が上がりやすい。エンドウでは春先の仮支柱、ソラマメでは倒伏防止のひもを張る支柱にもなる。
種まき(11月上旬~11月中旬頃)
適期まきで越冬サイズに
中近東の涼しい地域出身のエンドウ。いずれも幼苗は耐寒性を持つが、育ちすぎたり小さすぎるものは冬越しできない。
いずれも秋は直まきのほうが根張りがよい。エンドウは「巣まき」に。表土を1cmほど押して、まき穴をつくる。鳥の巣の卵のように、スナップエンドウは1穴6粒、サヤエンドウは1穴5粒まく。4~6粒が目安。間引きはしない。発芽後はお互いつかまりながら生育する。種は1か所に固めてまいても、吸水して膨らむと自分で向きを調整する。
種と厚さくらいの土をかける。軽く押さえて鎮圧する。
越冬・鳥害対策(12月~3月頃)
真冬を乗り切る工夫を
寒さの厳しい場所では、風上にササを差したり防虫ネットや寒冷紗を張るなどして風を避ける。保温には苗の頭の上から籾殻をかける。ワラがあればたっぷり敷く。
霜で根が浮いて解けてを繰り返すと枯れる場合がある。晴れた日の昼間、根を土に埋め戻す。
支柱立て(3月中旬~下旬頃)
春に生育がはじまる頃
春になり、生育してきたら、寒冷紗をはずして支柱を立てる。強風で振り回されるとひと晩で枯れるので注意。
支柱を立てて誘引する。
追肥する場合
冬を越し、株が生長をはじめる頃、追肥を施すとよい。
収穫(5月上旬~中旬頃)
適度な大きなになったら、こまめに収穫する
実が生長したら、早めに収穫する。開花後は次々と実がつくので、硬くなる前にとること。スナップエンドウも同様にして硬くなる前に収穫する。大きく生育してしまったものは、グリーンピースのようにマメを楽しむこともできる。
グリーンピース
熟す前の種子を食べる。実えんどうの仲間。育て方はエンドウと同様。実が太ってサヤがしっかりふくらんで、表皮にシワが出たら収穫どき。
種とり(5月下旬~6月上旬頃の梅雨入り前までに)
自家採種すると育てやすい
エンドウは自家採種した種をまくとアブラムシも減って育てやすくなる。
サヤが枯れてシワシワになり、しんなり柔らかくなってきたら収穫。雨に濡れてしまうと発芽してしまうことがあるので、早めにとり込む。
雨がかからない風通しがよい場所で、からからに乾燥させてから種とりし、大きく充実したマメを種として保存し、そうでないものを食用にする。
種はペットボトルや、広口ビンに入れてフタを緩めて、1か月ほど冷暗所に置く。マメの呼吸によりビンが二酸化炭で満たされたらフタをする。この方法で2~3年保存できる。
母本の選び方は?
株の下のほうが実が充実しやすいので、そこから種とりするか、種とりする株を決めておき、そこからは収穫しないようにするとよい。生育がよく、病害虫が少ない株を母本に選ぶ。
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