香川県さぬき市でのソラマメづくり
栽培する品種
【仁徳一寸】(2023年6月28日自家採種3回目)
基本情報
ソラマメの原産地は西南アジアから北アフリカで日本へは8世紀、天平年間の記録があるので、このころ渡来したと思われる。一般的な栽培は明治時代に欧米の優良系統が導入されてから広がった。
エンドウと同じく冬作のマメ科野菜だが、生育適温は12~23℃でエンドウより耐寒性・耐暑性が劣るため、主に西南暖地で栽培される。
成功のコツ
夏野菜がよく育った畝に適期を外さず種をまく
秋まきで越冬して初夏に収穫するソラマメ。水はけのよい畑を好み、幼苗期に冬越しさせる。ソラマメはマメが大きく品種改良が進んでいるため、養分を多めに必要とする。
マメ科とはいえ適度に肥えた畑を好むが、養分が多すぎるとアブラムシや病気の被害を受けやすくなる。酸性土壌を嫌うので、酸性が強い場合は種まきのときに燻炭をまいて土と混ぜておくとよい。夏野菜がうまく育ったところでは、養分を補わなくてもうまくいく。ハコベが生える畑でよく育つので、生えていなければぜひ、ハコベを畝に移植しよう。
越冬させるには適度な大きさで冬を迎える必要があり、地域に合わせた適期にまくのがコツ。越冬が難しい寒地、寒冷地では春先に温床で育苗し、苗を植えつける。
春からは草マルチを。ソラマメは根張りをよくするため地際からわき芽を書かずに育てる。収穫は遅れるとマメが硬くなるため適期を外さずに。また、ソラマメは特に収穫後の老化が早いので、早めに食べる。翌年は自家採種した種子で育てると、ぐっと育てやすくなる。
栽培のポイント
・マメ科ソラマメ属
・秋に種をまいて冬越しし、翌春に収穫する。
・開花期にアブラムシがつきやすいので、こまめにチェックしてとり除く。
肥料について
無肥料でも育つ。有機栽培の場合、元肥と追肥をするが、アブラムシがついている場合は追肥を控える。
混植
ソラマメとキャベツ
ソラマメは秋まきならキャベツとの混植を。タマネギの畝の中央に1列、ソラマメをまくのもよい。
またエンドウ、ソラマメとも収穫を終えたナスやオクラの株元に種まきすると風よけになるうえ春先に地温が上がりやすい。エンドウでは春先の仮支柱、ソラマメでは倒伏防止のひもを張る支柱にもなる。
種まき(10月下旬頃)
適期まきで越冬サイズに
中近東の涼しい地域出身のソラマメ。いずれも幼苗は耐寒性を持つが、育ちすぎたり小さすぎるものは冬越しできない。寒さに強いのはソラマメが本葉2~3枚のころ。この大きさで越冬できるようにタイミングよく種をまく。
種のオハグロ部分を斜め下に向けて土の中に押し込む。1か所に2粒ずつまく。覆土して軽く押し、落ち着かせる。種まきをしたら、トンネルがけをする。
ポットまきの場合
ポットに土を入れ、オハグロ部分を斜め下に向け、深さ2cmで1粒ずつ植える。11月下旬頃、本葉が4~5枚の苗を畑に定植する。
管理作業(11月下旬~4月下旬頃)
開花時期のアブラムシに注意する
寒さの厳しい場所では、風上にササを差したり防虫ネットを張るなどして風を避ける。保温には苗の頭の上から籾殻をかける。ワラがあればたっぷり敷く。
霜で根が浮いて解けてを繰り返すと枯れる場合がある。晴れた日の昼間、根を土に埋め戻す。
シカによる食害対策に、防寒を兼ね寒冷紗をかける。気温が上がると蒸れてアブラムシがつきやすいので、2月下旬には外す。
春になると、新しい葉が生長しはじめる。
追肥する場合
開花時期に追肥するとよいが、アブラムシがついている場合は控える。
春は草が伸びてきたら刈って草マルチに。
ソラマメは倒れないように土寄せし、周りを麻ひもなどで囲って支える。
根張りよく育てるためわき芽は間引かない。アブラムシが増えたときは、ついた部分を切り取って持ち出す。あらかじめムギを風上にまいておくと、風よけになるだけでなく、アブラムシの飛来も減らせる。
病害虫対策
花がつく4月下旬頃から、ソラマメの最大の敵であるアブラムシがつきやすくなるため、まめにチェックし、見つけしだい手でとる。
アブラムシは放っておいてよいのではないか(仮説)
今年もソラマメの枝先の芽に大量のアブラムシがついています。
過去には、牛乳をかけるといいと聞いてやってみたり(効果があるかどうか疑問なうえ、牛乳くさくなる)、摘み取ったりしていました。
けれども、2024年現在、ぼくはこのアブラムシは放っておいてよいのではないかと考えるようになりました。
まず、うちは農薬や化学肥料を使わずに野菜を育てています。
ということは、野菜を育てるのにアブラムシを含めて、虫や目に見えない微生物の力を借りているといえます。
アブラムシがたくさんついているのを見ると、ソラマメにとってよくないのではないかという気持ちになってしまいますが、もしかしたら、こうなることがむしろ自然なのではないかとふと思ったのです。
ソラマメは摘心することで、わき芽を増やしてソラマメをたくさん収穫できるようにされる方もいるそうです。
このアブラムシはソラマメの芽の部分を食べることによって成長し、ソラマメはその芽を食べられることによって自然に摘心されて、わき芽を増やす。
しかし、虫や微生物の力を借りない農法だと、アブラムシがソラマメの芽を食べすぎて枯らせてしまう恐れがあります。
なので、アブラムシ対策が必要になります。
農薬や化学肥料を使わずに栽培している自然栽培や自然農だと、アブラムシが発生すると、アブラムシが大好物のテントウムシがやってきてモリモリ食べてくれて、アブラムシの数を抑制してくれるということになります。
自然農や自然栽培は、虫や微生物と共同で野菜づくりをしていくようなものなので、慣行農法と比べて、自然に依存する割合が高くなるため商売として成立させるのはなかなか厳しいという話をよく聞きます。
ぼくもそれは分かります。
うちの菜園のソラマメにアブラムシがびっしりついていても、動じなくなったのは、野菜づくりを始めて5年目、うちの菜園での生態系がようやくヒトにとってよいバランスになってきたと思えてきたこと、実際に、アブラムシをほったらかしにしていても、きちんとおいしいソラマメを収穫できるようになったからです。
これからも栽培を続けて、この仮説を確かめていこうと思います。
ソラマメのアブラムシが一匹残らずいなくなっていた。
やっぱり、特に何もしなくてもいいみたい。
収穫・種とり(5月中旬~6月中旬頃)
サヤが下を向いてきたら収穫時期
ソラマメは上向きについたサヤがマメの成熟とともに下向きになるのを見極めてとる。サヤの向きが時計の針で3時ならもう少し、4時すぎになったら収穫適期。収穫適期のサヤは色が濃く光沢があり、背筋部分が黒くなる。
2024年
2022年
種とり
種とり用には、地面に近くふっくらと大きいサヤを選ぶ。サヤが黒くなってしぼみ、茎が枯れてきたら収穫する。雨当たりがなく、風通しのよいところで乾燥させて保存する。
大きく充実したマメを種として保存し、そうでないものを食用にする。
種はペットボトルや、広口ビンに入れてフタを緩めて、1か月ほど冷暗所に置く。マメの呼吸によりビンが二酸化炭で満たされたらフタをする。この方法で2~3年保存できる。
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